キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー38話感想: 自分がされたら悲しいことは

今回はボンワルドとショウガツワルドの2体が同時に登場。東映公式によれば「盆と正月が一緒に来た」をやってみろという中澤監督のリクエストに全力全開で応えた結果とか(笑)。

ショウガツワルドはホシガキワルドの頭をミカンに見立て、胸の伊勢海老で正月感を主張という、すっかりお馴染みのお手軽マイナーチェンジ。

なお、2体が同時に力を使うと打ち消し合って無効化されることが正式に判明。ワルド=ワールド=世界と、世界そのものに影響を与えるタイプだから私も以前、一体ずつしか送り込めない理由付けになってるんだな~とは考えた。けど、肝心のワルド本人たちはそのことを知らなかったこともついでに判明(笑)。なおトジテンドのこれまでの緩さを見ると、幹部たちもそれを把握しているか怪しい。

ボンワルドはバラシタラ配下でショウガツワルドはイジルデ配下。だけどワルド同士は普通に仲が良く、掛け合いも微笑ましかった。でも尺も限られているとのことで、盆と正月の共演はここまでとなり、今回はまずボンワルドのターン。

 

ワルド防衛のためハカイザーとステイシーがゼンカイジャー・ツーカイザーを食い止めている隙に、ボンワルドが「お盆線香」の煙をまき散らし、それに包まれた人々の前に亡きご先祖様が現れる。

戦闘中に煙を浴びたジュランの前にも曾祖父さんサンジョ、ゾックスの前にも何代か前のおっさんピラート、そんでトジテンド陣営でもステイシーが巻き込まれ、現れたのは母親のリセ。

現れるご先祖が何代前なのかはランダムな緩い仕様みたいだけど、どう見てもステイシーが一番衝撃受けていて、相変わらず不憫。

衝撃で皆がフリーズしている隙にボンワルドは逃げ、戸惑うステイシーは「お前も来い!」と母親をつれてトジテンドに帰還。

バラシタラに「この偽物を何とかしろ」と、この時点ではあくまでボンワルドの力が作り出した偽物という扱いで、それに振り回されたりはしない。だけど作戦中だと撥ねつけ息子を嘲るバラシタラに食ってかかるリセを見て、表情が変わる。

 

ステイシーの母親って勝手にほっそり儚げで浮世離れしたタイプかと思ってたら、意外と体格もがっちりして丸顔の、地に足ついた庶民的な感じもする方で戸惑った。

けど、よく考えたらヤツデさんにその面影を感じられる人なんだよな、と納得。もっとしっかり笑った顔はもっと似てるのかも。

 

なおバラシタラは「霊になっても勝ち気な所は変わらないのである」とわりと満更でもなさそう。ステイシーの母親は、おそらく無理やり妻にさせられたものの、誇りや気概は失わないままバラシタラにも堂々と物を言い、挙げ句に捨てられて野垂れ死んだってことか。

ステイシーの記憶の中では優しい母親。でもそれだけじゃないと、こうやって短い時間でキャラを立ててくるのはさすがだなと思う。

 

バラシタラは「いろんな世界の女を妻にしてきたが、霊はまだなのである」と手を伸ばす。うわあ。子供番組とは思えないえげつない変態趣味(汗)。

両親のこんな場面を目の前で見せられたら子供はたまらんよな。たとえ険悪だと重々承知していても、母親への性的玩具扱いすら連想させられて。ステイシーが咄嗟に引き離して連れ出すのも無理はない。

個人的にバラシタラには、ステイシーへの親の情を期待してた部分もあるんだけど、どんどん遠のいていってるようで、ちょっと残念。

ここんところ悪辣さを強調したりゾックスとの因縁を強化してきたりしているのは、決戦が近いのかな?なんて感じたりもする。

 

一方サンジョは、曾孫がトジテンドと戦っていると知らされるも、長生きしたけりゃ大人しくしとくよう警告。

トジテンドはサンジョの存命時代から既に暴政を敷いていて、彼の死因は王族の行列中にうっかりおならをしてしまったことによる、たぶん斬首(怖)。おじいちゃんがコミカルに語っているから緩和されてるけど、残酷で悲惨な最期すぎる(涙)。そりゃあ、曾孫にそんな目には会って欲しくないよなあ。

 

曾祖父さんを穏便に受け入れたジュランたちに対し、ゾックスはピラートに対し敬ったりなどせず終始反発しているのはいかにも海賊の流儀って感じ。

それでも、和菓子屋に乗り込んで略奪しようとするピラートを止めるゾックス。

「この世界を荒らさない」という介人との約束は、<後方彼氏>と化した今となっては交わした当時よりも重くて、破るなんて考えられないだろうな。自分ではなく先祖のしたことでも介人が嫌がるのはわかりきっているし。俳優さんの皮膚が薄いのかすぐ顔が紅潮するのが、必死感出ていて良い。

もっとも、介人やジュランたちとの交流を通して、約束がなくてもこの世界を荒らす気持ちが薄くなってたりはしないのかな?とはちょっと思った。

 

まあ界賊はそんな感じだけど、他はご先祖様と和やかに交流。

ステイシーも目の前にいるのが生前の記憶を持った本物の母親だと受け入れて穏やかで幸せな一時。

でもそこで作戦は第二段階に移行。先祖たちは突然豹変して、直前まで子孫に襲いかかる。

生前の関係が良好だった場合ほど、直前の交流が楽しく幸せなほどきついよなあ。

この作戦を指揮してるのはバラシタラ。やっぱり人の心理を読んだり人が人を思う情を理解して、それを嫌らしく作戦に利用し敵にダメージを与えるのが上手い。

ただし、プライベートでは息子のバレバレな変装にも他人のゲゲが気付いた入れ替わりにも気付けないポンコツ観察力なのが、つくづく色々残念だよ(涙)。

 

そんでやっぱりダントツでキツいのがステイシー。さっきまで優しかった母親に刃物片手に襲われて、戦うことも出来ずに逃げるしかできない。ボンワルドの力で操られていると分かるだけがせめてもの救いかな。香村戦隊における蘇った母親との再会は、またしてもエグい。

 

ジュウオウジャー24話

亡き母親を実体化させて和やかな時間を過ごさせ心情的にすっかり受け入れた後に目の前でもう一度殺す

 

・ゼンカイジャー38話

亡き母親を実体化させて本来の優しさと愛を発揮させ心情的にすっかり受け入れた後に豹変させて刃物で襲わせる

 

個人的に香村脚本鬼畜選手権の優勝候補かな(汗)。そう言えばジュウオウジャー24話当時、

「蘇った母親を操られて戦わされるのかもと怖かったけどそれだけは免れてまだ良かった」

みたいなこと言ってた人を散見したんだけど、もしかしてそんな反応を見て

「そうかこれまだ温かったのか」

とか思って書いたんじゃないかと勘繰ってみたり(汗)。

つくづく香村さんて人が人を思う情を敵が利用したり抉ったりする描写が多いよな、と改めて思う。

 

ゴーカイジャー

バスコが人質取ってお宝探しに必要な物を渡せと迫る3エピソードは全部香村脚本

 

・ウィザード

子供を絶望させるなら親を殺せ

祖母を絶望させるなら孫を殺せ

夫を絶望させるなら妻と腹の子を殺せ

 

ジュウオウジャー

生物が触ると消滅する透明なドームで親子を分断して徐々にドームを縮小

20話35話41話全部メンバーが攫われて人質にされたり仲間の怒りを利用したり

 

ただしルパパトのギャングラーだけは、ノエルの命を盾に仮面を取れと迫った時ぐらいかな?と思ったら、コグレさんが大事な人への情を利用して快盗にスカウトするわ、アルセーヌはマグナム欲しけりゃ大事な人の幻撃てと迫るわと、快盗側の方がよほど人が人を思う気持ちを利用したりハードルにしたりしてた(苦笑)。

 

ゾックスはピラートにフリントをボコられて大激怒。鬼の形相で躊躇なく変身し、霊とはいえ生身の相手に強烈な蹴りを喰らわす(笑)。

これ、ゾックスが「悪」だから出来るのかもな。仮面ライダーエターナルが、打ち負かして怪人から変身解除させた生身の敵=人間をそのまま蹴り殺したのを思い出した。

ただし相手は霊だからダメージも受けず、元々死んでるから死も恐れず戦う、と、今回ゾックスがずっと生身相手に戦う理由付け。

 

その頃、非道な作戦に怒る介人たちゼンカイジャーはボンワルドとハカイザーと戦闘中。その最中に介人はステイシーが母親と戦わされてることに思い至ると、ハカイザーにステイシーの居場所に案内させ、あわや母親に刺し殺される寸前のステイシーを体を張って庇う。

「こんなの、ステイシーも、お母さんも、絶対悲しい!」と助けた理由を告げる介人。その悲しさは、ハカイザー=父親と戦わされている介人自身が一番よくわかってる。終始明るくあまり悲壮にならずポジティブだからあまり前面に出て来ないけど、介人だって相当辛いんだよな。それが今回ステイシーの受難で浮かび上がる。

更に、自分にそんな仕打ちをしている相手であっても「俺の気持ちを思い知ったか!」ではなく「俺と同じ悲しい思いをするのは見過ごせない」という思いやりを発揮するのかよ?と、どこまでも他人への共感を大事にする介人のヒーロー性なに改めてお手上げ。

 

ハカイザーがこっちに来ている隙に、ガオーンが構えマジーヌブルーンが支えるキャノンでボンワルドを撃破。ジュランはずっと曾祖父さんを相手にしていて、前回に続いて3人でぶっ放すと反動で吹っ飛ぶ。これでまだキャノン撃ってないのはマジーヌと腰痛ジュランか。年内に全員ローテーション一巡出来ればいいな。

霊たちは襲撃モードから正気に戻ることなく消滅して、先祖に襲われた側にとっては心に傷の残る人もいそうな後味の悪い幕切れ。

中でもステイシーにとっては、ハカイザーに抑え付けられ顔を歪めて抵抗しながら殺意を向けるのが最後に見た母の姿なんて、悪夢だよ。

 

ダイボンワルドは、精霊馬(胡瓜の馬)に精霊牛(茄子の牛)の豆知識を挟みつつセンタイジュウオーが撃破。

皆はカラフルに戻ってクリスマスツリーの飾り付けをしながら、改めてトジテンドの圧制を自分たちの代で終わらせようと誓う。時期的にクリスマス決戦を前にした決意表明って感じに引き締めるジュランが格好いい。

声優の浅沼さんは今回、ご先祖のサンジョの声も担当していて、本当に芸の幅の広い方だなと改めて。

 

一方、母親に殺されかけて傷心のステイシーは、それと同じことを自分が介人にしていることに思い至ってしまい、罪悪感を覚える。

自分がされたら嫌なこと悲しいことは他人にもしない。

それは他人と交流する時の基本的なマナーだけど、善人の発想でもある。悪役のメンタリティじゃないよな。

自分がされて嫌なことこそ「このままもっと苦しめ」と相手に仕掛けようとするのが悪役で、バラシタラはまさにそれ。

ステイシー父親と同じにはなりたくないって思いが強いから余計に自分の首を締めてしまってる。

そんで自分からずっとそんな思いをさせられている介人が「同じ悲しい思いをさせないように」と庇ってくれたことで、介人への気持ちも少し変わってきているのかも。

更には自分を仲間として温かく気遣ってくれるハカイザーに対しても、仲間として大事に思う気持ちが強くなるに従って、洗脳して実の息子と戦わせていることが苦しくなり始めたかもしれないなあと思ったり。元々は、リセが言うように「優しい子」なのは、スーさんを見かねて助けてあげたことからも分かるもんなあ。

