キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー2話感想: 一番愛せるものは異世界にあってガオーン合流

ボッコウスはゼンカイジャーの出現に苛立ち、巨大な拳をテーブルに打ちつけるとその振動でまた幹部がピョコン(笑)。それを聞きつけたブルーンが興味を示して口を挟み、掃除係ふぜいがと痛めつけられるのも前回と同じ。

イジルデはトジルギアに閉じ込めた世界の力を使えるよう研究していて、今回はキノコトピアを閉じ込めたキノコトジルギアの力で戦闘員を強化する。前回ラストで人々の頭にキノコが生えたのはこのキノコワルドの力、とここで今作のゲスト怪人の成り立ちが明かされた。

キノコワルドのボディのデザインは雑魚戦闘員クダックからそれより強力なクダイター(1話で介人に撃破された奴)に変化し、頭と両手だけキノコ仕様。キラメイジャーの邪面+αな着ぐるみ節約方式は継続っぽくて、また個性豊かなゲスト怪人を楽しめそうで良かった。

 

介人とジュランに目撃され、イジルデはキノコワルドに突撃を命じるが、なりたてホヤホヤで自分のことだと気付かず間が空いて「お前だよ!」と突っ込み、やっぱり今回の敵は幹部も含めてゆるめだ(笑)。

双方がギアの力を使って戦っていることがわかり、介人の母親が開発したことを知るとイジルデがちょっと狼狽える。そのあとわざわざ、それが偶然でトジルギアは自分が開発したと強調するのが却って怪しすぎ。

敵と味方が同じ力を使っているのは仮面ライダーっぽいけど、介人の両親の不在とも何か関係があるのか疑いたくなる。

介人とジュランはゴーグルVのギアを使って出てきたリボンを繋いで大縄跳びを始め「お入んなさい」とかヒーロー側も相当ゆるいぞ(笑)。でもまんまと誘い込まれたキノコワルドが足を引っかけて倒れた所にリボンから高圧電流攻撃とか、わりと容赦なかった(汗)。

 

キノコが一旦撤退したその夜、店のもんじゃ焼きの鉄板テーブルにお皿を広げて介人、祖母のヤツデ、ジュランが当たり前のように晩御飯。ジュランはここに同居を始めたってことか。そしてやっぱり人間と同じ物を食べられることが判明。

時系列的にここまでは1話と同じ1日の話だと思うと、五色田一家もジュランも受け入れと馴染みが相当に早いな。

お店は「カラフル」という名のとおり色とりどりでお洒落だけど、もんじゃ焼きの鉄板があるのは昔ながらの駄菓子屋さんて感じでなんだか懐かしい。駄菓子屋の店内真ん中が食卓って不思議な感じだけど、ここにこれからメンバーが増えて行くんだな、と思うと楽しみ。

 

トジデントがまだ侵略を諦めてなかったんだという話の流れから、ジュランは王朝トジデントの悪政でキカイトピアの庶民が苦しんでいると語り、介人はそんなトジデントを倒すと誓って、改めてジュランと心を1つにする。

「悪はキカイトピア全体ではなく今の支配者階級だけで、同種族の庶民キカイノイドにとっても倒すべき敵」

と、同種族でも敵味方はきっちりわけられることが主人公の誓いの前に示されるのは手堅いな。トジデントが市民革命前夜の腐った独裁政権みたいに思えてくる。

 

「おいらの中のデータによると、敵の起こした異常事態は、敵を倒すとだいたい解決するっチュ」

と、セッちゃんは戦隊ならではのふんわりしたお約束を「44戦隊が蓄積してきた説得力ある実績データ」として堂々と押し付けてきて、こういうところ香村さん狡い(笑)。

対抗するには仲間を増やすべし、と翌日早速、巨大化変形したジュランの頭の上で変身した介人がプラカードを持って大っぴらにメンバー大募集(笑)。

昨日侵略者を倒したヒーローだ!とTVレポーターまで取材に来たものの、駄菓子屋のチケットを特典に危険なヒーロー活動をというのはさすがに割に合わなすぎたのか、人間もキカイノイドも応じる者はなし。

そんで今この現状も「キノコ生えるくらい良くない?」「なんか可愛いし」と頭にキノコ生やしながら大らかに受け止めるカップル(汗)。

まあ、ある日突然大量に現れたキカイノイドたちをたった1ヶ月で受け入れて何事もなかったように普通に共存させているこの世界の住人の適応力包容力を持ってすれば、ある日突然自分や周囲の人の頭にキノコが生えてもその状態を受け入れて普通に暮らすくらい朝飯前ってことなんだろかな。緩くて逞しくて好きになってきたよこの世界。

 

変身解除してメンバー募集を続ける介人の元気いっぱいな姿にズキュンされたのが、黄色いキカイノイドのガオーン。ジュランはおじさんで、ガオーンは青年なのね。どこで年齢を判断するのかわからないけど(汗)。

ガオーンはゼンカイジャーにはなれないけれど友達ならと話しかけ、介人に受け入れられてこの世界の生き物と初めて握手でき大感激。

介人は、1話では非常事態でもあってジュランに銃突き付けてぐいぐい同族殺しを迫ったけど、はっきり断る者には無理強いはせず意思を尊重するんだな、というのはわかって良かった(笑)。

なお、ゼンカイジャー入りを断った理由はキカイノイドとは関わりたくないから、とジュランには塩対応。

キカイノイドは硬くてゴツゴツしてひんやりして可愛くない。トジデントなんてやることまで最悪で全然愛せない。でもこの世界の生き物たちは、丸みがあってキュート。触れたら柔らかそうであったかそうで、見ているだけでこの胸に愛が溢れてくる、らしい。

