ルパパト: アルセーヌの思いと国際警察戦力部隊の忍従の日々と
前回、年表を作ってみたけれど、自分なりにそれぞれの出来事のおおまかな時期を推定したりしているうちに、アルセーヌ・ルパンが抱えていただろう思いと、それから戦力部隊の忍従の日々の辛さが、自分にとっては思った以上に刺さってしまっていたみたいで、今回はそれについて書いてみる。
ちなみに年表の記事はこれ↓。
ルパパト: 年表を作ってみた~ドグラニオ誕生から最終回まで時系列を整理&推測
https://kiuix.hatenablog.com/entry/2019/11/27/211754
■アルセーヌ・ルパンの思い
年表ではアルセーヌ・ルパンがグッテイを改造したのは願いを叶えた前後と書いたけど、きっと叶えた後なんだろうなという気持ちが強くなってる。
叶える前に改造するのは心配だったかもだし、それ以前に叶える前は改造なんて考えもしなかった可能性もあると思った。
どんな願いかは知らないけど、いざ叶えてみたら、その力の絶大さに驚き、万が一この力が良からぬ考えを持つ者に悪用されたら、と怖くなったかもしれない。
また、もしかすると別の異世界を荒らし回っているギャングラーの噂も耳にして、自分達の祖先がいた世界のように、この人間界にもいつまた奴らが攻め込んで来ないとも限らないと危機感を覚えたかもしれない。
後にコグレがルパンレンジャーを結成したことからも、奴らに対抗するためにはコレクションの力がきっと役に立つという認識はアルセーヌ自身にもあったんだろうな。
でもこの世界ではマイノリティの異世界人である自分たちだけがこの力を抱え込み、この世界の主である人間が使えないままで良いのか?
そう思い始めたのかもしれない。
というかいったん考え始めてみると私には、改造した理由は人間にも使えるようにしたかったから、という以外に思いつかないんだけど。
でも人間が使えるように改造したら、人間ではないアルセーヌ達には使えなくなる。だから迷ったり気が進まなかったりしたのかもしれない。
エマ・ゴルディーニの祖母(の若い頃)にシザー&ブレードが贈られたのは、エマの年齢的に70年くらい前じゃないかなと思う。1950年頃、もう第二次大戦後なんだね。
それだと願いを叶えてから約30年の開きがある
ギャングラーの別世界での脅威を何かの形で知るたびに、断腸の思いで改造し手放してたのかもしれないな。
国際警察があの世界でいつから設立されていたのかはわからないけど、アルセーヌにはこの世界の平和を守る権限と責任を持つ彼等にコレクションを託す考えはあっただろうか?
でもコグレのスタンスを見ると国際警察に黙って入ったノエルに不信を募らせ
「誇り高き大快盗アルセーヌ・ルパンを輩出したルパン家が警察と手を組むなんて!」
みたいな否定的なスタンスだったから、少なくとも表向きは接触はなかったのではと思う。
人間が使えるように改造はしたものの国際警察やそれに類したような組織には渡せず、かろうじて好きになった大事な女性に渡してたって感じだろうか。
ただし改造していないコレクションがなぜ国際警察にあったのか、っていう謎はあるけど。
まさか国際警察自体には改造していない状態でこっそり渡していたのかな?うっかりやのギャングラーが落としたとも考えにくいから。
それとも改造していないコレクションも惚れた別の女に渡してそれが国際警察に渡った?その場合惚れた女は最低9人いることになっちゃって、やっぱり惚れっぽい人だったのねってことになるけど(汗)。
■戦力部隊の辛すぎる日々
年表を作った時、悟が離脱した時期は分からないものの、圭一郎とつかさが後任探しで咲也に出会った時期は夏頃って書いた。
今それを後悔しかけてる(汗)。
思い切って咲也はくそ寒い冬の最中でも半袖で走るし、圭一郎の言葉に発奮して超高速で前を走るライバルどもを蹴散らして後任の座を掴んだ奴ってことでも良かったんじゃないかな?なんて思ったりして。
なぜってその方が、悟離脱から咲也加入までの期間はまだ短かくて済んだと考えられるから。
悟離脱後、人員補充がなく圭一郎とつかさの実質2人だけで、ギャングラーに対抗出来る手段もないまま何ヶ月も何ヶ月も据え置かれた。そんな辛い期間を想像するとしんどくなって、極力短い方がいいかなあとヘタレてしまって(笑)。
普通の職場だって誰か1人異動してずっと補充がなかったらキツいけど、戦力部隊の場合は命に関わるわけで、時々ブレーキが効かなくなる圭一郎の性格でよく生き延びられたと思う。
けど、自分が突っ込んだせいで悟がと悔い、今度同じ事をやったらつかさを失うか逆につかさを1人遺すことになってしまうっていう自戒は強烈にあったかもなあとも思う。