 

一方トジテンドでは、ボッコワウスが先々代の細胞をハカイザーに使うよう、イジルデに迫ってびびらせた所で、続く。

季節外れのお盆回、面白かった。

ハカイザーを強化体にして、いよいよクリスマス決戦って感じに盛り上がりそうで楽しみ。と思ったら、予告がそれにそぐわない時期ズレのお正月モードでずっこけた(笑)。

ゼンカイジャー37話感想: 失敗の挽回も助けるダブルヒロイン回

冒頭、介人、フリント、ブルーンが美都子捜しから帰還。ブルーンはレンアイトピアにいたく感銘を受けていて、レンアイワルドの回の主役だったから今日はブルーンが同行したのかとほっこり。

けど、本当の狙いは別の所にあったのをこの時はまだ知らなかった(笑)。

3人は由椰ちゃんという女の子と一緒に人形を探すマジーヌと遭遇。自分で作った世界で1つの人形を落とした、と話す由梛ちゃんの様子に、何か思い当たったようなフリントのアップが意味ありげ。

 

そこにダイコンワルド。人々がその大根おろし攻撃「恨みおろし」を受けると、その人が捨てたらしいゴミが襲いかかってくる。

ブルーンも、頭に恨みおろしを被ったがとたん、さっき拾ってゴミ箱に捨てたばかりのゴミが襲いかかり、くっついて離れない。それだけでなく、界賊船の居室にまとめられていたゴミまで飛んできてくっついてしまった。

自分が捨てたゴミが「捨てるな(恨)!」と襲ってくる。降りたった芝生の上に不自然なくらいゴミがまき散らされていてそれをブルーンが片付けていたのも、今回ブルーンが美都子捜しに同行したのも、それをわかりやすく見せる伏線か。界賊船のゴミはきっと御礼を兼ねて気合入れてお掃除したからあんなにゴミ袋がたまっていたんだろうな。

 

ハカイザーの洗脳が不安定なので、ワルドを守る役目をステイシーが肩代わりしている。ワルドを逃がせたらさっさと撤退して、今日は介人との勝負にも拘らない。

そんなステイシーをボッコワウスたちも好意的に受け止めている。

元々ステイシーがイジルデに協力していたのは父を見返すためだけで、組織には愛着も忠誠心もなく時にはワルドを破壊すらしていた。

それが今ではハカイザーを失いたくないために自ら積極的に組織の歯車に組み込まれて貢献し、居場所が出来かけている。

父を見返すという行動原理も介人が嫌いで倒したいという感情も、大事な物を何も組織内に持たなかった時代の心の支えだったのかも。今はやっと出来た仲間を守る方が優先度高そう。

介人が敵にもかかわらず仲間を作れと説いたのはその先に自分が仲良くなる未来を見ていたかもだけど、仲間の出来たステイシーはその未来からまた一歩遠ざかってしまっているような。

バラシタラは初めて仲間の出来た息子に「イジルデの人形同士、せいぜい仲良くするがいい」と突き放してるけど、内心どう思っているんだろう。

 

カラフルでは、なぜダイコンワルドがゴミを操れるのか分からない介人たちに、ヤツデさんが「大根は捨てる所がないからじゃないかな?」と年の功を発揮。

大根は捨てる所がなく全部食べられる→捨てられたゴミが捨てるなと逆襲という概念的連想ゲームの賜物(汗)?

ブルーンは掃除好き故の自分の受難に納得。誰よりも掃除をしてきたために誰よりもゴミに恨まれるなんて理不尽だ(涙)。そんで過去に捨ててきたゴミの山が次々に襲いかかり、カラフルに被害が及ばないよう塀の外でゴミに埋もれるのが不憫だけど笑ってしまう(笑)。

 

ならばダイコンワルドを倒すまでと皆が街に出ると、捨てた物の逆襲がエスカレートしていて、廃車とかタンスとか壊れたビニール傘の先端とかが迫ってきたりと物理的に危険。捨てた女たちに囲まれている男とかは自業自得だけど(笑)。

 

由椰ちゃんは、一旦家に帰った後、持ち出したらしい自分の部屋のゴミ箱の中身を河原でぶちまける。見かけたマジーヌがダイコンワルドが来たら狙われると慌てると、むしろ狙われたいのだと言う。

そこにフリントも現れて、由梛ちゃんは人形を落としたんじゃなく捨てたんだと看破。

実は由梛ちゃんは自分で作った人形が下手で、友達に見せると何を言われるかと怖くてつい捨ててしまったのを後悔し、探していた。

フリントも子供の頃に、初めて自力で作ったオルゴールが歪んでいて音も変だと大人には見せられず、つい捨ててしまった。でも一生懸命作ったから凄く後悔し捜した経験があるので、由梛ちゃんのことも察せたということ。

カラフルで捨てたゴミが襲ってくるという言葉に反応する由椰ちゃんを見逃さなかったし、ずっと気にかけていたんだね。

「みんな、そういうのあるんすね。好きだし大事だけど、自信なくて、わーってなるもの」マジーヌも3話の占いをけなされた時の自分を連想して共感。

つい人形を捨ててしまい、それを落としたと嘘をつく由梛ちゃんの行動は決していわゆる「良い子」のそれじゃない。

だけど、あのくらいの子供、いや人によってはもっと成長してからもつい持ってしまいがちなネガティブな気持ちを「あるある」と受け入れ、それを後悔して取り戻そうとするなら全面的に応援するのがゼンカイジャーなんだな。失敗は挽回。

 

ダイコンワルドが現れたとの連絡に、マジーヌは自分も行きたいという由梛ちゃんの気持ちに応え、戦場に連れて行く。

今回の名乗りは離れた場所でゴミに埋もれたままのブルーンも含めた「4人と心はもう1人」のリモートバージョン。もう変則名乗りのパターンがいくつあるのか追い切れない(笑)。

ブルーンが集合写真にはめ込まれた欠席生徒みたいになっていて、今回はワルドの被害とコメディ部分を全力全開で体言してるな。

 

ジーヌは由梛ちゃんと一緒にわざとダイコンワルドの周りを飛び回り、敢えて恨みおろしを受けさせると、飛び去って河原に戻る。

由梛ちゃん目がけて襲ってくるゴミを、マジーヌとフリントがバンバン撃ち落とす。今回は小さな女の子だから良いけど、個人的には、あんまり他人に見られたくないゴミが一斉に襲ってきて、それを他人に撃ち落として貰うのはちょっとな・・・と変な所で冷や汗をかいた(笑)。

 

一方、対ダイコンワルドの方は、戦場に現れたハカイザーに、「今回は待機命令が出ていたはずだ」とステイシーが嗜める。でも「一緒に戦うよ。仲間だろ?」と言われると弱い(笑)。

カラフルのおやつ券を握り潰してまで選んだからには、失うのが怖すぎて一緒に戦う仲間という以上に、安全なトジテンドにずっといてほしい保護対象になってる感じすらある。ヤツデさんの時にはまだ抑えていた自分を受け入れてくれる人への執着のタガが外れたみたいだな。

 

ダイコンパワーレベルアップからの恨みおろし攻撃をジュランとガオーンが浴びると、切り「捨てられた」クダックがゾンビ化して倒しても倒してもまとわりつく。更に、見「捨てた」キカイトピアが迫ってきて、この世界ごと飲み込む勢い。厳密にはキカイトピアは見捨てられた訳じゃないんだけど、このあたりもう解釈次第でどうにでもなるのがゼンカイクオリティ(笑)。

 

河原では背後からお目当ての人形が「捨てるな~」とナイフ片手に襲ってきて、下手くそな手作り感満載だから緩和されてるけど、これが精巧な市松人形とかなら立派にホラーだ(汗)。

それを2人がかりで引き留めて時間稼ぎする女子ズ。「由梛ちゃんの背中はお姉さん<たち>が絶対守る」って、大袈裟でも何でもなくこういうことね。

安全第一なら子供を戦場に連れていくなど論外。平和第一ならただでさえ1人少ない今回は戦線離脱すべきじゃない。たぶん賛否両論あるだろうな。

だけど「間違えた1人の子供」の心を助けるのだって、同じくらい大事で、「トジテンドと戦うだけがゼンカイジャーじゃないんだよ!」と介人もそんなゼンカイジャーのヒーローとしてのあり方を補強しているのが、なんだかいかにも香村さんらしくて優しい。

 

セッちゃんのアドバイスでジュランたちが対抗索で取り出したのは、マジレンジャーのギア。その場にいないけど今回の主役の1人ということもあってか、マジーヌのモチーフという特別なギアをここで使うのか。

すると強化の呪文によって、ゾンビクダックたちは強化されクダイターに進化。敵に塩送ってどうすんだよな展開のはずが逆に、ゾンビたちは「捨てるどころか、強化してくれてありがとう!」と喜び、なぜか成仏(汗)。

「捨てられた」という状態ではなくなったために恨みが消えてダイコンワルドの能力の影響を受けなくなった、ということか。理屈はそんな風に通るのかもだけど、いややっぱりトンチキ展開過ぎる(笑)。

ハカイザーはワイヤーでくくりつけて足止め、ステイシーはゾックスが対応している間に、ダイコンワルドはキャノンで撃破。3人だけだとやっぱり吹っ飛ばされる演出が、細かい。

 

ワルドが倒されたら役目は終わり、とステイシーはハカイザーを連れてとっとと撤収し、今日はニュークダイテストが召喚されゼンリョクゼンカイオーのターン。

大根おろしは「消化を助ける」から、ダイダイコンワルドのそれを浴びると、ロボの体が溶ける。

いやいやいやいや(汗)。

 

干し柿→乾燥→強制脱水による大量殺戮

牛乳→白い→記録やデータの抹消による文明滅亡

大根①→捨てる所がない→捨てられたゴミが捨てるなと逆襲

大根②→消化を助ける→ロボが溶ける

 

食べ物系ワルドの能力の見せ方としては、「食べたくて止まらない」というカシワモチワルドの能力みたいなのが王道なんだろうけど、柏餅中毒のインパクトが強すぎてその後方向性を変えたのかもしれない。

だけど、平凡な食べ物の特性を拡大解釈して凶悪兵器化するにも程があるだろと(笑)。

 

それに対抗するのはスーパー戦隊全力シークレットパワー。何が出てくるかと思ったら、ルパンレンジャーのマジックダイヤルファイター。

おお、ルパパトだ~と懐かしく思う気持ちは、次の瞬間、なぜかいそいそと御膳を運んで来る巨大化ヤツデさんを見て吹っ飛んだ(笑)。

秋刀魚の塩焼き、蕎麦、ナメコ、揚げ出し豆腐。すると大根おろしたちが引き寄せられるようにそれらの器の中に飛び込む(汗)。

「そっかあ。大根おろしだもん。ロボより料理に添えられたいよね~!」と料理好きのガオーンが弾んだ声で納得していたけど、ちょっと待て。ついさっきまでロボ溶かしてた凶悪な大根おろしが、料理の横にちんまりと料理に添えられて、それでオールオッケーなのか?食えるのか?(笑)

でもいったん理屈さえ付ければ、それがどんなに荒唐無稽で非現実的であろうとも強引に押し通す、香村さんの開き直りスキルが炸裂。それををマジックの謎の力技のせいにしているのが狡い(笑)。

 