・・・ガオーンはキカイトピア時代、周囲の人々をどう感じてどう接していたのか(汗)。自分の世界の同族を生理的に愛せない異端者だったら辛すぎるよなあ。

当時はそんな素敵な生き物を見たことがないために世界とはこういう物と思い込んで淡々と暮らしてたら、突然別世界に飛ばされてそこで見た生物を素晴らしいと感じすぎ、それに引き換え自分のいた世界の奴らはと全否定したくなってる時期なのかもって思いたいな。

 

むしゃくしゃしたジュランはパーティーで憂さ晴らししたくなり、介人は「見ていたら食べたくならない?」とキノコ鍋パーティーを提案。そこまではまだいい。でもなぜそこでお店にキノコを買いに行くんじゃなくそこら辺に生えてるキノコを摘み始めるのか(滝汗)。

ただでさえキノコは毒のあるものもあるのに敵が生やしたキノコを美味しそうに見えるからというだけで食べるために摘んで帰ろうとする介人を見ていると、ホントにこの子はやらない理由やめる理由を探さずに突き進むんだなとちょっと怖い。個人的には私の心の平安のために誰かストッパーが欲しい(笑)。

番組としては直後に胞子から毒をまき散らして人々を苦しめてる描写をしっかり見せて、良い子はマネしちゃダメよ的なアピールしてるからOKだろうけど。この胞子まき散らしの前に介人が食べちゃってたらかなりヤバかったんだろな。

 

そんな人々を苦しめる作戦第2段階に進む時も「自分がキノコだと忘れないように」と語尾にキノコを付けるキノコワルドとそれを良い心がけだと褒めるイジルデがほのぼのとして可愛いらしく憎めない(笑)。やってることはあくどいけど。

街のあちこちでは毒の効き目が薄いキカイノイドたちが、倒れた人間を気遣っていて、庶民キカイノイドと人間との平和な共存関係はこの程度の侵略ではでは壊れないのがわかってホッとする。

まあトジデントが人間も庶民キカイノイドも一緒にスクラップだと言い放って襲撃し、それを排除した側にもキカイノイドがいてそれがTVで流れたりもしてるなら、不信や排斥運動の流れになってないのにもある程度説得力があるかな。

それでも現実世界ではコロナで一時期欧州のアジア人が白眼視されたのを思い出すと、やっぱりゆるくて大らかな優しい世界だなとは思うけど。

 

そんでガオーンは自分の愛する生物たちの苦しむ姿を見て激しい怒りを燃やし一転、自分もゼンカイジャーになって戦うと名乗りを上げる。

これまで自分の暮らす世界にはなかった全力で愛せるものに異世界で出会い、それを守っていこうと決める。たとえば外国人が寿司や着物みたいな日本文化に惚れ込み日本に移住して職人になったり、逆に日本人が海外の文化に惚れ込んで定住して継承者になったり、などと同じかもと考えると、ガオーンのこれも異種族交流の1つの形なのかもな、と思う。

そんでそんな熱い決意の合間にも、もぎとってもキュポって効果音と共に頭に生えてくるキノコが絶妙に間が抜けていて楽しい(笑)。

 

介人が銃をガオーンに渡すと即座に戦闘員を撃ち殺し、使い方はそうじゃないとあーだこーだ使い方を教える間、敵が首を傾げて待っているという流れが1話のジュランの時と同じで、繰り返されると余計に笑える。敵が戦力拡大している最中に「愉快な仲間が増えたようだな」とのんびり構えるイジルデさんも充分愉快だよ(笑)。

 

ようやく3人揃って変身し、仲間になってもジュランをガン無視で、キカイノイドには触りたくないガオーンが手の位置を入れ替えるのが細かい。これ、中盤とか終盤でガオーンがジュランを大事な仲間として認め自分から握手を求めてきたら、燃えるだろうな私。

ゼンカイガオーンは特徴的な大きな手と爪が、色も同じジュウオウライオンを思い出す。その活躍に刺激されて介人がハリケンジャーのギアを使うと、全員で忍法影の舞い。予備知識がなくても新装備で変身しその技の名を叫びながら必要な動きが出来る戦隊のお約束を「体と口が勝手に」とまたメタな解明(笑)。

介人が吹っ飛ばされると必死に追いかけダメージないようキャッチするガオーンは次にガオーンが吹っ飛ばされビル壁に叩きつけられても一顧だにせず(笑)、介人とのコンビでキノコワルドを撃破。

 

セッちゃんの言ったとおり人々を苦しめたキノコ問題はだいたい解決してしまい、イジルデは1話にも出て来た巨大戦闘員クダイテストを召喚。巨大戦はこのままだと変わり映えしないけどな・・・と思っていたら、キノコワルド爆破後に残ったキノコトジルギアを踏んづけて、こちらも頭と両手がキノコ化する。名前はダイキノコワルド。直球だな。

「キノコパワーが充ち満ちたキノコー!」「え~~っ?!」

ゼンカイ側と一緒にイジルデさんもびっくりしていて、ホントこの人も愛嬌あるな。

イジルデはこれで、トジルギアの力が暴走すると巨大戦闘員にも使えると把握し、次回からの等身大戦→巨大戦のシステムが確立されたってことかな。

これまで他の世界への侵略はトジルギアへの封印一択でマンパワーも使わず楽をしすぎてたせいか、そうではなくトジルギアの力を使って武力制圧しようとした時に、敵も初めてのことが多くていちいち驚いたり学んだりしながら手探りで侵略手順を構築しようとしているのが、可愛くて新鮮。

 

キノコパワーで辺りはたちまちキノコ世界になって、ついでにキノコ本人も効果音とともにひょこっと可愛く「キ~ノ~コっ」とか顔出したりして、予算のあるパイロット回だからここまでやれたのかもだけど、これから巨大戦も楽しめそうで嬉しい。