上層部も、今の武器ではポーダマンにすら全くダメージを与えられない現状では、これ以上余計な犠牲を出さないよう人命救助最優先で、くれぐれも倒そうなどという無茶はしないよう徹底させていたかもしれない。
それは無理もないことだけど、ギャングラーの脅威にさらされる市民の目には、人数もふたりぼっちで無力な圭一郎とつかさの姿はどんなに頼りなく映ってしまっただろうと改めて思う。
人命最優先と言っても守りきれず、一般人に犠牲者を出してしまったことが一度ならずあってもおかしくない。
国際警察がそんな状態で代わりにいつも快盗が倒してくれたのなら、そちらが英雄視されるのは、今更過ぎるけど当たり前だよな。
快盗と警察の初対面が第1話ということは、圭一郎達が現場に着いた時には快盗がとっとと倒してしまった後だったり、または一般人を避難させて怪人から離れてる間に倒して撤収してたり、の繰り返しだったのかもしれない。
現実の法に照らせば快盗は銃刀法違反だの器物損壊だのを繰り返している犯罪者。特に異世界で命のかかった状態でさえドグラニオの屋敷に忍び込むのを不法侵入では?と躊躇うような圭一郎の遵法精神にとっては尚更。
でも結果的に彼等の方がずっとずっと平和を守る役に立っているし、それに助けられている自分たちがいる(ルパパトの場合そこに目を向けさせるかどうかという作劇の問題はあるけど)。
圭一郎達にとっては自分を含めた何もかもが不甲斐なく腹立たしく情けない、時には悲しく無念極まりない、そんな日々が延々と続いていたんだろう。私が改めて書くまでもないんだろうけど。
悟の後任選びには慎重になったか、難航したかもなあ。前任者があんな事になって、そうならないための武器はまだ用意出来ていなかったわけだから。
後任として咲也の補充が決まったのがパトレンジャーの装備の目処がついたのとほぼ同時期なのは偶然ではないかもしれないと思った。
悟が負傷離脱した後はずっとそんな日々を過ごしていた圭一郎とつかさにとって、パトレンの装備は「待ちかねの支給品」などという生温い表現では表しきれないものだったはず。
支給の目処と後輩着任が決まるや、たぶん圭一郎は気合の入り過ぎた状態で思わず前髪をバッツン切りして、まだ装備が届いてないことなどお構いなく、着任早々の咲也も引き連れ久々に3人フルメンバーで勢い込んでカジノに突入したのかもなあと思った。
そこで快盗に初めて目の前で出し抜かれふざけた態度で煽られて怒りの沸点を軽々突破したままあの朝のベンチって流れだったのかなと思うと、気の毒になる。
■アルセーヌと警察とを繋ぐ者
アルセーヌ・ルパンがコレクションを人間が使えるように改造した理由が、この世界の平和を人間達自身が守る手助けになればという思いからなんだとしたら。
彼に拾われて人間が使う為の改造技術も全て教え込まれたノエルだけが、アルセーヌの思いを正しくすくい取り受け継いで、彼の死後に自分でもコレクションを改造して戦力部隊に託したって事になるのかも。
それだとあまりにもアルセーヌがノエルの全てすぎるかなあと思い、でも実際そうだったんだろうとも思ったりする。
ただしそれはノエルが21話で快盗やコグレに対して取り繕ったように何かのミステイクではなく、本心から戦力部隊にビークルを提供したのが大前提。だけど
ルパパト: ノエルは警察のために何をしたのか
https://kiuix.hatenablog.com/entry/2019/04/06/162842
でも書いたように私はノエルの本心からだと信じてる。
宇都宮Pも元木さんに最初に「ノエルは本気で世界を平和にしようと願っている」と説明しているから、それなのにビークル特に初期装備すら渡さないのはノエルが信じられないほど馬鹿か番組の都合による改悪以外ありえないと思う。
コレクションの力を人間にも分け与えたかったアルセーヌ。
ギャングラーから世界を守れる力を渇望していた戦力部隊。
2つの思いを結びつけたのがノエルだったんだと思いたい。
ルパン家の人々が人外だったという設定がいつから製作側の中にあったものかはわからない。
本編中では人外設定はノエルをピンチやトラブルの発生元として使い回し必要に応じてそのピンチを打開するための戦いから外すための役割でしかなかった。
ノエルが改造したビークルを自分では使わない理由も、つかさが「人間ではないから使えなかったのか」と心の中で思うだけで言葉にはしなかったから、本編中ではそれ以上展開することなく終わってしまった。
だけど、たとえ何のために出来た人外設定だとしても、その結果浮かび上がってくるアルセーヌの思いと圭一郎たちの思い、それにノエルの思いが交差したドラマは、直接は描かれなかったとしてもきっとルパパトの物語の根底にあるはずと思う。
少なくとも自分の中では大事に持っていたい・・・で〆ようと思ったけど、ごめん、もう言わないつもりだったけど、やっぱりちゃんと見たいよ。