ルパパト42話感想: ドグラニオ主従の切なさとノエルのあれこれ
ルパパトの怪人の金庫に入ったコレクションを盗るって設定、つくづく発明だと思う。
怪人を倒すのとは別のコレクションを盗るための凝ったアクション
倒される前に間一髪で盗るスリル
金庫を開けるのが難しい強敵を攻略するための頭脳戦とそこから生まれるドラマ
特にライモン実験体それと今回のデストラ戦はコレクション奪取の要素がなかったら、VSとは言えここまで熱い物語が作れたかな?って思う。凄く良かった。
圭一郎の魂の変遷
25話→つかさのレッド援護の提案をもの凄く渋々了承
32話→ノエルの快盗への協力依頼を拒否し決闘で勝ちを譲りコレクション奪取に参加「今回だけだ!」
42話→自ら快盗の利用を提案し、レッドのピンチに自発的にビークル二つ握って金庫解錠
お世辞にも柔軟性があるとは言い難く、理想と現実が食い違う度にガツンガツン躓きながらついにここまで来たって感じで感慨深い。前回無理やりにでも1度コレクション回収に参戦しておいたことで免疫が出来たというか抵抗が薄れていたのもあるのかな。
24話では危険なペンダントを使いツタに取り込まれてしまった魁利を横目に果敢にコレクションを奪取した透真は、今は魁利の身を案じる気持ちの方が先行し過ぎてしまって動けなくなってしまったんだろうか。
一方、魁利と圭一郎は根底では相手の身を案じる気持ちもありつつ敵でもあるため、これまでの戦いでどちらも自分同様いわゆるブレーキに不具合があることも知り尽くし、そんな相手を互いにギリギリまで冷徹に見極められ呼応できる部分が二人だけにあったことで打開できた
ってことなのかな。
今回文字通りというか、これ以上ないくらい華々しく散ったデストラさん。
ルパンパトレンとX全員の必殺技喰らっても倒れなかったそれだけでギャングラー最強だよ。あのまま前回と同じように撤退しても、きっとボスなら責めずに対策を考えようと言ってくれたと思う。そうなったらもう戦隊側は打つ手がなさそうで、むしろ巨大化してくれて助かったかも。
でもデストラさんは「ボスが見込んでくれた自分」をこれ以上負けさせて絶望させることも「ボスの眼力」をこれ以上貶めることも自分に許さず、自ら戻れない巨大化を選んで散った。
なお別の方のブログで
デストラはゴーシュに手を借りると言ってもコレクションはあくまでドグラニオに命じられて1度は失敗した仕事をやりおおせる事で手に入れた
との解説を読んで、私の中でとっくにストップ高だったデストラさん株が天井をぶち抜いたよ。
自分のためにそこまでするデストラだからこそドグラニオは誰よりも失いたくはなかったんだろうな。これまでと全然違う喪失感。
ゴーシュを下がらせ、暗い広間に一人きりで献杯。1話の誕生パーティーの賑やかさとは対照的。
生前のデストラなら一緒のテーブルで杯を交わそうと言っても分をわきまえて固辞していたんだろう。ドグラニオはそんなデストラの気持ちを信頼しつつも歯がゆかったかも。
失態を恥じる部下を励まし後継者最有力と背中を押し、それに部下が目一杯応えようとしたのが仇になってしまったというのが敵ながら切ない。
30話でカンクスの戦闘中に「見てるだけで臭えな」って言ったってことは、1度はそのガスを喰らって悶絶してるはず。
気に入らない相手をちょっと手を動かすだけで殺せる力を持ちどんな暴君にもなれたのに、部下の、自分ではどうしようもない特性の被害にあっても恐らくは個性としてそれを受け入れた上に、デメリットを緩和し仕事にも役立てる一石二鳥のアイテムを選び与え伸び伸び行動させるって、人間でもなかなか出来ないよドグラニオ様。トゲーノ以外は手下が失敗しても責めないし、あれだけの集団を率いるのも納得の懐の深いボスだ。
ゴーシュは今回ずっと協力的で、普段仲悪いから意外だったけど、そう言えば ライモン軍団の時に「後継者候補にはサービスしなきゃ」とか言ってたのでデストラを後継者最有力候補と認め恩を売ることにしたのかな。ボスが直々に後継者争いへの参戦を促したのをもし知ってたりしたら尚更。
今回のノエルさん