ジュランが巨大化して応戦するのを見てガオーンも巨大化。向かってくる巨大キノコから巨大キノコへと飛び移りながら突撃するのはせっかく格好良かったのに、ナメコで滑って落下しジュランに激突するのは不意打ちで狡い(笑)。

敵を前に揉めてばかりの2体に介人は躊躇なく自分も巨大化すると決め、2人同様ギアをひっくり返すと、なんと巨大化ではなく、ジュランとガオーンが口から裂けて(汗)変形。半分こ合体したロボになり、介人は操縦席へ。

 

・・・もしこの世界にアクシデントでキカイノイドが来ることなく、介人が人間の仲間を作っていたら、これを使うとどうなっていたのか知りたい(汗)。人間同士でも変形して強制合体とかさせられてたのかどうか、怖いけどわりと真面目に知りたい(笑)。

・・・それとも両親はこの銃とギアを使う介人の仲間がキカイ人間だと想定して開発したの?キカイトピアの一部がなぜかこの世界と融合したことに、両親が関わっていたなんて可能性もあったりするの?

 

合体バンクがなぜか野球のスタジアムとか嫌がるジュランとガオーンが「無理無理無理無理!」と分裂して中の介人が丸見えになり落下しかけるとか、もういろいろツッコミが追いつかなくて笑いっ放し。でもなんか懐かしげな挿入歌をBGMに戦闘はエネルギッシュで格好良く、キノコ頭を両足で挟んでタコ殴りとか動きも面白い。分裂も今度はせーので攻撃を躱すとか戦闘にも活かして、最後はジュランソード電撃クラッシュで大勝利。

 

その頃、ブルーンは掃除中にキノコトピアが開放されたことをいち早く知る。彼の立ち位置は面白いな。

1人だけ人間界には行かず敵ボスのお膝元で掃除係。毎回洩れ聞こえてくる情報に興味を示しては虫けら扱いされてトジデントの横暴と階級格差を強調し、トジルギアが破壊されると閉じ込められた世界が救われる仕組みををいち早く目にする。

ブルーン本人は現時点ではまだ、なぜキノコトピアが開放されたのかは知らないはずだけど、その彼が合流することでゼンカイジャーに、自分たちの世界だけでなく他の世界も救うという、この戦いのもう一つの意味を共有することになるのかな。ますます楽しみになってきた。

 

ガオーンはヤツデに紹介され、毛並み(笑)を褒めて気に入られる一方、機械の体のセッちゃんにはやっぱりつれなくて、ジュランはやっと不満を共有出来る仲間が出来たところで続く。

まだ仲間は全部集まってはいないけど、この2話で世界観や基本フォーマットがわかりやすく確立されて、ギャグと燃えのバランスも良くて面白かった!

序盤の香村さんの掴みの上手さはホント相変わらずだし、久しぶりに戦隊に戻ってきた中澤監督演出もキレキレ。もうずっと戦隊にいてほしい。この2人のコンビ回はホントに好きな回が多い(ルパパト38話以外)から、これらも数多く見たいな。

介人も相変わらずブレーキのない奴ではあるものの、1話よりは人をちゃんと見て話が出来る奴って感じがして好感度が上がった。ジュランとガオーンの掛け合いやすれ違いも当分楽しめそうだし、人間は1人しかいないけど、今のところ好きになれそうな戦隊で嬉しい。

 

海賊戦隊ゴーカイジャー: 48話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■サリーの布石

ガレオンを乗っ取ったバスコは、自分が奪った5戦隊の大いなる力をそれぞれのレンジャーキーに移す。

縛られていたナビィは、その隙に縄を切り居住区から脱出してコックピットに隠れ、海賊たちと連絡をとって現在地を教える。脱出出来たのは昨夜サリーがたまたまテーブルの下に落としたナイフで縄を切れたから。爆殺されるとも知らずにバスコに言われた通り潜入したサリーの行動が、海賊たちに反撃のきっかけを与えることになって、ちょっだけカタルシス

なお、後々の展開から振り返ると、もしここでナビィが逃げて時間稼ぎをしていなかったら、バスコはまんまと宇宙最大の宝を手にしていた可能性が高かったんだなと思うとヒヤッとする。

 

■海賊の海賊版

バスコはガレオンの出入り口を封鎖するとゴーカイジャーのレンジャーキーを実体化させてナビィを捜索させる。

元々ゴーカイジャーのマスクはピカレスク風味があって若干悪役顔。私はそんなデザインも気に入っているんだけど、意思なくバスコの手先として動いている、言わば海賊の海賊版になると、余計に人相悪く見える。特にやり過ごせたと思ってホッとしたナビィをドアの隙間からじっと見ていたゴーカイレッドなんて、演出もあって完全に悪党面で怖かった(笑)。

 

■お宝を探す理由

マベは16話でも垣間見えたけど、金銀財宝にはあまり興味がない。ザンギャックから金を盗み出そうとしたルカと鉢合わせしたのも、金が欲しかったというよりはザンギャックのその星の侵略を妨害するため。

じゃあお宝を手にしてどうしたかったのかと聞かれると

「さあな・・・」「大体そのお宝がなんだかもわかんねえ」「中身は何でもいいのかもしんねえ。この宇宙を旅する海賊達、誰もが欲しいと望みながら誰も手にしたことのない伝説の宝物。それを手にした者は宇宙の全てを手にしたのと同じ。そんなもんが存在するなら、手に入れるしかねぇじゃねぇか。夢は、手に入れられないと思った時に無くなっちまうんだから」

マベちゃん、正にOPの「冒険とロマンを求めて大海原を旅する」こと、夢を追うこと自体が目的の人だった。現実的な利益を求める気持ちはやはり薄く、人によってはリスクの大きさと見合わないと思うかもしれない。20話での「どうしたら賢いなんて考えてたら海賊なんかにならねぇよ」を思い出す。