ダイダイコンワルドは撃破され、人形を取り戻した由梛ちゃんは満面の笑みでマジーヌとフリントにありがとうと言い、マジーヌがデレデレ照れまくるのも納得の可愛いらしさ。

ダブルヒロイン回だったけど、2人は終始仲が良くて、特にぶつかり合いもなく和やかに一件落着。フリントが登場したばかりの頃は、性格的に凄くハレーションの起きやすい組み合わせだと思ったけど、そういうのはレンアイワルドのせいにして済ませ、あまりギスギスさせなかったなって感じ。

ドラマ的には戦隊メンバーのマジーヌよりむしろサポートメンバーのフリントにスポットがより当たった回だったな。ゼンカイジャーは着ぐるみメンバーのメイン回が決して多いわけじゃないから、今回も着ぐるみより俳優さんのドラマを優先した感じがあってちょっと複雑な部分はあるけど、その代わりマジーヌは由梛ちゃんを戦闘に参加させるなどアクション面でしっかり見せ場を作ってバランスを取ったのかなって印象。

 

今回ゾックス兄貴は出番控えめ。だけど少女時代のフリントが捨てたオルゴールを捜し出したと台詞だけで語られて、画面の外でちゃんと好感度ポイントを積み上げているのは手堅い。

今度は父ちゃんたちを取り戻すと盛り上がる介人に引っ張り回されてよろけるままになっているのが、可愛かった。

 

一方トジテンドでは、ステイシーがワルドの護衛役として目途がたったため、ボッコワウスがハカイザーには更なる発展を期待したいとゲゲに告げ不穏な空気で、続く。

介人にとってはまた辛い展開になりそうだけど、一方でそれが「仲間としてのハカイザー」をステイシーから奪うような形になれば、今のステイシーならトジテンドとは相容れなくなる展開も考えられて、それも楽しみ。

ゼンカイジャー36話感想: 仲間仲間仲間♪仲間が出来ると♪

ハカイザーの正体が介人の父親と聞いて、驚かずにむしろ納得しているゾックス。以前、ハカイザーから介人に似たものを感じていたもんな。介人ラブなガオーンは気付けなかった不覚にショックを受けてるけど、恐るべし後方彼氏だの観察力(笑)。いや、元々ゾックスの洞察力がゼンカイ陣営で最強だったってことか。

ハカイザーは倒すんじゃなくて捕獲、さくっとそう了承したゾックスは、トジテンド襲来を聞いて妹弟たちと何やら作戦会議。

 

今回の敵はビックリバコワルド。でもその攻撃は、光線を当てたものがビックリバコに変わって中からビヨーンと花とか他愛ない物が飛び出すだけ。

ゼンカイジャーたちが駆けつけた時には、街の人々は一通りびっくりした後にとっとと何事もなく受け入れていた。相変わらずの大らかさ(笑)。

ビックリバコワルドは5人の銃に光線を当ててビックリバコにすると、撤退・・・しようとした所をゾックスが、ゴセイジャーのギアでゴセイナイトのライオン頭になり、咥えて連れ去ってしまう。

 

トジテンドではハカイザーの正体が功博士だったことから、イジルデのこれまでのパクリがとうとう全部、ボッコワウスにバレていた。

自分を騙していた事に怒るボスの包丁でみじん切りにするような小刻みな拳芸に合わせて小さく上下する幹部たちが可愛い。

でもゲゲがすかさず、そんな優秀な科学者を攫ってきたイジルデの功績を指摘すると、コロッと賞賛に切り替わる。

ちょっと待て。トジルギアの発明も元々は五色田夫妻の技術だったってこと?センタイギアの技術を応用してイジルデが「世界を閉じ込める」という技術を開発したのならセーフだけど、それすら五色田夫妻が開発してしまっていたのなら、ちょっとマッドサイエンティストになっちゃうなあ、とヒヤッとした。

渦中のハカイザーは洗脳強化&充電中で、その姿を見つめながら、ようやく手に入れた初めて仲間を失いたくない気持ちとヤツデさんに難しいを返てあげたい気持ちとの間で揺れまくってるステイシー。彼がおやつ券を見る度に、裏に書かれた「いつでも来てね!」がチラチラ目に入ってきて胸を抉ってくる。こういう場面をきっちり挟んで貰えて、扱いが丁寧だなと思う。

 

ゾックス一家はニチアサお馴染みの廃倉庫でビックリバコワルドを文字通り吊し上げ、ハカイザーを呼ぶよう銃で脅すわくすぐるわ、やっぱりひと皮向けば根っこは海賊。

「介人、こういうの嫌がりそうだけどな」とフリントが気にかけると「だからこっちで勝手にやってんだ」とゾックス。

介人のためなら自分が手を汚し、しかも汚れた血飛沫が介人にかからないよう配慮してる。

この時、私の頭の中に「君が笑ってくれるなら、僕は悪にでもなる~」という中島みゆき「空と君の間に」のフレーズが流れた(汗)。

なんだか清廉潔白なトップでいてもらうために裏で汚れ役を引き受けるナンバー2みたいな趣を感じるな。

 

カラフルに戻った介人たちもその意図に気付く。最初に気付くのがブルーン、それに同調するのがマジーヌと、今までジュランやガオーンに比べて割りを食いがちだった2人にここのところ、ちょこちょこスポット当ててフォローしてる感じ。

ゾックス兄妹の読み通り介人はそんなやり方に反対。更にジュランも、ビックリバコワルドを放っておくと、そのうちにどんな被害が及ぶかわからないから早く倒すべき、と主張。

確かにこれまでも、キノコワルドやレトロワルド、ホシガキワルドとか、作戦が第二段階に移ると被害が深刻化するワルドが少なからずいたもんな。

 

この、

・ワルドを人質にハカイザーをおびき出そうとするゾックスと、平和の為に一刻も早く倒すべきなゼンカイジャー

の構図って、何かに似てると思ったらルパパトの、

ビークルを奪った快盗をおびき出すためにギャングラーとの戦いを引き延ばそうとする圭一郎と、それに平手打ちを喰らわしたつかさ

だった。

ちょっと脱線すると、パトレンジャーはルパンコレクションやビークルの力自体は認めていて、自分たちの戦力増強のためにルパンレンジャーと争奪戦もする。でも、それが怪人の金庫の中なら取り出すより平和のため倒す=金庫ごと破壊することを優先する公的戦隊だった。(ただし最終回のつかさには金庫のコレクションを気にする台詞があって、それがノエルへの配慮なのかもと疑ってるけど)

私的戦隊のゼンカイジャーも、介人には「両親を取り戻す」というルパンレンジャーと同じ願いもありながら、スタンスはしっかり公的戦隊そのものなんだな、と思う。

 

(なお愚痴になるけど、パトレンジャーにとってビークルは大事だけど戦う為の手段にすぎず、平和や目の前の人命優先の為なら手放したり破壊したり出来る物で、そこが自分の私的な願いとの板挟みになるノエルの辛さや迷いに、今回のステイシーの半分でもスポットを当ててくれていたら、一部の風当たりももう少し和らいだのではと思うと、それを徹底的に阻んだ諸般の事情が悲しいよ)。

 

だけど、そんなゾックス一家の前に現れたのは、ハカイザーではなくバラシタラ。その途端、ビックリバコワルドは弱々しかった今までの芝居を棄てて凶悪な本性をむき出しにし、縛られたまま倉庫内にビーム攻撃。倉庫内の至る所に発生したビックリバコの中身が界賊一家を襲う。

ハカイザーはバラシタラの配下ではないけど、父親だと分かったらゼンカイザーは取り戻そうとするだろうからビックリバコワルドには弱々しいふりをさせてわざと捕まり、そこにバラシタラが合流して一気に殲滅って作戦か。

バラシタラってプライベートでは息子の変装にも入れ替わりにも気付けない駄目親父なくせに、軍人としては親子の情を嫌らしく作戦に取り入れるんだな。

ゾックスはビックリバコワルドの光線をギアダリンガーに受けてしまって蓋が閉まらず変身不能。フリントはビックリバコから出てきた男から弟たちを庇ってダメージを受け、倒れてしまう。

罠を仕掛けたつもりが裏をかかれて界賊たちは一転、この世界に来て以来最大のピンチ。

 

その頃街では、ビックリバコのスケールが超拡大して、突然地下から飛び出したバネに人が飛ばされたり建物が破壊されたりなど、やっぱり作戦第二段階の被害は甚大。介人たちのヒーローとしてのスタンスが正しく、それを外れたゾックスたちは窮地に陥っているという対比が、今回は界賊に対し容赦ない。まあそれも元は介人のためなんだけど。

救助にあたっていたところに双子から事情を聞いて、介人たちは絶体絶命のゾックスの元に駆けつける。

ギアトリンガーの蓋が閉まらないから変身出来まいと嘲笑うビックリバコワルドに「出来るよ、仲間がいればね」と介人がにっこり。

どうするのかと思ったら1人が操作する時に、隣の仲間がその蓋を抑えるだけ。

仲間がいるから補え合えるという見せ方に、こんなにもシンプルで超他愛なく、でもわかりやすくて素敵な形があったのか。唖然として、笑うと同時に感動してしまった。これは、背後にに1人で転がってるゾックスには出来ないよね。

介人は変身し終わると今度は倒れていたゾックスも起こして、蓋に手を充てる。

助けて貰ったゾックスは、抑えてくれてる介人に構わずに、なんかいつもよりムキになって踊る(汗)。ここでしおらしくなってたまるか!みたいな意地だろうか。

「どうしても踊らなきゃいけないんですか?」と真顔で呟く倫太郎が脳裏に浮かんだ(笑)。

 

ビックリバコワルドとバラシタラにはスーパー化した介人とゾックスが対応。キカイノイドたちは、救急戦隊55Vのギアを使って炎の中倒れているフリントを救助。ジュランたちキカイノイドが、ここまでがっつり界賊側の誰かを直接助けたのは初めてかな。ゾックスも色では呼ばなくなってはいたけど、これでまた距離が縮まるならいいな。

 

その頃、充電完了したハカイザーは戦いの気配を感じ取り、イジルデの意向を無視して戦いの場に駆けつける。

バラシタラ的にもお呼びじゃないんだけど、ハカイザーは自分が誰の配下とか関係なく、あくまでワルドを守るのが自分の役目というスタンス。でも何がなんでも守るという悲壮さは感じなくて、なんか本当はゼンカイジャーと戦えるのが楽しい方が上回っているような。

介人はハカイザーから「父ちゃん」に戻そうと呼びかけながら戦い、追いかけて来たステイシーは、暫くそれを見守り、たぶん迷った後に「済まない、ヤツデ」とおやつ券を握り潰して変身。ハカイザーは渡さないと割って入る。

もし仲間になる前だったなら、ステイシーは美都子の時以上にヤツデさんに実子を帰してやろうと暗躍したかもしれない。

介人はステイシーに仲間を作るよう促し仲間が出来た事を喜んだ。最終的に自分がステイシーと友達になる未来を見ていたと思う。

けど、その結果、ステイシーはそんな思惑から外れた道を選び、現時点では父親を取り戻す障害として跳ね返ってきてしまったのが皮肉だな。

 

初めて出来た仲間を選び、カラフルのおやつ券を握り潰すステイシーは、外の世界に友達が出来たからカラフルに来なくなった諒くんと同じなのかもしれないと思う。

たぶん少年の成長としては正しいんだろな。でもその仲間が無理やり拉致され洗脳されている時点で、築いた関係は所詮、砂上の楼閣なんだと思うと悲しい。

 

