キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ルパパト: 香村さんの「心配」の描き方

ヒーローがピンチでも主人公なんだから大丈夫だし、化け物に子供をさらわれてもきっとヒーローが助け出すし、とテレビで見ている分にはフィクションとしてどこかで安心してるけど、香村さんの脚本は時々その周囲にいて心配する側の気持ちがフィクションと現実の垣根を超えて刺さってくる。

 

子供夫婦に先立たれ、忘れ形見の孫娘が事件に巻き込まれたと知ったら(もしかしたらちょっと怪我したとも連絡受けたかも)、あたふた駆けつけるし、

化け物に我が子が攫われればどうしよどうしよと取り乱して助けると約束する人にひたすら頭を下げてお願いしますと繰り返すしかない。

無事な笑顔を見れば「元気じゃん」と拍子抜けするし、無茶をされたらぽかぽか叩いて怒る

当たり前の描写なのになんでか生々しくリアル。

 

例えば22話、テレビで見てる側には金魚鉢の中の状態はわかるけど、登場人物達には外からはわからない。魁利達にしてみれば、自分達の時は危うく消化されかけたわけで初美花が似たような目に合っていない保証はどこにもない。もの凄く心配だったから「元気じゃん」て言葉が出るのがリアルで、そういう香村さんの心配の描き方が好き。

 

ジュウオウジャーでも、触れた生物を消滅させる透明なドームに引き裂かれた親子見た時には「ぐっ」て思わず変な声が出るほど胸がつぶれた。閉じ込められた我が子が泣きながら自分たちの方に寄ろうとするのを「来るな!」って必死に怒鳴りながら、縮んでいくドームの動きに合わせて泣きながら見守りついてきたのがもう。

見えるところ、すぐ傍にいるのに手を伸ばせなくて、駆けつけた変な民族衣装来た見知らぬ若者達に「どうかお願いします」って泣きながら繰り返すしかない無力な一般市民の親の気持ちが胸に迫って。

 

ウィザードでも、化け物に狙われた我が子を主人公の仮面ライダーに匿ってもらった母親が、短い間隔で大量の安否確認&お願いしますメールを送りつけてる。そうしないではいられないほど心配なんだよね。現実に自分の子がそうなったらと考えるとその行動はリアル。

 

ジュウオウジャーの序盤でレオとセラがさらわれた時、大和が本当に焦りまくっていて、つい最近まで一般市民で心配症なところはあるにしても、割とそういうのが日常茶飯事の戦隊シリーズとして見たら新鮮だった。敵に捕まったら即殺されない保証なんてないんだから、現実社会では本来これが自然な反応だよなと。

香村さんは更にこの時大和のパニック状態を利用して、焦るあまり鼻の利くタスクに、レオの匂いを手掛かりに行方を突き止めろと臭い靴下を突き付けるという鬼畜の所業を、悪意はないんだ緊急事態にパニクってて仕方ないんだって好感度下げない形でコントにしたのが凄いところ。

 

心配する側の気持ちに敏感な香村さんの作るエピソードでは、敵側もそういう気持ちを利用した作戦が多い気がするし、それによって敵の卑劣さ残酷さも際だってる感じ。

ゴーカイジャーのバスコの話を香村さんは4回書いてるけど、うち3回は人質とってるし、ウィザードではファントムを生ませるために絶望させたい相手の大事な人を殺そうとする話がいくつも。ジュウオウジャーも6人全員が人質経験ある。

そういえば今のところ敵ではないけど、ルパパトのコグレも大事な人を餌に魁利達に快盗やらせてるのはどうなんだろう。話を聞いたグッティが「あいつのやりそうなことだな」って言っていたのは、コグレは人の思いを利用して危険なことをやらせるような奴と同僚に思わせる実績が過去にあるってことなのかな。

 

「心配」に限らずそういう、人が持つ当たり前で共感しやすい感情を上手く繊細にドラマに取り入れているから、時々凄く生々しく、キャラの息遣いが伝わってきて、ドラマなんだけど疲れるくらい感情移入してしまう時があるから好き。

 

あと、24話見てて、思わず同情したのがつかさのおじいちゃん。

孫娘が不憫で親いなくても強く生きていけるよう厳しく育てたら、穏やかに暮らしたいからって平和を脅かす化け物を排除するのも人任せにしないで自分から倒しに行く、ましてや女を言い訳に誰かの陰に隠れたりなんてみじんも考えないような大人になっちゃって、誇りに思うと同時に少し後悔してないかな?って。あの慌てぶり見たら、毎日どんなにか心配だろうって。