でもだからこそ、アイムのように一見仲間にしてもメリットがなく逆に足手纏いになりそうな者でも、面白いと思えば仲間に引き入れる器の大きさを保てたのかなとも思う。そんでその冒険とロマンは、仲間たちと一緒に追い求めることがたぶん一番大事。

きっと仲間たちも気持ちは似たり寄ったりというか、そんなマベと一緒に夢を負いたい気持ちが一番大きな感じなのかな。ルカだけは現実的金銭的な夢があるものの。

 

■雨が止む

ナビィの連絡を受けて、ガレオン奪還のために起き上がろうとするマベをジョーが無言で引き止め、マベも仲間たちに任せることを受け入れる。38話で悟ったように今はマベも仲間の強さや夢への思いを信頼していればこそだけど、同時にやっぱりその中でも最古参ジョーとの信頼関係はまた特別なんだなと思った。

この時にそれまで降っていた雨が止んで光が差し込む。渡辺監督は、雨とそれが止んで光が差し込んだり水溜まりに雫が落ちて光ったりする光景を、キャラの状況や心境の変化とシンクロさせる演出がお得意で、大好き。(最近だとキラメイシルバーの闇落ち回)

 

ハカセと「跳ぶ」

崖下に停泊するガレオンへの跳び移りをルカに心配されたハカセは「行く!行くなって言われても行く!」と答える。

3話では「仲間のためなら勇気が出せるけどお宝のためには出せなかった」けど、本当に色々あった末に「仲間と一緒にお宝のために勇気が出せる」ところまで来たんだな。

もっとも、マベを助けるために1人でダマラスに挑んだことを思えば、もはや当たり前に超えられるハードルにすぎないのかもだけど。つくづく、ハカセは1年通してその成長を丁寧に積み重ねて貰えたなと思う。

そう言えば彼は27話で、「仲間の身を案じたために、跳べそうな距離を跳ばない」という選択をしたこともあった。ハカセの場合、「跳ぶ」という行為がその時の勇気や仲間への思いを表現する形になってたようにも思えて、偶然かもしれないけど味わい深い。

 

■また掴みに行った

ジョーたちを見送り独りになったマベは、それでも立ち上がろうとしてダメージを痛感。苛立って打ち付けた拳の中に金属の破片、サリーの首飾りの一部を握りしめていたことに気付く。

サリーはあの時、咄嗟に爆弾を自分のお腹にしまい込み、体内で爆発させたせいで恐らく木っ端微塵になった(涙)。すぐ側にいたにもかかわらずマベが致命傷を負わなかったのは、サリーが庇ったためだったんだな。

そして手の中の首飾りの破片は、サリーが一方的にマベを庇っただけではなく、マベ自身もあの状況で咄嗟に跳び退くどころか逆に、ジョーの首輪の時のように首飾りを掴んで離さなかったことを示している。

ずっと一緒の仲間のはずだったバスコに見捨てられ爆殺されようとした時、これまで敵だったマベは逃げるどころか最後まで助けようと掴んで来てくれた。それはあの瞬間のサリーにとって、せめてもの救いになったのかもしれない。

だからこそサリーはマベの気持ちに応えて彼を守ったんじゃないかな。そう思うと余計に、捨てたバスコと掴んで離さなかったマベの対比が鮮烈に感じられる。

 

■VS自分の海賊版

ガレオンの甲板を派手にぶち破り内部への侵入に成功した5人。二手に分かれて居住区を目指すと、それぞれ自分の変身後の姿に遭遇。これを倒せばレンジャーキーを取り戻せる。

ナビィの脱出が海賊にガレオンの位置を知らしめ侵入を許し、そのナビィ捜索のためにゴーカイジャーを実体化させ船内に放ったことが海賊たちにレンジャーキー奪還のチャンスとなる。サリーの落としたナイフから始まった逆転への道筋がまたひとつ開けた。

変身前VS変身後の戦闘ではあるけれど、海賊たちにはもう、自分の意思の入らないガワ、海賊版なんかには負けない強さは充分にあるよな、と安心して見ていられた。特にハカセのトリッキー対決は見ていて楽しかったし、鎧の殺陣のキレもさすが。

 

■ナビィの秘密

一方、再び捕らえられたナビィはバスコから、自分に宇宙最大の宝を手に入れるための大きな役割があると聞かされてびっくり。

「なんのエネルギーの供給もなく動き続ける永久機関。宇宙の物理法則を無視したイレギュラーな存在。ナビィちゃん、君が宇宙最大のお宝への<扉>なんだよ」

思えば16話でバスコはジョーたち4人を人質に、ガレオンとレンジャーキーだけでなくナビィも要求していたけど、その理由はあの微妙な「レッツお宝ナビゲート」だけじゃなかったのね(笑)。

バスコは宇宙最大のお宝関連の情報について、地球に着く前のマベやナビィよりかなり有利な立場だったんだなと改めて。

そんで8話ではギャグ扱いだった「俺は電池なんか変えたことねえぞ!」にまで意味があったのは、笑うと同時に感心した。宇宙最大の宝を何にするかを決めたのは49話の内容を考えた時らしいので、ナビィのこの設定がいつ時点で固まったのかは不明だけど、きちんきちんと拾っていくもんだなと。

 

■騙し返す

そこにナビィ捜索を終えた海賊版5体が戻ってきた。そう見せかけて実は、取り戻したレンジャーキーで変身し海賊版に成りすましていたジョーたちが不意打ちでバスコを銃撃し、ナビィを奪還するのが痛快。

やられたらやり返す。倍返しとまではいかないけど、バスコVS海賊は最初から最後まで、こういう知恵比べも総じてハイレベルで楽しませてくれたなと思う。

でもバスコが「生きてるだけでも驚き」と言ったのにはこっちが驚いた(笑)。マベはともかくジョーたちまで、しかもレンジャーキーを回収するために近寄っただろうに、あれで死んだと思ってトドメを刺さなかったのか(汗)。