ハカイザーは「渡せとか譲れとか、やめてくれえ。俺の仲間は、俺が自分で決める~!」

自分の意思を強く打ち出しているんだけど、所詮は洗脳の土台の上に築かれたキャラなんだと思うと哀れにも思う。

介人にも「自分で決めるなら、やっぱり本当の父ちゃんに戻ってからだ」と、真っ当なことを言われてしまう。

でもそれを「黙れ!お前ばかり何でも手に入れさせてたまるか!」と理屈でなくネガティブな私情全開で否定してくるステイシーが悲痛。

 

一方ビックリバコワルド担当のジュランたちはノリノリで圧倒し、キャノンを撃つ役を譲られたブルーンが「いいんですかあ?嬉しいなあ」とぶっ放したら反動で上半身だけ吹っ飛ぶ。今年1番じゃないかってくらい笑った。免疫力アップに良い番組だとつくづく。

 

それを見てショックのハカイザーをステイシーが慌てて抑え込むようにトジテンドに連れ帰る。1度そちらに舵を切ったら、もう失うのが怖くてなりふり構っていられずに執着する姿を晒すんだな、って感じが痛々しい。

バラシタラはゾックスを地面に転がしつつ「命拾いしたデアルな」と自分の勝ちを印象付けて撤退。スーパーツーカイザーがバラシタラより弱い、とはっきり見せつけられたのが、ちょっと悲しい。

 

巨大戦は今回はセンタイジュウオーなので着ぐるみ撮影か。ビックリにはビックリ返しと、マジブルーンがぬぬぬマジーヌでなぜか「スターどっきりマル秘報告」の寝起きドッキリをワルド相手に再現。最初何が起こったか分からなかった(汗)。懐かしかったけど、ちびっ子たちも絶対に元ネタなんかわかるまい(笑)。こういうネタ本当に好きだな加藤監督(笑)。

今回もゼンカイジュウオーとマジブルーンで撃破。販促事情なのはわかるけど、そろそろジュラガオーンもまた見たい。あの合体バンク雑談コーナーも随分とご無沙汰だと思うとちょっと寂しいな。

 

戦い終わった夜のカラフルでは、介人が2度とあんなやり方はするなとゾックスにお説教。やり方の是非だけでなく、今回はゾックスとフリントが危機一髪だったからってのもあって余計に真剣。渋々従いつつ手遅れになることを危惧するゾックスだけど

「手遅れにはしない。絶対助ける。今回みたいに(にっこり)」と、今日のことを引き合いに出されると弱いよな。

店の外で待っていた妹弟たちに「仲間が出来るってのは、面倒臭えな」と呟いて、満更でもなさそうに口の端で笑うゾックスが素敵。更にその後今晩のご飯のリクエストを聞かれ「イカそうめんかな」と渋いところをつく意外性も良い。

ゴーカイジャー12話のラストで今夜は豚丼だと言われ「手羽先が良かったな」と呟くジョーが、ちょっと被った。

 

敵の仕掛けた変身封じを仲間との連携で打開するゼンカイジャー

やっと出来た仲間を失いたくなくて、慕っている人の息子だけど帰さない道を選ぶステイシー。

仲間の望みを叶える為に仲間の喜ばない方法を選んで咎められ、仲間が大事だから気持ちを尊重して渋々従うけど満更でもないゾックス。

仲間仲間仲間。仲間が出来ると、1人では出来ないことも出来る。一方で心が乱れたり、面倒臭かったりもする。そんなあれこれがいっぱい詰まった素敵な回で、面白かった。

ゼンカイジャー35話感想: ふざけ過ぎたサブタイトルの癖に超重要回過ぎる

最初に言わせて欲しい。いろいろ重い内容で見応えあってグッときたし凄く大きなターニングポイントでもあった重要回なのに、そのふざけたタイトルはなんだ(笑)。

「ダイヤモンド◇ユカイ?!」

内容と乖離し過ぎてるだろ。

名前を使われたタレントさんが、「勝手に使うなら呼んでくれよ!!」と突っ込んでおられて笑った。

でも、この記事のサブタイトル考えた時に、いろいろありすぎて的が絞れず、なんとなくだけどこんなタイトルにした気持ちがわかったような、いややっぱりわからないような(汗)。

 

介人は最近ジュランたちの様子がおかしいことを界賊一家に相談。自分が属する集団の大事な仲間たちが揃って挙動不審になった時に、気兼ねなく相談出来る別の拠点があるって、こういう時に助かることもあるんだなと思う。追加戦士がすっかり仲間になりきっていないからこそのメリット。

何かのサプライズパーティーを考えているのは?と言われ、自分の誕生日が近いことと結びつけて喜ぶ介人。

そう言えば射手座だったか。射手座は11/23~12/21。クリスマス商戦イベントにぶつけてくることも出来る誕生日。

そんな介人を嬉しそうに横目で見てるだけのゾックスが、これぞ後方彼氏面だよなあとしみじみ(笑)。本当、介人が幸せだと自分も嬉しいんだね。

 

でもジュランたちがおかしいのは、ハカイザーの正体が介人の父親、功博士では?ということを言いそびれていたからで、キカイタコ焼き屋でどうするか相談。

4人もいて1つしか頼んでいないのが、別にタコ焼きを食べたいわけじゃなく(というかたぶん喉通らない)、落ち着いて相談出来るテーブルが欲しいだけってよくわかる。キカイタコ焼き屋は1話からちょこちょこ登場していたけど、ここもジュランたちにとって、カラフルでは話しづらいことを話せる拠点になってる。

攫われたのではなく功の意志でトジテンドに与したのか?とか改造されてたら?とか悪い方向に考えてしまうのも言いそびれていた理由。でも最悪は介人が何も知らないままハカイザーを倒してしまうこと、とジュランが年長者として自分が話すと宣言。

モタモタ言いそびれていた理由があくまで介人を慮ってのもの、と具体的な心配内容を出して彼らの好感度に配慮してる。更にそれを踏まえた上で優先順位を見失わずに自分が辛い役を引き受けるジュランの株がまた上がって、こういう所は香村さん本当手堅い。

 

でもそんな矢先に、に何でも硬く(固く)してしまうダイヤワルドと、それを守護するハカイザーが登場。ハカイザーが功だと思うと矛先が鈍るジュランたちは、「カタクナルフラッシュ」を受けて口が固くなり、「ダイヤ」しか言えなくなってしまう。言おうと決意した途端にそう来るのか。

その直後に、たぶん悩み相談から直行した介人とゾックスが参戦。4人は「ハカイザーは功だから戦っちゃダメ」と必死に伝えようとしても伝わらず、次々に武器を放り出しては、2人を戦わせまいと群がって妨害してしまう。膝の裏ツンとかコミカルな動きもあるけど、切ない。

 

カラフルで事情を聞かれてもやっぱり説明出来ない4人。「なら筆談すれば?」という視聴者のツッコミはお見通しとばかりに、紙にも「ダイヤ」しか書けないのが、想像以上に厄介。

理論派のジュランとブルーンが文字。感情感覚直感派っぽいガオーンとマジーヌが絵。ブルーンが紙いっぱいダイヤの文字で埋め尽くし、マジーヌが端の方に小さくダイヤの絵を数粒描い書ていたりと、それぞれの個性を表現していて細かいよ。

ジェスチャーも伝わらず、介人は皆がダイヤワルドに操られてハカイザーを守らされたと勘違い。「ハカイザーもダイヤワルドも卑怯全開だ」と怒りを爆発させて飛び出してしまう。

後を追おうとするジュランたちをゾックスが止め「操られてようがど冷ややかに言い放つのが怖い。苛立って椅子を蹴っ飛ばした時といい、カラフル組に馴染んだようでも一皮むくと海賊の荒々しい本性はそのままって感じで、ぞくっとした。

 

一方、ステイシーは、ダイヤワルドを離れた所から見守っていたハカイザーに「僕と組まないか?」と持ちかける。一生懸命さりげなさを装っているんだけど、自分の殻を破って思い切って声をかけたんだな、そこに至るまで頭の中であれこれ考えてたんだろうな、というのがバレバレで愛おしい(笑)。

ハカイザーはそれに対して凄くあっさり「組むも何も、俺たち最初っからチームじゃないか。だろ?」。当たり前にフレンドリー。

そうか、と思わず口元が綻ぶステイシーは、拒絶されるのが怖かったんだね、わかるよ(笑)。だってたぶん母を失ってからは無条件に受け入れてくれる存在なんてなかったろうし、そんな環境の中で自分自身も他人に対しては拒絶しかしてこなかったろうから。

今まで友達いなかった子が、気兼ねなく話しかけてくれる子に勇気を出して「友達になって」と言ったら「え?最初から友達じゃん」と言われてホッとする、みたいな微笑ましさ。この感じ、なんだかジュウオウジャーのみっちゃんの成長を見守ってた時に似ている(笑)。

 

海辺でゾックスがダイヤワルドを見つけた頃、商店街を全力疾走していた介人は、ハカイザーとステイシーのコンビに遭遇。この走り方だとたぶんゾックスは介人に追いつけず、はぐれたんだろな。

ステイシーがハカイザーと組んだ=仲間を作れるようになったのを見て嬉しそうな介人。でもハカイザーのことは倒す気満々なまま。それはステイシーからやっと出来た仲間を奪い、再び暗闇に突き落とすことになるんだけど。

たぶん更にその先にある、自分がステイシーの友達になるという光しか見ていない。ちょっと狂気で、でもそれが凄く介人だなと思う。

 

カラフルでは、ジュランたちが「ダイヤ」だけで深刻に会話中。東映公式によると、脚本では

 

ジーヌ「ダイヤ(どうしよう)」

ブルーン「ダイヤダイヤダイヤダイヤ(こんなことなら、もっと早く介人に伝えるべきでした)」

 

みたいに、「ダイヤ」にこめられた意味が演者にわかる書き方がされていたそう。うん、マジーヌの「ダ~イヤ~」が「どうしよう」なのは感じ取れた。ブルーンのはさすがに無理だったけど(笑)。

だけど、意味はわからなくても、彼らが次々決意してカラフルを飛び出していく気持ちはわかってぐっときた。これだけ上手い声優さん達が集まると台詞が「ダイヤ」だけでもちゃんと心に響くもんだな。

昔、外国の名優がレストランでメニューを読み上げるだけでその場にいる人を全員泣かせたという逸話を思い出した。けど、文章に近い外国のメニュー読み上げより今回の方が、もしかしたら難易度高い見せ方だったかもと思ったり。

なお、演出方法としては、例えば「ダイヤ」に脚本に書かれた心の声を被せたり、字幕で見せるやり方もあったと思う。それらを一切使わずひたすら「ダイヤ」だけで押し通したのは、中澤監督の手腕とか。声優さんたちへの信頼あってこそだなと思う。あ、もちろんスーツアクターさんの演技にも。

 

ステイシーたちの連携攻撃は、慣れないせいで失敗もある。そこを突いた介人がハカイザーにいきなりキャノンの必殺技を喰らわそうとするのを、駆けつけたジュランが蹴り飛ばすのが格好いい。

邪魔をするなとステイシーがジュランたちにあてがったのが、ゲキレッドとレッドバスターの強化体。

ゲキレッドは、正体を知らないまま父親(の亡霊)と戦わされた。

レッドバスターは幼い頃に異世界に飛ばされた両親を取り戻せず失った。

異世界に連れ去られた両親を取り戻そうとしていて、かつ知らずに父親と戦わされている介人を嘲笑うかのような人選(汗)。「ぐえっ」と変な声が出た。

もちろんステイシーはそのあたりの知識は皆無だし、そんな意図があるはずはない。

鬼畜なのはスタッフさんだよ。

強化形態を持っていて、介人と境遇が被って、かつ家族に関しては悲劇に終わった戦士。「知らずに父親と戦わされた」で統一すればマジレッドという選択肢もあったのに、あっちはハッピーエンドだから選ばなかったんでしょ(決めつけ)?