何か前線に出るべきではない秘密を抱えてコグレにも止められたけど黙って見ていられなくて日本に来て、外で魁利を見たら真っ先に「危ないから一人で出歩くな」と注意しながら自分はど派手な制服着て一人でティータイム。仮に自分を囮にしていたんだとしてもパトレンの到着の遅さから見ても単独行動なのかも。
この人はつくづく自分の身を守る意識が欠落してる。それは精神面にも言えて、必要なら自分を悪者にするのに躊躇いがないのと根っこが同じに見えるよ。
あんな寂しがりの甘えん坊の癖に誰からも信じて貰えないような蝙蝠ポジションを選び、歓迎して貰いたがりの自分を演じて実は快盗と警察の親睦会を開き、つかさと快盗の関係悪化を避けて恐らく自分だけがヨッシーのコレクション回収と打倒を引き受け、圭一郎達を好きだという気持ちを殺して足止めに向かい、助けられてもっと好きになった気持ちも殺して情報を盗み、自分の活躍を祝って貰いたい自己中を演じて強引に魁利と圭一郎の和解の場を作り。
そんな彼が、快盗警察の死闘をしばらくは見守るしかなかったってのがいろいろ深刻。
直接の原因ではないのに初美花が攫われた事にあれだけ責任感じるような奴が、自分の失態でコレクションを奪われその後街を破壊され、コグレに「更に厄介な事になりかねないからもう戦うな」と叱責されたらどんだけ身動きとれなくなるか想像を絶する。
だけどやっぱり傍観したままでいることは出来ない。出来るならそもそも来日してない。
ゴーシュの双眼鏡で何かを見られた時のノエルの悲鳴に近い絶叫は、ボウケンジャーで錫杖がクエスターに通用しないと分かった時の高丘を思い出した。
襲撃のせいなのかそういう家風かルパン家は超人材不足で、快盗仕事は一般人に業務委託し諜報はコグレが一人で体張ってる。35話でそれが分かった時にこう書いた。
いれば多方面に役立つノエルにパリで大人しくしていて欲しかったのは、これまで「考えの合わない君が余計な首突っ込んで引っかき回すんじゃないよ」って意味だと思ってた。
けど、こんなカツカツの状態なのに敢えて、だとすると、もしかして理由が情なのか技術力なのかはともかくノエルを危険から遠ざけて起きたい気持ちもあったのかな?って気もしてきた。
戦闘力が高くコレクションの知識も豊富なノエルがいれば役に立つのは明白で、実際役彼がいなければ今頃魁利達は死んでコレクション集めも頓挫しててもおかしくないのに、今でもパリで大人しくしてほしかった。それはコグレの身内への情かノエルの技術力が理由かと思ってたけど、その他にも何かそれほどの秘密が彼の体に埋まってる?って可能性も出てきたのかな。
ルパパトって、マントひらひら華麗なアクションや、ある条件が揃えば失った人を取り戻せるとか、以前からなんとなく仮面ライダーウィザードを連想することがあった。
敵も攫った人間を原材料にした化けの皮を被って人間に擬態できる。その皮にもし生前の記憶がついてきたらファントムみたいだよなあと。
もしかして宇都宮Pがルパパトで本当にやりたいのはウィザードの戦隊版かも?と思ってたところへノエルの体に秘密。
もしかしてノエルって戦闘能力と食欲のあるコ・・・・みたいなもん?なんて考えが頭をよぎって怖い。
戦いの後のジュレでの慰労会。
魁利は一般市民の顔で圭一郎に「ありがちゅー」と言い、ノエルは快盗の協力あってこそと敢えて指摘し、警察は建前上表沙汰に出来ないけどそれ自体は否定しない。そんな形で警察と快盗の距離は縮まってる。
そしてノエルは自分がルパンXだと知られていることを理由に、そんな建前は今更で、快盗を認める気持ちや感謝があるなら魁利達の前でだけは素直に解き放とうよと示し、この店が快盗と警察の心をもっと近づける場になればとこっそり願ってる。
ノエルさんは自分自身は何かこのまま戦い続けない方が良い秘密を抱え、それをゴーシュに知られてどでかいリスクになりそうな予感もあり、コグレにはもう戦うなと叱責される等いろいろ足元が危うくなってるのに、相変わらず自分そっちのけで快盗と警察を結びつけることに余念がなくて、本当こういうところは平常運転。
敵ボスが後継者候補にと目をかけていた右腕を殺され静かに怒りを燃やしているところに、警察も快盗も知らない弱点?になりそうな秘密を敵に知られてしまうって、猛烈に嫌な予感しかしない。