キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ルパパト: 東雲悟を振り返ってみる

映画公開から一周年ならプレミアムドラマ配信からも一周年。

だもんで、今回は悟についてこれまで感じたこと、考えたことなど、以前書いたことも含めて、振り返ってまとめてみたい。

ちなみに私は東雲悟を見たのは本編43話が最初で、翌年2月に円盤で「もう一人のパトレン2号」を見た。

 

■美しく残酷な名前

ルパンチームの苗字には「夜」「宵」「やみ」、パトレンチームの苗字には「朝」「陽」「明」がつく。

悟の苗字は「東雲」。これまでの分かりやすいパターンからは一見外れてる。

でもこちらも朝の意味があるらしいと聞いて、43話を見た後で検索してみた。

そしたら、一番上に来たwikiの説明↓から暫く目が離せなくなってしまった。

かなり個人的に刺さってしまったのを今でも覚えてる。

 

東雲

日本の古語で闇から光へと移行する夜明け前に茜色に染まる空を意味する

 

夜明け「前」だったのかって。

 

言われてみれば、圭一郞達が初めてVSビークルを手にした日の朝、咲也はまだつかさに名前もろくに覚えて貰えてなかった。

だからパトレンジャーという太「陽」は本当に、咲也の着任とほぼ同時に昇ったんだね。

そして夜が「明」けて「朝」が来た。

そう思うと、自身はギャングラーに対抗できる装備のない辛い時期を懸命に支え、日の出を見る事無く、同期2人をその光の中に送り出して去った前任者に与えた名前として、なんて美しく残酷なんだろうと。

 

そしてその後の運命も、人知れずザミーゴに誘拐され

「死んでんだろ」

の言葉だけでその生死を片付けられ、死後も体をスパイに利用されてしまうという報われなさ。

「もう一人のパトレン2号」を視れば、そんな無惨な扱われ方をして良いキャラじゃないよね(泣)。

配信を見てない私でもキツかったのに、見て悟を好きになり、本編登場を楽しみにしてた人達の痛みはどれほどだったろう。

円盤を見た後では、たぶんそれは私なんかには推し量れないレベルのものなんだろなとしか思えなかった。

 

■ザミーゴに狙われたら

敢えて言う必要もないんだろうけれど、悟がザミーゴにさらわれ化けの皮にされてしまったことは無念ではあるけれど、決して彼が弱いからでも脇が甘かったからでもなく、なんら彼の不名誉にはならない。

いかに戦闘能力が高くても頭が良くても優秀でも用心深くても絶対に不可抗力だよ。

異世界と人間界を自由に行き来し好きな場所に現れ、当たれば即冷凍&転送能力を持つザミーゴに、いったん誘拐しようと付け狙われて逃げ切れるものなんてどれだけいるか。

Gロッソではあのデストラでさえ、あっけなく凍らされて破壊されたほどで、治癒能力のあるライモンにとっても天敵だった。戦隊側も、回避より防御のパトレンでは即冷凍されてしまうだろうし、10話を見ればシザーやビクトリーのない状態で単独で襲われたら回避力に優れたスーツのルパンもいずれはアウト。

なのに変身装備を持たない人間が太刀打ち出来るはずもない。

敢えて言えば、例えば襲われた悟と襲われなかった圭一郎達の差は、フランス本部に送り込めるスパイとして利用価値があったかどうかだけ。

ザミーゴの出番が少なかった要因の1つは氷の銃が強力すぎ、当たれば致命的すぎて、うかつに対戦させられなかったってのもあるんじゃないかと思う。

 

■惜しまれる一方で

飄々として冷静で周りや相手が良く見えて機転が利いて、穏やかで寛大で、自分が何をすべきか良く分かってる。

「相手の思いに耳を傾ければ、見えて来るものもあるだろ」

が恐らく彼の信念。

そんな悟が存命で、圭一郎達に接触出来るポジションにいたら、ノエルの言動に目と耳を向けいち早く真意を見抜き、もっと早く良好な関係を築けたのでは?

快盗達の目的にもきっと誰よりも興味を示して、敵対ではなく対話を試みただろうに。

と、その不在と運命を惜しんだ人は別に私だけでなくいっぱいいて、とっくにネット上様々な表現でその思いを形にしている。

キャラを考えたきださんも公式読本のQ&Aで、

「パトレンメンバー3人がみんな熱いので、悟はとにかく涼しげで肩の力が抜けた人物がいいと思い、ああいった雰囲気になりました。彼がパトレンジャーとして活躍していたら、また違った味わいのあるチームになったかもしれませんね」

と語ってる。

 

だけど制作陣がVSを最後までやり通したいならそういうキャラは扱いにくかったかもなとも思う。

共闘を望むノエルもさんざん胡散臭く見せられたし、仲良くさせようとしたプラス面は極力スポットを当てず、マイナス面は咲也にがっつりアピールさせた。

ノエルならそういう見せ方も出来たんだろうけど、悟となるとそうはいかなかったかも。

同じ言葉でも悟が言うか他の人間が言うかで、特に圭一郎への説得力が違うだろうし。

もっとも逆に言うと、本編には基本的には出て来ないからこそそういうキャラに出来たのかな?って気もした。

 