偽物たちと戦えながら必死に介人に戦わないよう訴えかけるジュランたちは、相変わらず「ダイヤダイヤ」としか言えないんだけど、介人とのすれ違いが切なくてやっぱりぐっと来る。

 

なおハカイザーは今回、「ステイシーの為にも」と介人を全力で破壊しようと戦って・・・本来の使命を忘れてる(汗)。

おかげでダイヤワルドは孤立無縁なままゾックスにフルボッコ。海に逃げたところをジュウオウザワールドの釣り竿で釣り上げて、撃破。出てきたと思ったらゾックスに引き込まれて慌てているコミカルさが、みっちゃんだなと思う。

 

同タイミングで口がきけるようになったジュランたちの叫びが響くのと同時に、介人がハカイザーにキャノンをぶっ放す。ハカイザーは仕留められはしなかったものの、ダメージ+充電切れで機能停止し、マスクが消滅。その下に隠れていた功の素顔が現れた。

前回はイジルデがすぐ回収したからわからなかったけど、そのまま暫くすると本人の意識は正気に戻る仕様らしく、功は自分が開発したゼンカイザーを見て、「まさか、・・・介人・・・介人なのか?」と聞く。

美都子が目覚めた時の様子からして、功には10年間眠らされていたという認識はなかったと思う。最後に見た介人は子供のはずで、でも大人サイズのゼンカイザーを見て、息子なのかと思った。やっぱりゼンカイザーは息子が使うことを想定して作ったか、もっと言うと息子にしか使えないような仕掛けをしていたんだろうか。

 

介人も変身を解いて、互いに驚きと同時に親子の再会を喜びかけたのも束の間、ステイシーが悲痛な叫び声と共に、功をトジテンドに連れ去ってしまう。

仲間なんていらないというこれまでの自分を乗り越えて、勇気を出して仲間になろうと持ちかけ、受け入れられて、嬉しかった。そんな経験しちゃう前だったら、ヤツデさんの実の息子なんだし、ステイシーは美都子の時以上に積極的に帰そうとしたかもなあ、と思うと切ない。

 

呆然としている介人たちの前にニュークダイテストが出現してダイダイヤワルドになる。

ツーカイオーで出撃だと勢い込んだフリントと双子が見たのは、ポツンと体育座りしている兄ツーカイザーの姿(笑)。なぜかわからないけど急に気分が落ち込んだと。

最初意味わからなかったけど、ギアの副作用かと言われて大笑い。ジュウオウザワールドみっちゃんと言えば、成長する前は豆腐メンタル過ぎていかなる状況でも構わず体育座りしてたもんな。それをここに持ってくるとは意表突かれた。

東映公式によると、実はロボ戦がCGになるので、(恐らく着ぐるみのツーカイオーもセンタイジュウオーも出せないことから)ゾックスを戦闘不能にするために香村さんが考えたらしい。ニュークダイテスト戦は全部CGになるってことかな。

ゾックスがギアを使いダイヤワルドをきっちり倒した上で、戦闘不能に出来る要素のある追加戦士、というパズルの答。

元々香村戦隊の戦士とはいえ、こうやってその膨大な戦隊知識を説得力と笑いを兼ね備えつつ適材適所で使いこなせる人が他にいるだろうか。そう思うと、香村さんがここまで35話中33話を独りで書いてる理由の一端を見た気がした。

 

ジュランが介人に「行けるか?」と気遣いながらもゼンリョクゼンカイオーで出撃。互いを思いやり合いながらもすれ違っていた介人と4人が今は心も体も1つに合体したロボになり、敵を倒すって良いな。32話以来なのも、ここぞという特別感がキープされている。

 

戦い終わって、今まで黙っていたことを謝る4人。それが自分たちへの思いやり故だと十分理解して受け入れる介人、ヤツデさん、セッちゃん。このやりとりが相変わらず香村さんらしいなと思う。

悪いことばかりじゃない。功は生きていて、ゼンカイジャーと戦えるほど元気だった。

嫁だけが逃げたというニュースを聞けば、もし私がヤツデさんなら「じゃあ息子は?生きてるの?」と不安でたまらなくなるだろう。だから、まずは最悪を免れて一安心なのは本当だろうなと思う。

 

一方、ハカイザーを強引に連れ帰ったステイシーは今頃、何を思うだろう。

ヤツデさんは介人の祖母。ハカイザーの正体も介人の父。ステイシーが欲しい物は皆、介人のもの。

1つくらい介人の物じゃない自分だけの大事な物も欲しかったろうにね。

でもそれはたぶんトジテンド側にいる限り叶わないよな。だからあんまり拗れてないで、早くこっちにおいで。

なんならガオーンにちょっくらステイシーと屋台に並んで、さっさと好きな物に素直になれと説教してきて欲しくなる。

そもそも人間とキカイノイドのハーフという個性だって、トジテンドでは異端扱いされただろうけれど、介人達の住む世界ではむしろ人間とキカイノイドの共生の象徴となり得るんじゃないのかな。

そんでもし近い未来に同じような子供たちが生まれてくるとすればその先達になるかもしれない。そういう意味でもステイシーはこちらの世界で生きるべきなんだよな、と思う

 

ゼンカイジャー34話感想: 一寸先は闇、その先に光

冒頭、カラフルのメンバー全員が見せたハロウィン仮装のクオリティが高い。ゼンカイジャーは着ぐるみキャラの多い戦隊の割にコスプレ率が高いイメージだけど、回を重ねる毎にどんどんそのクオリティが上がってる感じ。

特にマジーヌの魔女っ子が可愛くて、飾っておきたいくらい。魔女っ子と言えばジュウオウジャーのセラがやっぱりハロウィン回で見せた魔女コスプレが恐ろしいほど綺麗で似合ってたのを思い出した。

そんでヤツデさん!お若い頃に演じたピーターパンを還暦過ぎてさらっと再現。さすが長くトップアイドルを張りミュージカルもドラマもキャリアがある方は違うな。

先週のセーラー服もだけど、ご本人のボーイッシュで明るくさっぱりした持ち味も、コスプレの無理のない感じに一役買ってるんだろな。本当ナイスキャスティングだと思う。むしろいつもより若く見える(汗)。まあ普段は<祖母>だからとちょっと老けメイク気味なのかもだけど。

 

キカイノイドたちにとっては初めてのハロウィンだから、突然店に襲来した暴徒たちの狼藉を「ここまで激しいイベントなのか!」と驚きつつも受け入れかける描写が細かい。でもこんなの違う、と介人が否定。

例によってアバン時点で既にワルドのパワーによる異変が満ち満ちた世界になっているのが、やっぱりいつものゼンカイジャー。

 

今回の敵、ハロウィンワルドはトリックビームを人々に浴びせ、暴徒化してしまう。でもゼンカイジャーとの戦闘中に頭のカボチャ、ランタンが吹っ飛んだ途端、人々は正気に戻ってしまった。倒されなくても頭のランタンが外れるだけで、パワーが半減するワルドとしては珍しいタイプだったみたい。

 

というかトジテンド基準では欠陥品扱いで、怒るボッコワウスの巻き添えを食ったバラシタラが「そもそもワルドが出来るまでどんな仕様になるかわからないのが問題である」と、根本的な問題を指摘。

それにゲゲもボッコワウスも「あ・・・」と、まるで今初めて気付いたようにも、逆に「それ言っちゃったよ・・・」みたいなメタ的な指摘をされた気まずさにも取れるリアクションをしてて、じわじわ来る。

 

パワー半減のハロウィンワルドは身を隠し、その間に正義も悪も大真面目にランタン捜索。

介人画伯にこれを探してと押し付けられた絵でわかるはずもなく、片っ端から身銭切ってカボチャを買ってはリアカー引いて練り歩いてくれるゾックスは、やっぱり介人に甘いな。さすが後方彼氏。

 

ステイシーも、ここでランタンを見つければ僕の手柄だとカボチャを見繕っているところに介人と出くわして、気まずい(笑)。

こういう場合は、介人に戦いを挑む方にはスイッチ入らないんだな。真面目で不器用だからカボチャ探しで手柄を立てる方に意識が全振りしているのか、周りにこれだけ人がいる状態での戦闘は気が進まないのか、元々好戦的なタイプじゃないから「介人を倒すんだ!」と気合スイッチを入れてないとダメなのか。

それとも介人の友好的な態度に徐々に絆され入れ替わりとかも経て敵意が薄れて来ているんだろうか?ともちょっと思ったり。

 

ハカイザーに協力してランタン探しをしているのかという思い込みを否定された介人は、ステイシーに「バラシタラを超えたいんだよね?だったら、仲間と協力して、たっくさん勝つ方が良くない?」と敵にアドバイス(汗)。

「たっくさん勝つ」が成立するには、それだけこの世界の被害や自分たちゼンカイジャーが追い込まれたり負けたりが必要なんだけど、そこまで考えてないのか、それを跳ね返せる自信があるのか。介人だとどっちもありそうで怖い(笑)。

 

そんなステイシーが川をどんぶらこ流れるランタンを見つけた頃、ハカイザーもビルのてっぺんに普通はあるはずのないランタンが引っかかってるのを発見。状況的に後者の方がハロウィンワルドのランタンとしか思えなくて、もうこの時点でステイシーの負けが見えるのが不憫(涙)。

 

リアカーの引き方にカボチャ探しへのうんざり感満載のゾックス一家は、粗大ゴミに擬態してやり過ごそうとしたハロウィンワルドを、凄く緊張感なく発見(笑)。

今回のゾックスは変身ダンス中に逃げられたと見せかけて先回りして待っていたり、パワー半減のハロウィンワルドをおちょくったり。海賊らしい遊び心やガラの悪さを見せた戦い方は、個人的にはちょっとグダグダ感があって、ここでサクッと倒しておけよ、と少し株を下げた感ある。

けど、物語の展開的にそういうわけにはいかないのでちょっと割りを食っちゃったかな。

 

案の定、ランタンを回収したステイシーとハカイザーが別々にハロウィンワルドの元に急ぎ、介人とジュランたち4人が各々追いかけて、全員集合。

そんでハロウィンワルドが自分のランタンではなくハカイザーの方を選んだことに真面目にショックを受けるステイシー。

「僕は、あいつにも負けるのか」とか、その心の動きが、凄く思春期のナイーヴさに満ち満ちていて生々しく、本人は大真面目なんだけど、ごめん笑ってしまった。一方で、なんか他人事でなく共感してしまう部分もあるんだけど。

 

今回ステイシーが<負けた>のは、正しいランタンを見つけたか否かっていう部分だけなんだけど、なんかそこにワルドとの親密度や信頼感といった<人間力>の差みたいな物を感じてしまうのが辛いな。ステイシーはワルドに自分から歩み寄ったことなんかないからある意味自業自得なんだけど。

一方、ハカイザーはランタンをなくしたハロウィンワルドにも「失敗は挽回!」とか、もうそれまんま功博士じゃんなポジティブな励まし方をして、そりゃあワルドにしてみればハカイザーの方を信頼するに決まってる。

ゾックスが登場した時もそうだったけど、ステイシーにはクラスに馴染めないでいるうちに後から来た陽気な転校生がどんどん溶け込んで置いてきぼりになる子を見るような辛さを感じてしまうよ。

 

なお、そのランタンはゾックスが破壊してさっきのグダグダもちょっとは挽回。

でも、追い込まれたハロウィンワルドが代わりにステイシーのランタンを被ると、復活どころかパワーアップし、人々も再び暴徒化。結局どのカボチャでも良かったようで、

「何だったんだ、今までの時間!」と散々リアカー引き回していたゾックスが怒るのもわかるけど、でも君がとっとと倒していれば良かっただけとも言えるのよ?