まあナビィが異変を察知して変な動きをする前に、一刻も早くガレオンに乗り込みたいと気が逸ってたのかもだけど。

 

■ガレオンバスター敗れる

地力で勝るバスコは5人ひとまとめに外壁ぶち破って船外に放り出す。

海賊たちはオールレッドになり、そこにいないマベの思いも背負ってまずは海賊版ゴーカイレッドを袋叩き。レンジャーキーを取り戻す。

続いてガレオンバスターを取り出しバスコに向ける。元々ハカセがこの最終兵器を開発したきっかけは、バスコにボロ負けして対抗出来る武器が欲しかったためで、いよいよ本命との対決。だけど余裕かましたバスコに苦もなく跳ね返されてしまい、ゴーカイジャーはこういうところ容赦ない(涙)。この時のハカセの気持ちを思うと泣けてくる。

ジョーたちはダメージで変身解除させられ、再びレンジャーキーを奪われてしまった。この期に及んで戦力差が悲しいけど、メタな見方するとこの後の一騎討ちに介入させないためもあるからだから仕方ないか。

 

アカレッドだろうが

今度こそ息の根を止めるとバスコが引き金を引こうとした時、銃を撃ちまくりながらマベが登場。船長コートはボロボロだし腕からはまだ血が流れてるしで、万全な体調でも以前はボロ負けしたのに無理だろこれ(汗)・・・と思ったけど、ここまで来たらもう気合なんだろう。

バスコはまたマベの動揺を誘おうと思ったのか、アカレッドが実はこの星出身で、宇宙最大の宝を餌にマベとバスコに集めさせたレンジャーキーをレジェンドたちに無償で返すつもりだったと、つまり先に裏切ったのはアカレッドだと告げる。

「マベちゃんが懐いてた」とか「あの赤いおっさん」とか中々のパワーワードが並んでいてここの語りは味わい深くて好き。

なおアカレッドの真意は劇中でハッキリ語られていないこともあって、彼の成り立ちを考えるとバスコの主張もあながち否定しきれないかもなあ、とも思う。バスコがどこまで本気でそう思ってたのかはわからないし、仮に騙されたと本気で思ったとしても、元々人を信じずマベにも真の姿を隠していた男がどこまでショックを受けたのかはわからないけど。

 

それに対するマベの答えは

「今の俺は赤き海賊団じゃない。この星に宇宙最大のお宝があり、それを手に入れる為の物が揃ってる。それだけで十分だ。俺たちゴーカイジャーの夢を邪魔するもんは、誰であろうとぶっ潰す!てめえだろうが、ザンギャックだろうが、アカレッドだろうがな!」

アカレッドに倣い自分を犠牲にして仲間たちを守ろうとした時のマベは、アカレッドに心酔しお手本として盲従していたけれど、夢の中でアカレッドに「お前は私ではないし、ゴーカイジャーは赤き海賊団ではないだろう?」と嗜められた。

あれから10話を経て今のマベは言われた言葉をすっかり血肉にして、ゴーカイジャーの船長としての自己をすっかり確立していたんだな。

20話でスーパー戦隊の熱烈なファンである自分を乗り越えて、彼等と肩を並べる戦士であろうとした鎧を思い出す。

それまで心酔していた誰かやそんな自分を乗り越えて、独自の一歩を踏み出す成長を見せた姿がここでしっかり描かれていて感慨深い。でも一方で「アカレッドだろうが」には、同時に子供に親離れされてしまったような一抹の寂しさも感じてしまったりで、複雑な心境。

そんなマベの言葉にバスコも表情を改め、これまでどこか、細貝さんによれば「可愛くて、弟みたいな存在」だった「マベちゃん」はもういないと、対等のライバルとして初めて「マーベラス」と呼び変えるのが、劇的でホント痺れる。

 

■お守り

バスコの先制攻撃と同時にジョーが奪い返したレッドのレンジャーキーを投げ、マベがモバイレーツで受ける格好いい変身。5人が見守る前でいよいよ2人の宿命の対決。

激しい立ち回りに途中から互いに武器を飛ばされ相手の武器を拾って、マベが二刀流、バスコが二丁拳銃になるのが凄くゴーカイジャーの等身大戦の集大成って感じ。スピードに勝るバスコに翻弄され劣勢になるも、ならばと彼の足を踏みつけた自分の足ごと串刺しにするのが壮絶(痛)。そんで互いに至近距離からの必殺の一撃。

どちらも変身解除しながら吹っ飛んで倒れ、先に緑の血を流しながらカッと目を開けて起き上がったバスコが怖かった。

「まさか、相討ちになるとはね・・・もっと早く殺っときゃよかったな」という言葉で、あのバスコもとうとう致命傷を負ったんだ・・・と思った時に、心臓を撃たれたはずのマベが起き上がり、バスコは愕然。

マベの胸ポケットに入れていたサリーの首飾りの金属片が、バスコの銃弾を受け止めていた。

人を裏切り切り捨て続けてきたバスコがサリーも騙して「お守り」だと渡した爆弾。

その破片は、人を掴んで離さなかったマベにとってはサリーを最後まで救おうとしたことで文字通り「お守り」になったという因果応報が、鮮やか過ぎる。

 

■最期の笑み

マベとバスコのサリーに対する対照的な向き合い方が土壇場で勝負を分けた。それを悟ったバスコは「なるほどね・・・そういうことか・・・」と笑みを浮かべて自分の負けを認めると、ゆっくり倒れ、消滅する。

 