■夜と朝を繋ぐ存在だった可能性

東雲という言葉は、明け方を意味するけど、それはつまり「夜」と「朝」を繋ぐ時間でもある。

49話で圭一郎が魁利を捜し当てた時の空もそうだった。

どこまでも報われない形で退場した東雲悟という人は、だけど生前、同僚達にその人間性や信念を刻み付けることで敵の嘘を暴かせ卑劣な罠から彼等を守り、化けの皮の秘密から快盗の正体へと容赦なく真実に導いた。

そしてそれが快盗と警察の心からの共闘を後押しし、悟を殺したザミーゴ本人の破滅にも繫がったんだと思う。

 

ギャングラーの中では頭脳派だろうが、ナリズマふぜいが東雲悟の姿形の擬態だけでなく人間性精神性までなりすまし、悟をよく知る圭一郎達を誤魔化し通せると自惚れたのが結局は失敗の元。

身の程知らずにも程があったと思う。

 

ジュレにいた悟は本物かリピート

「もう一人のパトレン2号」のラスト、ジュレで咲也が圭一郎に認められた話を背中で聞いていた悟。

ノエルの話では、クレーンを奪われたのはスパイの暗躍によるものだし、5話でヘリとバイクの輸送ルートが漏れたのもスパイがザミーゴに流したもの。

時系列から言えば、クレーンを持っていたアニダラが踏み潰された4話より少し前の時点で、もうナリズマと入れ替わっているはず。

じゃああの悟は?

私の考えは以前

 

ルパパトプレミアムドラマ「もう一人のパトレン2号」

https://kiuix.hatenablog.com/entry/2019/03/01/204620

 

で書いた。長いけどもう一度引用する。

でも「本編に出る<かも>」と言われていたってインタビューがあるのなら、メタ目線だと制作時点では化けの皮にされる運命とは決まってなかったろうから、あれは正真正銘本物の悟。

 

敢えて理屈を付けるなら、悟の皮に遺った意思があの時はナリズマの意思を乗っ取っていたとか。

心臓移植をされた人が時に持ち主の人格や嗜好の一部まで受け継ぐことがあるように、化けの皮も本人の思いが強ければ時にそれを被ったギャングラーの意思にも影響を及ぼす事があってもおかしくないと。

たぶん悟は最後まで圭一郞と自分の後任の事が心配で、その思いの強さがナリズマを一時支配した。来日、ジュレ行き、どこからが悟の意思かは分からないけどあの言葉を吐いた瞬間は絶対に本物の悟だったと思う。

ならなぜ圭一郞達の前ではそうしなかったか?圭一郞達なら必ず偽者だと見抜くと信じていたからと思う。そして実際そうなった。

自分の意思が出ていけば話は早いかもしれないけど、皮に意思が残っていると分かれば圭一郞達は攻撃出来なくなってしまうかもしれないし。だからナリズマがボロを出し圭一郞達がそれに気付き、ピンチにノエルが割って入ったのを見届けて満足して散っていったんだ。そう思う。

化けの皮に細かい設定なんてないままだったんだからいくらでも都合良く解釈したって良いよね?

 

なお公式読本の葉山監督Q&Aによると、

「現在の悟がどうなっているか、撮影時の段階ではまだはっきりとは決まっておらず、最後に見せる悟の表情は悩みました。(悟がギャングラーになっている可能性もあるが)希望がある印象で最後は終わられるように、秦野(浩孝)さんと相談しつつ撮影しました。」

とのこと。

ならやっぱりあの場面は、希望が持てるように受け取るのが正しいんだね。

あの悟は本物の悟だと思っていいんだ。

 

■ノエルの願いに悟も絡んだスピンオフを

ノエルはコレクションを全部集めたら圭一郎やつかさのために、アルセーヌと一緒に悟も蘇らせたいと考えているんじゃないかなと思っている。

というか考えていてほしい。

FLTではノエルの願いに対するパトレンの蚊帳の外っぷりが気になった。

けど、圭一郎達がノエルのやろうとしてる事を知って、死者を蘇らせていいのか?でも悟が戻ってくるなら、とか葛藤するスピンオフならノエルとパトレンの物語にもなると思う。

コレクションを全部集めた結果、生き返るのか生き返らないのか。

でもどちらにしても、コレクション達の不思議な力で、圭一郎達が例えばせめてひとときだけでももう一度悟に会えて言葉を交わせる展開が見たい。

 

アキバレンジャーのイエローママ回

ウィザードの約束の場所

ジュウオウジャーの大和母

 

香村さんは特撮ならではの不思議な現象の中で、会えないはずの人に会える展開やらせたらピカイチだと思ってるから。

というか、44話を見た時には、そういう形でパトレンを「コレクションを集めきった結果起こること」の当事者として絡ませるのかなと思っていた。

当時の記事にも書いたけど、香村さんは悟をこんなあまりにも報われなさ過ぎる終わり方で放置はしないだろうと、これまでの作風から勝手に思ってしまっていたんだな・・・・・。

 

そういうスピンオフを望む一方で複雑な気持ちもある。

もし私が願ったような形でスピンオフが叶ったら、再会の場面の感情移入度や印象は、もしかしたらノエルとアルセーヌより、圭一郎つかさと悟の方が強くなってしまうかもしれないなと。

だって悟は俳優さんによってそのキャラや魅力や関係性がきちんと描かれている。

それに対してアルセーヌはスーツアクターさんの変装で、ノエルの恩人として最低限の記号的な言動しか見せられてない。

キャラの基盤が全然違うからなあ。それでも見たいんだけど。