「良いカボチャ見つけたなあ」とハカイザーに褒められたステイシーは、ゾックスに「面白いとこあんじゃん」と褒められた時に似たドギマギぶり。でもなんとか「・・・たまたまだ」と大したことない素振りを見せて、持ちこたえた(笑)。

 

介人&ゾックスはスーパー化し、ゾックスがハカイザーを引き受けて画面から消える(ハカイザーvsスーパーツーカイザーを見たかったからちょっと残念)と、ジュランたちがハロウィンワルドの動きを止めてスーパーゼンカイザーのワイヤーで拘束し、キャノンによってトドメと流れるような連携攻撃で撃破。このあたりの見せ方の手際良さはさすが中澤監督。

続いて出現したダイハロウィンワルドにはセンタイジュウオーが対応して、またしてもセンタイジュウギアの販促。どうやらゼンリョクゼンカイオーをホイホイ安売りするつもりはないみたい。キャノン自体はトドメで販促出来てるから良しってことか。

それに今回はキカイノイドたちにも重要な役目があったもんね。

充電切れで撤退しようとするハカイザーに食い下がり、巨大戦と同時進行で等身大バトルも続行。

 

巨大戦の方は、ダイハロウィンワルドの繰り出す大量のお化けたちの攻撃にセンタイジュウオーが苦戦。セッちゃんは「ハロウィンの仮装は悪霊に狙われないため」というへえ~な豆知識を披露しつつセンタイジュウオーも仮装するよう無茶ぶり。

仮装と言われてもどうするのかと思ったら、センタイジュウオーはビルが被っていた巨大シーツを横取りしお化け仮装。そしたら本当に仲良くなって攻撃されなくなった(笑)。相変わらずのゼンカイ脳全開バトル。

ハロウィンパワーが満ち満ちてビルまでお化け仮装していたのを、逆に突破口にしたわけね。

 

東映公式によれば、このあたり毎回恒例ながら中澤監督が「いったいなにを撮っているんだろう」とつぶやきながらディレクションしていたそうで、じわじわ来る(笑)。

 

充電切れ間近でも強いハカイザーに、ブルーンがボウケンジャーのギアを使いデュアルクラッシャーのミキサーヘッドでセメント攻撃。時間を稼いで機能停止に追い込む。

ハカイザーの正体判明に繋がる重要な局面で、ボウケンジャーモチーフのブルーンが満を持して<先輩の力>を使ってくれたのが、彼の見せ場にもなってなんか嬉しい。

ハカイザーのマスクが消失して隠れていた人間の頭部が露わになる。その顔にジュランたちが思い切り衝撃を受けるも、視聴者には誰なのか見えない、というドラマチックな演出。

けど、たぶんこの時点でその正体がわからない人はいないと思う(笑)。

ハカイザーはイジルデが回収して撤退し、ダイハロウィンワルドは形勢逆転したセンタイジュウオーが撃破して、「世界全開、オールオッケー」と介人の声が高らかに響く。介人の中ではいつもと同じ一件落着。

あんな大騒動のわりに戦いは昼間のうちに終わったようで、すっかり子供たちがお菓子を貰いに来るいつものハロウィンに戻った。

けれど、ジュランたちは介人やヤツデさんを気にしながらカウンターに集まり深刻な空気。

ハカイザーのマスクの下の素顔はやっぱり功博士だった。無表情でこめかみに何か装置がついていて、恐らく操られている状態。

一方ステイシーはそんなハカイザーの正体を知らないまま仲間として考え始めていて、続く。

 

ハカイザーの正体が功博士なのは初登場時からバレバレ。でもその仕組みは、充電中の本体から離れた空間に功博士の映像が浮かんだ場面から、てっきり中身は機械で功の思考回路だけを脳から抽出して付与したのかと思っていた。

功の本体は冷凍保存のまま脳のデータをダイレクトに取り出してハカイザーやキャノン等を作ったのなら思考回路も同様に出来るのではと。

でも実際は、中に本人が入っているスーツ形式だった。そこは驚いたけど、考えてみると元々ゼンカイザーの候補デザインならスーツとして設計してたことになる。

キャノンのゼンカイザーマークすら変えずにそのまま採用した丸パクリのイジルデが、ハカイザーをスーツから別の物に作り替えられるわけなかったんだな、と妙に納得した(笑)。

見た目は正義のヒーローの候補デザインで、キャラも爽やか。ワルドを倒しに来るゼンカイジャー以外の一般人に危害を加える気はゼロ。今回も一般家庭の庭でランタン探していたのを見咎められた時に「お邪魔してま~す」で、小さな子供に手を振られてる始末(笑)。

仲間を励まして共に頑張ろうとするし、正体を知れば余計に、元々は正義のヒーロー資質の持ち主が場違いに悪側にいるだけって感じ。

今いる環境が悪いだけだと思わせるのはステイシーにも通じる。違うのは、そんな環境でも周囲へのポジティブな接し方で徐々に良好な関係を構築していきそうな所かな。いかにも介人の父親って感じ。ただそこに功本人の意思がないのがなんか切ない。

 

そんでステイシーはやっと孤独から抜け出してハカイザーを仲間として見始めたと思ったら、それも元々は「僕が持っていなくて介人が持っていた物」、父親だったわけで。

ステイシーがそれを知ればまた衝撃を受けたり葛藤したりするんだろうな。一寸先は闇。

でも個人的には、もうその先に光しか感じられない。

ハカイザーも連れて早くゼンカイジャーの側においでよ。

ヤツデさん泣いて喜んで感謝するし、バラシタラを超えるチャンスだってこっちの方が大きいよ、良いこと尽くめじゃん、て。

考えてみるとステイシーは、介人は嫌いでも影響受け変わろうとしていて、ヤツデさんに惹かれ癒されて、美都子の血で延命し、正体が功であるハカイザーとも仲間になる道が見えてきた。五色田家総出でステイシーの体も心も救ってる感じ。

ステイシーもセンタイジュウギア開発に寄与し、美都子を逃がし、テニスボールにされたヤツデも助けている。だから、実は既に凄くwinwinな関係では?と思ったり。

 

ゼンカイジャー33話感想: 10年越しの制服回 「トジテンド学園で僕と握手!」

冒頭、介人はブルーンと買い出しの帰りに、トジテンドパレスで遭遇した大きな鳥ゲゲについて尋ねる。双子?という疑問は、幹部たちの前で正体を暴いておきながら逃げ道を教えるという矛盾が引っかかるからか。

疑問を持ってもおかしくはないけど、わざわざ話題にしたのは、「ここ引っかかっておいて下さいね」というメッセージかな?まあ香村さんの過去作を見た感じ、引っ張って引っ張って結局肩透かしに終わる可能性もないわけではないけど。

 

今回の敵はガクエンワルド。世界を広大な1つの学校、トジテンド学園に変えてしまい、人々は強制的に学生服/セーラー服姿に変えられ生徒に。

東映公式によるとジュランたちのスリムな姿は、あのゴツい体に着せられる学生服を用意するよう無茶ぶりされた衣装さんが突きつけた、逆にキカイ部分を剝ぎ取るという気骨ある回答だそうで。番組を作るって大変だなーと譲れない一線の攻防に笑った。

ちなみにガクエンワルドを守ろうとしたハカイザーも巻き添えでスリムな学生服姿にと、敵味方見境なし(笑)。

更にはカラフルも駄菓子部として学園の一部に取り込まれ、ヤツデさんもセーラー服でどうやら満更でもない様子(笑)。そんで学帽に葉っぱ加えたセッちゃんが可愛い。めちゃくちゃ可愛い。

 

ガクエンワルドを倒さない限り、皆一生ここでクダックになる教育を受けなければならず、ネクタイシールドを付けたクダイター先生にも逆らえない。でも学校=広大な世界のどこにいるのやら。

と、捜しあぐねる介人たちが目撃したのは、テストに満点合格して生徒から先生に昇格し校長室に行けるようになったハカイザー。

 

そんで教壇に立つのは金八スタイルのステイシー(汗)。

テストに合格すればガクエンワルドに会いに行けると勢い込んでテストを志願するゼンカイ組に、淡々とトンチキクイズを出し「答、オープン!」と普通にノリノリ。前回ラストの、荒涼とした世界で拳を握りしめたシリアスな姿からの温度差に風邪ひきそう(笑)。

そこに至るまでにどんな心の変遷があったのか真面目に知りたいけど考えたら負けってヤツだろうか(汗)?

でも、考えてみると今回はヤツデさんに直接危害が及ぶ訳ではなく、世界が1つの学園となることでカラフルもその一部に組み込まれ、その気になれば自分も先生として買いにいける。それって、ステイシーにとっても悪くない作戦に思えたかもなあとも思う。少なくともあのトジテンドパレスで微妙な扱いを受け、鬱々としているより、ここで先生として扱われている方がずっとマシだろうと思ってしまった。

 

「クダックの歯は何本か?」なんていう無茶ぶり問題に正解したのはフリントとブルーンの2人だけ。

不正解の罰で爆発コントみたいな頭になったゾックスが「頼んだぞ、フリント、ブルーン・・・!」と力無く呟く。

・・・ちょっと待て。今、「青いの」じゃなくて名前で呼んだ?と思わず巻き戻した(笑)。

前回、ゼンリョクゼンカイオーの活躍を見たゾックスが「あいつ<ら>やるじゃねえか!」って感心してたのを見て、「ん?<ら>って、介人だけじゃなくジュランたちのことも認めたってこと?」と引っかかってはいたけど、さりげなかったんでスルーしてた。

でもこんな聞き取れないような呟きで、「相手を認めることで呼び方を変える、ちゃんと名前で呼ぶ」というイベントを消化しちゃうのか。香村さんらしくはあるけど、もうちょっと劇的にしてくれても良かったのよ(涙)?

まあブルーンの場合は「私の名前はブルーンです!」が印象的だったから、味方のゾックスでもう一度それに近いことをやるのはちょっと、ってことかもだけど。ただどうもゾックスの心境変化は、敢えてあまりメリハリ付けて描写しない感じもする。

 

フリントは合流前のスシワルドネタで脱落。これは仕方ない。脅威の記憶力でそれをクリアしたブルーンも、顔だけの写真でゴミワルドとリサイクルワルドを見分けるとかいう無理ゲーで撃沈。同じ着ぐるみにシール貼ってるか否かだけの違いは出題者のステイシーにも判別不能。それがバレバレなのを取り繕いながら不正解判定するいい加減さで、もはやすっかりゼンカイ堕ちしてる(笑)。

 

行き詰まった介人たちにヤツデさんが何やら知恵を授けると、次の場面では一気に不良スタイルになった彼らがオラオラとグランドで派手な抗争を始めた。

 

元ネタは

ジュラン→嶋大輔?

ガオーン→ルーキーズ岡田?

ジーヌ→スケバン刑事二代目?

ブルーン→今日から俺は三橋?

だろうか?ちなみに

セッちゃん→ドカベン岩鬼

サブタイトル「グレートティーチャー鬼使い」→GTO

って感じかな?