宇都宮Pは「台本に書いてないのにあそこで笑える芝居が出来たのは役をよくわかってる感じがした」という意味のことを仰っていた。

演じた細貝さん的には「最後にサリーが<もう終わりにしなよ>と教えてくれてバスコも何かに気付きながら散った」みたいな芝居をしたつもりだとのこと。

素敵な解釈と素晴らしい演技で、細貝さんも間違いなく、ゴーカイジャーが引いた当たりの1つだったと思う。

脚本については荒川さんによると、当初バスコ関係は最後まで香村さんに書いて貰う予定がいろんな兼ね合いでこうなったそうで、申し訳なかったと仰っていた。ただ香村さんが書いていたらどうだったか考えることもあるけれど、この前後編の荒川脚本には満足しかない。

バスコはザンギャックが殆ど絡まなかった「宇宙最大のお宝」が目的だったことで、ザンギャック以上にレジェンド回に踏み込めたのも存在感と完成度を高められた一因かもとは思う。

でも、それを差し引いても登場から最後の瞬間まで、ビジュアルもキャラクターも演出も演技も本当に素晴らしい、見事な悪役だった。宇都宮戦隊には魅力的な顔出しの悪役が何人もいるけど、その中も個人的に一番好きかな。ありがとう、バスコ。

 

※今後ゴーカイジャーの記事は週一更新予定です。

ゼンカイジャー1話感想: 敵は種族ではなく階級格差?

ジュウオウジャーの内容に触れています。

 

35作記念のゴーカイジャーは34戦隊と地続きの世界観だったけど、45作記念の今作はたくさんの並行世界があって、その中に44戦隊の世界もそれぞれ存在しているという設定。そんで突然それらの世界が次々とトジルギアという小さな歯車の中に封印された。

最後に残った世界がこの物語の舞台。ある日他の世界と同様に閉じ込められようとした時、突然キカイノイドたちが出現して、それが原因なのかはわからないけど封印は不発に終わる。

それから1ヶ月後、キカイノイドたちはすっかり人間世界に解け込んでわりと仲良くやっていた。

と、わりとさらっと、物凄く大胆な異種族間交流が超短期間で行われているぶっとんだ世界観(笑)。

どうしてもジュウオウジャーの最終回を思い出す。あのラストのその後の世界はこんな感じなのかも。

 

世界を閉じ込めてきたのはキカイトピア王朝トジデント。

ボスはボッコワウス。中田譲治さんが声を担当している。戦隊では香村さんの好きなライブマン以来の敵ボスかな。ゴーカイジャーライブマン回のザイエン→ジュウオウジャーのアザルド→今作と、香村脚本と縁が強いようで嬉しい。

大きくて怖いボスなんだろうけど、床にドスンと一撃食らわすとその衝撃で幹部2人がピョコンとしたり、喋るトリ型ロボットのゲゲにだけメロメロな口調になる。今回はボスからしてこういう緩くてコミカルな敵で行きますよってわかりやすく見せてくれてる感じ。香村戦隊だとジニス様やドグラニオ様の大物感は、うん、ないな。あの2人は基本的に鷹揚に構えていて滅多なことでは声を荒げなかったし。

 

1ヶ月前に封印が失敗したのは、キカイトピアの一部となぜか融合してしまったかららしい。けど、原因は不明。

その話に食いついた青い掃除担当ロボはOPにいたブルーン。彼は他4人と違って人間界に飛ばされたわけじゃなく、こんなにも敵ボスの近くで働いているのか、とちょっと驚いた。

中澤監督のせいか眼鏡ブルーのせいか、OPでコケてる姿にトッキュウジャーのトカッチの匂いを感じてワクワクする。ここからどうやって仲間になるのか、かなり楽しみ。早くこっちの世界においで。

 

封印失敗から1ヶ月も何やってたんだよと苛立つボスにゲゲが、だったらこの世界だけは封印ではなく普通に武力で侵略しちゃえよと提案。ねっとりした喋り方が曲者っぽくていい感じ。

そんで、44戦隊の世界が封印されたのに新戦隊の世界だけがそれを免れて、これからも免れ続けるであろう理由が

・イレギュラー要素により他の戦隊が為す術なかった封印が使えないから

・先輩戦隊も退けてきた通常の侵略に切り替えたから

なんだと早々にここで示すことで、先輩戦隊の格を落とさないよう慎重に配慮してるのかな、と思った。

 

主人公は五色田介人という若者。祖母と2人で妙に間口の広いメルヘンチックな駄菓子屋をやってる。でも見た感じお店の経営に興味はなく任せきりで、給料だけ貰ってそうな感じかな。

スカイツリーでのバンジージャンプは普通禁止だろうとは思い至らない。これまで比較的知能指数が高く空気も読めて察しの良いタイプが続いた香村戦隊の主人公としては、かなり別種で危険な匂いがする(笑)。

世界初とか誰もやった事がないという言葉の前には一般常識とか軽く吹っ飛びそうな、というか下手するとそもそも備わってもいないかもしれない(汗)。たぶんやらない理由を探さない人。

一方でキカイノイドを初めて見た時、両親が発見した並行世界の人たちかと喜んで警戒感ゼロで仲良くしようとしてたのを見ると、既成の考え方に囚われない分だけ差別の心もなさそう。

店から持ち出した綿菓子とキカイノイドが作ったキカイタコ焼きを交換し異文化交流に勤しむ彼は、この1ヶ月ずっとこんな感じでキカイノイドを見れば積極的に交流しようとしてきたのかな?と思う。反面、人間の深く付き合う友達がいるのかは若干気になる。

 

キカイタコ焼きがあまり人間のタコ焼きと変わらないように見える。その気ならいくらでも、それこそ食べ物に見えない形にも見せられたと思うけど、敢えて「キカイノイドは姿はあんなだけど食べる物は人間とあまり変わらない」って見せ方だろうか?