介人はフォーゼ?と思ったけど髪型がちょっと固めすぎだろうか。

「なんかそっちだけお洒落っぽくしてんじゃねーぞコノヤロー!」と、今日もジュランのツッコミはキレキレ(笑)。

 

いきった表情で派手に暴れているようでゾックスとか動きがグダグダ(笑)。なんだけど、クダイター先生でも止められず、ガクエンワルド校長が直々に出向いて涙ながらに説得を始める。

「お前たちは腐ったみかんじゃない!」って若い人は金八先生ネタわかるのかな?とも思ったりするけど、40年前に社会現象にもなったドラマの言葉が時代を超えて堂々と台詞に使われてるのが、ちょっと感慨深かった。

腐ったみかん(不良生徒)が箱の中に1つあるとその周囲のみかん(他の生徒)も腐ってしまうから早く排除しなければ、っていう例えに金八先生が「自分たちはみかんじゃなくて人間を育ているんだ」みたいなことを言った記憶。

その回のサブタイトルが<腐ったみかんの方程式>。日本の連続ドラマのサブタイトル史上屈指の知名度と切れ味じゃないかな。私はゼンカイの記事のサブタイトルに困ることが多いから余計に沁みて、ちょっと脱線(笑)。

 

介人たちは感銘を受け説得されたふりをしてガクエンワルド校長に群がると、どさくさに紛れてシールドネクタイを剥ぎ取り態度を一変させて反撃の狼煙を上げる。

ヤツデさんの授けた知恵は「偉い人を現場に引っ張り出すには、揉め事よ」。そのドヤ顔に「年の功!」とセッちゃんがすかさず被せて楽しい。

 

ヤツデさんは観音様のような優しさ寛大さで弱った人や子供を癒し元気づけ、敵の美少年幹部をも惑わせ時には秘かに寝返らせてと、ここまで戦隊史上屈指と言いたくなるヒロイン力を誇示してきたと思う。

でも決してか弱く守られているだけでの存在ではなく、地に足ついて人生の荒波もかいくぐってきたのが垣間見えるたくましいお祖母ちゃんなのが良いな。

孫の手伝いはあれど女手一つで店を切り盛りして地域の社交場として確立させ、大量に抱えた居候のサボりや節度に欠けた行動にはビシッと釘を刺し、訳分からん通貨で支払う海賊にはせめてドルで払えと言い放ち、いざとなれば年の功の悪知恵で若者たちに打開策を与える。聖母性と現実を生きるための俗っぽさのバランスが格好いいと思う。

 

ただ、「偉い人を現場に引きずり出すには揉め事よ」は正しいけど、実際にはよほどの事がなければ下に任せる人も多いのも現実。今回なんてハカイザー先生@ネクタイシールド付きに武力で手っ取り早く制圧してもらう選択肢もあったはず。

でもそれでは根本的な解決にならないと、自ら荒くれ生徒達の中に飛び込みあくまで言葉で切々と訴えるガクエンワルド校長を見ていると、うっかり元々は良い先生の素質があるのでは?と思いかけてなんだか騙すのが可哀想になってしまった(汗)。

けど被害を受けてる当事者の介人たちは1ミリも心を動かされずに冷徹に作戦を遂行して、さすがヒーローは心構えが違うとちょっと思ったり。

 

ゼンカイジャー恒例変則名乗りは思い切りツッパリバージョンで、バックの絵面の悪さはヒーローのせれじゃない(笑)。

ハカイザーステイシーも加わっての乱戦は、スーパー化した2人との対決も見たかったけど、そこはお預け。今回はセレクト戦隊をハカイザーとステイシーの足止めに使い、カメラは早々にキャノンを撃つためにわちゃわちゃ集合するゼンカイジャーたちに移動。またジュランたちがセレクト戦隊に出番を奪われるのかと身構えちゃったけど、ホッとした。キャノンを撃った反動で皆が上に跳ね上がるのを最後尾のブルーンが踏ん張って支えているのが何か良い。

ガクエンワルド撃破で世界は元に戻り、防衛の失敗を嘆くハカイザーは充電切れで、ステイシーもさっさと撤退。

 

ニュークダイテストは量産出来ないとイジルデが堂々と言い切って、巨大戦には従来のクダイテストによるダイガクエンワルドが出現。

奪われた武器が敵の最強合体ロボの要になってしまったことを追及されてる感じはなくて、やっぱりトジテンドはゆるゆる組織なんだなと改めて思う。もっと問い詰められてもいい気もするけど、功博士の存在がクローズアップされた時にまとめてやる可能性もあるかもな、とちょっと思った。

今回は正義側もゼンリョクゼンカイオーは封印してセンタイジュウオーが立ち向かう。

ダイガクエンワルドは下校時の男の子みたいにランドセルをお腹側に回してシールドにしてる。そこには見るからに難しそうな数学問題が書かれていて、「介人にわかるわけねーだろ!」って絶叫するゾックスが容赦ない(笑)。公式認定の後方彼氏面だからこそ推しの強みも弱みも理解しきってる感じ。

販促がひと段落したからか問題が解けない=シールド解除出来ずに圧され気味のセンタイジュウオーを救ったのはブルマジーン。

ああそうか。ジュラガオーンを購入済みのご家庭は、キャノンと合わせてブルマジーンのセットも買えば5体合体が出来ますよって、改めてブルマジーンの販促を強化してきた感じかな?序盤から前半は比較的ジュラガオーンの販促中心で、多分ジュラガオーンだけを買ってる家庭の方が多いだろうし。

ジーヌは魔法で問題を幼稚園児レベルに書き換える反則技を使い、難なく正解したセンタイジュウオーが撃破。断末魔はしくじり先生で、今回は「ワルドの主張でしょうか?」から始まって、ぶっ込まれた学園ネタが多すぎて追い切れない(笑)。

 

戦い終わって、介人は皆を自分が通った学校に連れて行く。グラウンドでは人間キカイノイド入り混じった生徒たちが和やかにサッカーをしてる。

中に入れず外から眺めるだけなので、教室の中で生徒たちがどんな風に過ごしているか彼らには見えないだろうと思うと若干物足りなくて残念。それでも学校とは良い所なのだと伝わり、「あの子らみんな、未来のヒーローだ。守ってやんねえとな」というジュランの言葉に皆が決意を新たにして、続く。

 

世界を学園に変えられたばかりの頃には、ブルーン筆頭にキカイノイドたちにはむしろ学校に通えるなんて幸せだという気持ちもあった。トジテンド支配下のキカイトピアには学校って施設はないか、あっても庶民が皆通える所ではなかったんだろうか?なんて妄想も広がる。まあ合体シークエンスのアドリブでジュランが「(ワルドの顔が)担任の先生に似てる」なんて言ってたけど(笑)。

それがクダック育成を目的とした偏って理不尽な教育と横暴なクダイター先生たちを目の当たりにして、ゾックス筆頭に「学校ってのはつまんねえ所だな」と幻滅しかけた時、介人が、学校ってこんな所じゃないと訴える場面がある。

「友達作ったり、いろんなこと学んだり、全力でイベント盛り上がったり。こんな苦しい場所じゃないはずなんだ」「絶対ガクエンワルドを倒そう。そんでみんなに、本当の楽しい学校を見て貰う」

その約束が果たされたのがこのラスト。

10年前に香村さんが書いた、ゴーカイジャーメガレンジャー回を思い出した。

宇宙海賊が全員、メガレンジャーの舞台になった諸星学園に1日体験入学し、生徒たちが勉強・スポーツ・恋愛に一生懸命な姿に触れる。大多数が学校に通った経験のない海賊たちは、学校とは若者たちの夢の詰まった良い所なのだとその価値を認め、守り抜いた。

香村さんはそれから10年を経たゼンカイジャーで、再びメンバー全員に制服を着せる。描かれた<学校生活>は支配されて歪んだ正しくないもの+不良に扮したヒーローたちの大暴れという、10年前とは正反対のアプローチだったけれど、最終的に伝えたいメッセージは変わっていないんだな、と思うと感慨深い。

・・・と今回わりと綺麗な感じに締めようと思ってたら、不意にメガレンジャー回の「諸星学園高校で僕と握手!」ってフレーズを思い出し、そのまま

「トジテンド学園で僕と握手!」

に変換されてしまった。

そんでゼンカイジャーで一人称「僕」はステイシーだけだから、おのずとステイシーの声で脳内再生されてしまい、ちょっと困っている(汗)。

でもごめん、あのノリノリで教員生活が満更でもなさそうなステイシー先生ならなんとなく、テストで100点取ったら握手してくれそうな、いやでもやっぱり「調子に乗るな」と撥ねつけられてしまいそうな(笑)。

 

なお、ゴーカイジャーメガレンジャー回の記事はこちら↓

 

海賊戦隊ゴーカイジャー: 39話感想というか覚え書き

https://kiuix.hatenablog.com/entry/2021/02/01/215646

ゼンカイジャー32話感想: 種を撒ける介人、たぶん育てられるステイシー

今回ハカイザーは充電?中で出番無し。彼の活躍でここ2話は影が薄かったステイシーが「僕だけじゃ不満という訳か」とイジルデにクレーム。でも「お前1人に賭ける理由はないからな」と、ビジネスライクな答えをこともなげに返されてしまって、まあごもっともだけど悲しい。

「お前がバラシタラを超えたければ、結果を出すことだ」と煽られたステイシーは早速介人に勝負を挑む。

そこにサカサマワルドが登場し、介人がそっちに向かおうとすると、ステイシーは自分の方を向かせるためにゼンリョクゼンカイキャノンを奪う。

この後の展開に必要なのはわかるけど、見ようによってはハカイザーから奪還した大事な両親作の武器かつ5体合体の要を再び敵に奪い返されたという大ピンチ。なのに、その後も2人並んでサカサマワルドとやりとりしている緩さはちょっと引っかかったので、もうちょっとどさくさ感は欲しかったかも。

ワルドは雑魚兵クダックにギアの力を与えた怪人。これまでステイシーに対しては敬語を使うことが多かった。けど、今回は「貴様」呼ばわりでぞんざいな態度。ステイシーに「下がれ」と言われると「俺は自分の仕事をしに来ただけだ」と、キレていきなり介人と入れ替えてしまう(汗)。

展開の都合?とここも引っかかった。けど、単にクダックのスタンスに個人差があるのかも。またはハカイザーの登場にステイシーのヒエラルキー低下を感じ取った兵たちが軽んじ始めるようになったと解釈しても良いのかな?

今回は全体通してトジテンドでのステイシーの立場の微妙さを強調する作りではあるけれど。

 

表情も動作も全力全開で賑やかになったステイシー@中身介人と、最小限の動作でシリアスな介人@中身ステイシーという普段とのギャップが期待を裏切らない(笑)。前置きなしでいきなり頭突きを喰らわし、悪びれ無く「元に戻るかと思って」とステイシーの顔で笑う介人(笑)。まあ発想はわからんでもないけど。

元に戻せるサカサマワルドはその間に消えていた。手分けして捜そうとするも、介人の体になったステイシーはトジテンドパレスに戻れない。では逆にステイシーの体なら潜入出来るのでは?といきなり介人(ス)はゲートを発生させて父親を捜しに突入。後を追いかけたステイシー(介)はゲートに跳ね返されて衝撃で気絶しているところをカラフルに運び込まれる。

入れ替わったことで、2人ともこれまで行きたくても行けなかった場所に潜り込めたってことか。

 

ステイシー(介)は目覚めた途端、ゼンカイメンバーや会いたかったヤツデにも全力で心配され、カラフルに来た客からも気遣われる。

改めて自分にはないものばかり持っている介人を羨ましく思うステイシーが、このまま元に戻らなければこの温かい世界にずっといられるのではと、夢見てしまうのが痛々しい。

実際、介人とステイシーの今を分けたのは環境による所が大きいと思うよ。駄菓子の瓶の蓋を開けられないスーさんを見かねて自分から手を貸してやるのを見ると、根は優しく、介人みたいになり得る素質もあったのでは?と思えるし。

そんでもしステイシーのそんな願いが叶ったとしたら、彼は自分の手に入れた世界を脅かすトジテンド、自分の元いた世界に今度は容赦なく牙を向くんだろうな。

 

一方、トジテンドに潜入した介人(ス)は、父親の手掛かりを捜して彷徨ううちに、牢屋の前へ。囚人たちの罪状がトジテンドに反抗的だったからと聞いて、今すぐ出せと激昂する。でも牢番のクダイターから「貴様に命令される覚えなどない」と殴り飛ばされ「ステイシーって、そんな偉くないんだ」と、入れ替わった相手の微妙な立場を知る。行動隊長バラシタラの息子ならそれなりに尊重されていると思っていても無理はないもんな。

入れ替わったことでステイシーが介人を取り巻く温かな世界を突きつけられていた頃、介人はステイシーのいる荒涼とした世界を思い知る対比がエグい。

 

介人(ス)はゼンリョクゼンカイキャノンで召喚したレジェンドに爆破工作をさせ、騒ぎに乗じて囚人達を脱獄させる。

トジテンド視点なら犯罪行為なんだけど、その片棒担がせたのが宇宙警察所属デカブルーと国際警察所属パトレン1号。介人の「正義は我にあり」な揺るぎない意志を感じるし、囚人達も脱獄する犯罪者じゃなくて正義を遂行する警察官に助けられる罪無き庶民に戻れるんだな、とスタッフさんの配慮を感じた。

ホージーと圭一郎は、キカイトピアという並行世界で理不尽な冤罪に苦しめられていたキカイノイド庶民達にとっても、自分たちを助けてくれた正義のお巡りさんとして記憶に刻まれることになったのかなと思うとニヤニヤしてしまう(笑)。

介人(ス)は囚人たちに、自分はステイシーだと名乗る。救い出されたキカイノイド女子の「ありがとうございます、ステイシーさん」が澄んだ良く通る声で印象的。手をふって見送る顔立ちはステイシーでも、表情は介人そのもので、役者さん頑張ったなあ。

 

介(ス)人はそのまま彷徨ううちに、バラシタラがボッコワウスに謁見している場面に遭遇し、主人公(体は違うけど)が敵ボスと初対面。

いつもと違うオーバーアクションなステイシーを偽物だと看破したのは、ゲゲ。父親なのにテニス回で息子の変装に気付かなかったバラシタラは今回も息子ではないと見抜けなかった(涙)。こいつ本当に息子への関心が皆無なだけなのか?と、彼の息子への愛を信じたい私の買いかぶりが揺らいでいく(苦笑)。

 

一方、自分の戦っていた相手すら思い出せない介人(ス)を記憶喪失だと勘違いしたジュランたちは、街に出て名前不明の介人の仇を捜していると、サカサマワルドを捜す界賊一家に遭遇。

ゾックスとフリント、リッキーとカッタナーが入れ替えられていて、可愛い声と表情と動きのゾックス(フ)と、尊大な態度のフリント(ゾ)が楽しい。介人とステイシーがシリアスやってる分、コミカル要素はこっちに振った感じ。

 

今回は入れ替わり後も声は入れ替わる前のキャラが宛てている。ゴーカイジャーでルカとハカセを声ごと入れ替えたのを最後に、その後の10年間はずっと、今回のように声だけは本人のままのパターンが続いてる印象。

ゴーカイジャーの時には、まず入れ替わり前の役者さんに演じさせてそれを入れ替わり後の方になぞらせるという手間のかかったことをしていた。けど、入れ替わりが複数ある場合にそれは大変だろうし、小さな子供たちには声は本人の方がわかりやすい面もあるだろなとは思う。

なお今回、介人とステイシーの役者さんたちが互いの演技を研究しあう動画が公開されていて、声は本人のままでもちゃんとここまでやるんだと感心した。

 

界賊たちを見て、介人の様子がおかしかったのも入れ替わりのせいでは?とマジーヌが思い当たった時に、犯人のサカサマワルドが登場。

ゾックスの顔で満面の笑みを浮かべたフリントの差し出すギアダリンガーに、フリントの顔したゾックスがクールにキスして変身ダンスを始めると、ジュランが「待ってました!」の掛け声(笑)。

やんややんやと一緒に踊る赤黄桃青、ゾックスの体で長い手足を思い切り振り回しながらチアリーダー状態なフリントに「変身かなった私の体♪」と本人の声が被さって、めっちゃ楽しそうというか緊張感皆無(笑)。

 

逃げ惑う介人(ス)の前にゲゲが現れて、さっきは偽物だと幹部たちの前で見破ったくせに、今度はゲートの位置を教えて逃がそうとする。相変わらず動きが怪しくて、意図が読めない。

ステイシーが偽物だとバラしたことも、後でステイシーが脱獄幇助の罪に問われないための配慮だと思えば、これまでのゲゲの動きは全部ステイシーにとっては都合の良いもの。ステイシーに何かさせたいことがあるのは確かだと思う。

だけど、今回はステイシーになりすました別の誰かを助けているわけで、正体がゼンカイザー介人だと知ってのことなのかどうかも含めて、狙いが全く分からない。

 

一方、カラフルに駆け付けたマジーヌとガオーンは、介人の中身がステイシーだと知り、そのまま戦場に引っ張って来て、赤青金と合流。

それを見ているだけのステイシー(介)は、サカサマワルドが勝てば介人のままでいられるのでは?とまた頭をよぎる。事情を知るキカイノイドや界賊の全滅が前提という、儚くも残酷な望みは、トジテンドから戻ってきた介人(ス)とそれを追いかけて来たバラシタラの登場で、潰えた。

持っている変身装備が逆なため、介人(ス)はその外見史上もっとも明るく屈託なくステイシーザーに変身し、彼を真ん中にした5人名乗りの背後でトジテンドマークとゼンカイジャーの色たちが喧嘩している演出(笑)。もう変速名乗りバージョンが多すぎて把握しきれないよ。

 

ステイシー(介)は、介人の外見史上たぶん一番静かにゼンカイザーに変身。その姿でゼンカイジャー側に戦いを挑むのかと思いきや、矛先をサカサマワルドに向ける。

サカサマワルドを倒すことでバラシタラを超えるというステイシーの言い分はトジテンド視点では裏切り行為なんで、ちょっとヒヤヒヤした。まあ今回に限ってはサカサマワルドを何とかしないと元の体に戻れないし、サカサマワルドにはステイシーを敵と入れ替えたために侵入を許してしまったという罪があると思えば、ギリギリセーフだろうか?

 

介人とステイシーは入れ替わった状態で共闘。キャノンからまた赤青黄緑のセレクト戦隊が召喚され、ステイシーザーとモチーフのバトルジャパンが同一画面でアップになったのは絶対狙ってる(笑)。

またジュランたちを差し置いてセレクト戦隊とワルドを追い詰めたわけだけど、介人とステイシーが初めて一緒にトドメを刺すというイベントでもあるから仕方ないかな。

ステイシーザーの姿でキャノンを撃つと弾丸もステイシーザーの顔になって(汗)、サカサマワルドを撃破。独りでキャノンを撃ったステイシーザー(介)はふっ飛んでキャノンが手から離れ、元に戻った介人がそれを拾い上げて、無事に介人自身の手に戻りホッとした(笑)。

 

敵と一緒に自分の部下を倒した息子を見るバラシタラは「ステイシーの奴、やってくれるのでアル」と、息子にしてやられて怒っているというよりは、逆にむしろ見直したようにも見える。やっぱり秘かに喜んでいるのかな(しつこい)。

 

妹の体で強敵バラシタラとも戦い跳ね飛ばされてしまったゾックスが気遣うと、「全然、兄貴が強いからな」と兄を賞賛するフリント。それにほっとしつつ「おう!」と答えるゾックスの兄妹が可愛い。

なおリッキーとカッタナーも戻ったけど、ぶっちゃけ違いがわからなかったのはジュランだけじゃない(笑)。

 

イジルデに送り出されたニュークダイテストがギアを踏むと、やっぱりダイサカサマワルドになった。でも外見はちょっと違ってなんかメカメカしい。というか顔にサカサマワルドの平べったいお面を被せただけのようにも見える。

ギアの力を引き出す性能がアップしたということなのか、世界の天地が逆さまになって、前回登場したばかりの最強ロボゼンリョクゼンカイオーも苦戦。CG使いまくって天地がぐるぐる回る画面に、三半規管ポンコツの私は酔いそうになった(汗)。

ゼンリョクゼンカイオーは全力パトロールパワーで、召喚した警察ビークルたちのパトロール=巡回=回転というこじつけパワー(笑)でぐるぐる回転させて天地を繋げるという力技を繰り出すと、天から地へと繫ぎ目なく疾走して撃破。

ごめん、戦い終わって正直ホッとしたよ、主に三半規管的に(笑)。

 

戦い終わったカラフルで、仲間たちがどんなに自分を心配してくれていたのか改めて噛み締める介人。

「せっかくトジテンドパレス行けたのに、何も出来なくて」と悔やむけど、いやあなた思いっきり脱獄幇助もとい無実の民を解放していたんだけど、それくらいは物の数にも入らないのか(汗)。

トジテンドがどういう場所か知ってるジュランは、「あんな世界で独り、よく頑張ったよお前」と労う。

「あんな世界で独り」という言葉に介人が思い浮かべたステイシーはその頃、自分のいる荒涼とした世界を厳しい顔で見下ろし、拳を握りしめていて、続く。

 

入れ替わったことで互いに自分の知らなかった相手の生きる世界に触れて、それが2人と2人の関係をどう変えて行くのか、楽しみ。

特にステイシー。彼がここにいたいと思ってしまった介人の境遇は、自分のいた世界を否定し異世界の生物を全力で愛し守っていた頃のガオーンを思い起こせば、実はその心1つですぐに、ある程度手に入れられるのではと思う。

それを邪魔しているのは介人への複雑な感情と、たぶんそれ以上に父バラシタラを超えたいという思い。

だけど今回、サカサマワルドを介人と一緒に倒したステイシーは、トジテンドに属して手柄を上げることだけが父を超える手段ではないとちょっと気付いたかもと期待したりする。

そんで、介人がステイシーを名乗りステイシーの姿で囚人たちを逃がしたことが、この先に何かの形で活かされると良いな。

例えばトジテンドに逆らい裏切り者として追われる身になった彼を元囚人たちが逃がすとか。

もしくは、キカイトピアに革命が起きてトジテンド王朝が倒れる時に、その一味と見做されるステイシーを元囚人たちが庇うとか。この物語は介人の世界が守られ各並行世界が解放されるだけじゃなく、たぶんジュラン達の故郷キカイトピアで苦しめられている民達も救われなければ終わらないんだと思うから。

ステイシーは介人が大勢から感謝される境遇を羨ましがった。けど、介人は今回<あんな世界>にも、あの短い滞在時間でステイシーがキカイトピア庶民から感謝される可能性の種を撒いていったかも。「何も出来なくて」と言いつつそれが出来るのが介人で、ステイシーが見た温かい世界にはそうやって介人自身が種を撒いて育んできた部分もある。

もし介人が今回そんな種を撒いたのなら、出来たらステイシー本人もその芽を育てる形で、いつかは花を咲かせて欲しい。

ステイシーだって介人が育んだ世界に乗っかる形ではあるけれど、スーさんのために自分から蓋を開けてあげることは出来たんだから。それだってあの温かい世界を維持し育てるのにちゃんと一役買ってるんだよって思う。