介人が食べようとした瞬間に爆発で吹っ飛ぶのはゴーカイジャー1話のカレー屋のシーンを思い出した。和やかな日常が一変する中澤監督のこういう緩急、大好き。

 

爆発は、トジデントがこの世界を侵略するために送り込んだキカイノイドの軍隊の仕業。人間も、それから人間と馴染んでる同種族のキカイノイドも攻撃し始めた。

河原で人間のバーベキューにノリノリで加わっていた庶民キカイノイドのジュランの所にも、兵隊たちはやって来て無差別攻撃を始める。戸惑いと怒りで混乱し反撃しようとするジュランは、さっきまで仲良くしていた人間たちから一転、恐怖の目を向けられて大ショック。

先に来て現地人と仲良くしてたら、後から来た自分と同種族の奴等が侵略始めるって、現地人から「騙しやがって」って思われてもおかしくないから、これは辛いよなあ。

ただし同じキカイノイドでも、侵略してきたのは所謂「お偉いさん」な支配階級で、ジュランのような庶民キカイノイドは人間と一緒にスクラップにしても良いと言う。ブルーンも幹部から虫けら扱いされていたし、この作品はキカイノイドの階級間格差をかなり強調してるな。

これまでの戦隊は異種族が侵略してくる形が多かったけど、ゼンカイジャーは異種族間の敵対ではなく、キカイノイドの階級間にある隔たりが敵味方を分けてる。

上流階級は今の所はっきりとした悪で敵

庶民は人間と仲良くしたい善で味方

この作品での戦いはキカイノイドの階級間格差をぶっ壊す革命的な面もあるのかな。

 

ジュランがゴミ捨て場に吹っ飛ばされた頃、介人も軍隊を率いてきた幹部の1人バラシタラに軽く吹っ飛ばされてゴミ捨て場に、と軽くシンクロしてみせる2人。

その後一旦店に戻った介人は祖母と共に入り口にバリケードを作って立てこもりながら、子供の頃に鳥型人工ペット?のセッちゃんを作ってくれた時の両親の言葉を思い出す。

両親は並行世界を研究してた有名な科学者で、現在は所在不明ってことかな。

「爆発」を繰り返しながらもセッちゃんを完成させたこの夫妻のモットーが、「本気でやりたい事はな、結果を出すまで全力全開!」「失敗も挽回、何回もトライ!」

えーと・・・何度危険な失敗を繰り返しても形になるまで全力で突っ走るべし。安全面を考慮し諦めなくていい。介人はそういう価値観の家庭環境で天真爛漫に育っちゃったわけね(汗)。危険何それおいしいの?ってタイプかも。

介人は自分が世界を守ると決意し、方法はわかんないものの「結果出すまで全力全開だ!」と叫ぶ。と、いきなりセッちゃんが意思を持って騒々しく喋り出した。自分の息子が将来、本気で何かをやり遂げようとした時に、というか、後々の展開を見ると侵略されてそれと戦おうと決意した時にそれに反応して起動する仕掛けだったのかな?

 

セッちゃんが介人と祖母を物凄く雑に地下に頭から落下させる(汗)と、そこは両親がいつの間にか作っていた秘密アジト。

ああ、「爆発」って、単なる人工ペットを作るためじゃなく、こんな大掛かりなものを作る過程で起きたのかもな。それってもしかしたら、「失敗」はカモフラージュで本当は手っ取り早く地下にこの「空間」を作るためだったんじゃないか?なんてむくむく湧き上がる疑惑(汗)。

息子(娘?)夫婦がいつの間にこんなものを?と驚く祖母と介人に、セッちゃんは並行世界とスーパー戦隊のことをさらっと説明し、彼等の装備を参考に開発されたというずらりと並んだ銃を見せる(汗)。

たぶんこれ、ルパパトの世界なら普通に逮捕案件だよな。普通に人も殺せるだろうし、なぜに両親は実際に侵略者が来るずっと前にこれを用意していたのか(汗)。・・・うん、きっと侵略者に襲われた世界が44もあったので次は自分たちの世界なのかもと想定して準備していたんだよね?まさか、ただ「格好いいねこれ!」と思って真似して作ったんじゃないよね?

小心者の私の中で、五色田夫妻のヤバい人度がじわじわと積み重なっていくんだけど(笑)。

でも今の介人にとってはまさに渡りに船。即座にこれを使って戦うことを決意し、祖母も平気で引きずり込もうとする。危険何それおいしいの?は自分の祖母にも適用されるのか(怖)。炎をバックに2人が銃を構える「イメージです」は中澤監督らしいお茶目さで笑ったけど。

 

介人は早速街へ出て、ジュランが身を挺して人間の男の子を庇う場面に遭遇し、早速実力を行使して助ける。

それまでさんざん人間たちから怖がられて傷付いても、その人間の子供のピンチは見過ごせない。でも庇った後で怖がられた記憶が蘇り、謝って離れようとするのを介人が屈託なく「ありがとう」と声をかける。それを見て、自分を襲った相手と同種族だけど庇ってくれたこの赤いキカイノイドにどう反応していいのか迷っていたっぽい男の子も安心して「ありがとう」と言う。

ジュウオウジャー6話でラリーさんが助けた女の子からお礼言われるシーンを思い出して泣けた。あれも香村さん+中澤監督。

 

そんで介人は、今回男の子を後押ししたように名前のとおりこれからも人間とキカイノイドを仲立ち「介する人」になってくのかな。そう思った矢先・・・

「ねえ、俺と一緒にトジテンドと戦ってよ」と、銃を渡して笑顔で誘ってきた(汗)。

若者と年配者を差別しない。人間とキカイノイドを差別しない。文字で書くと美徳なようで、でも、何の躊躇いもなく自分と一緒に還暦ばあちゃんを戦わせようとしたり、「あいつらとは違うじゃん」と笑顔でキカイノイドに同じキカイノイドを殺させようとするのを見ると、介人の枠や分け隔てのなさって結構アグレッシブでおっかない部分もあるのかもと思った。どこまで確信犯で書いているのか気になる。

他人の危機を見過ごせないのはちゃんとヒーローで、その一線には安心しているんだけど。

 

異種族との衝突と交流については、ジュウオウジャーのジューマンたちはなまじ人間に擬態出来てそれを前面に出す必要があったために、若干印象が弱まってみっちゃんの成長話に食われた感もあったと個人的には思うけど、今回は人間体がないことでよりストレートに踏み込めるのかもしれないな、なんてちょっと思ったりもする。

ただ、ジュウオウジャーのジューマンは侵略の意図はなかったけど、ジュランたちは常に「同種族の侵略」を突きつけられかねないのが辛い所。侵略者じゃないことの証明のためにも同族同士で戦わなければならないんだとすると、シビアな立ち位置だなと思う。だから「敵は階級格差」っていう構造になってくのかもだけど。

 

介人はジュランに銃の操作方法を教える。敵の軍隊が待ってる前であーじゃねーこーじゃねーとレクチャーしシュールな間をとったり、敵雑魚の口上を銃撃で永久中断させると同時にBGMを止めてパッと空気を変えたり、と中澤監督らしい演出が相変わらず素敵。

変身すると介人は赤ではなく白基調で5色のアクセントに仮面ライダーっぽいマスクなのが、これまでの戦隊主人公と一線を画している。

ジュランは、肩アーマーなどがかなりボリューミーで、これ動き辛くないのかな?と余計な心配をしてしまった。香村さんと中澤監督を重用した宇都宮Pがアクション映えするヒラヒラ以外はスーツに着けたがらなかったのを覚えているから、余計にそう感じるのかも。同じロボットだけど戦う力を持たない庶民キカイノイドからの変化をわかりやすく強そうに見せるためだから仕方ないんだけど。

変身した2人にセッちゃんが無線?でセンタイギアの使い方をナビゲート。介人は40番のジュウオウジャーを使ってイーグルの力で空中から、ジュランは39番のニンニンジャーを使って地上で立ち回り、雑魚戦闘員を一掃する。今回は戦隊の力をこう使いますという見せ方なんだろうけど、今のところCG主体で若干印象が薄いかも。

それよりセッちゃんのテンション高いスーパー戦隊解説を、モニターで戦闘を見守りながら「へー・・・」と口をあけて聞いてる還暦ばあちゃんの、イマイチ興味薄そうなリアクションの方がじわじわきた(笑)。まあ急に次々まくしたてられても頭に入ってこないよな。

 

バラシタラはならばと巨大ロボを召喚。それに対してセッちゃん(ついナビィと書きそうになって困る・汗)のナビゲートでジュランがギアをひっくり返すと、彼がその姿のまま巨大化。

活き活きと動いて戦う姿は中々格好良くて、恐竜の姿に変形して丸めた背中から特攻するのも面白く、これなら今回はロボ売れるかも?とメタな期待をしてしまった(汗)。

介人の方はいつの間にかバラシタラはいなくなっていて、河原でジュランをボコった中隊長ポジションみたいなキカイノイドと戦闘。今回の介人の戦闘はイマイチ印象が薄かったけど、巨大化ジュランと同時にフィニッシュ。初勝利。

すっかり意気投合した2人は駄菓子屋で還暦ばあちゃんから労われ、ばあちゃんが謎の「ヤツデスペシャル」を振る舞うために買い出しに出ようとすると、街行く人々の頭に急にキノコが生えてびっくり!で続く。

 

まだ1話だから仕方ないかもだけど、前作に比べると敵の怪人枠や巨大ロボ枠の印象が少し薄めかな?間違いなくコスト面では厳しい中で工夫をつけるのは大変だと思うけど、前作が邪面という大発明をしているし、香村さんも怪人のキャラ付けは上手な方なので、今作も頑張って欲しい。

でも、香村さん(特に序盤)×中澤監督のコンビは、やっぱり好きだなと思う。テンポと勢いが良くてキャラも掴みやすく、膨大な情報量も上手く整理されていてわかりやすかった。

主人公(とその両親)のヤバさはこの先どう転ぶのかは気になるものの笑いどころも燃えどころも満足で、個人的にはスーパー戦隊要素がなくても面白く見られたかもしれないな、と思うくらいには気に入ったかも。

 

海賊戦隊ゴーカイジャー: 47話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■デートの誘いかよ

いよいよバスコと雌雄を決する時が来た。レーダーに映らないフリージョーカーに乗った相手をどう捜すか。

電話しては?というアイムの提案が、あまりに緊張感のないお手軽感で吹いた(笑)。バスコも赤き海賊団の一員だったから、モバイレーツは持っているんだよね。試しにかけてみたら本当に出た。いや今までもバスコからはかかってきたことはあるけど、あれだけ敵対してきた相手がホットラインで繋がってるってのも不思議な距離感(笑)。

バスコはふざけた調子で「いつにする?」とか友達が待ち合わせの日時決めてるみたい。

一方マベは、らしくなくたじろいで「明日にするか・・・?」と弱気モード。いざとなると心の準備が出来てなかった感じ。

 

■ロボ戦では勝負にならない

もっともバスコは先んじてガレオンを見つけていて「今から行くよ」と先制攻撃。

更にサリーのお腹からロイド2体を出して挑むも、カンゼンゴーカイオーに敗れてしまう。

大いなる力を気前良く渡しすぎたかと若干後悔してるようだけど、16話時点でも、ロイドを1体ずつ出してる限りはバスコ側に勝ち目はなかった。今は2体がかりでも勝てない。しかもロイドはもう残ってないから、ロボ戦ではバスコに分が悪すぎる。

ではどうするか、と、バスコがサリーに意味深な目を向ける。バスコの酷薄な性格を考えればサリーに対してロクなことを考えていなさそうなのが不穏すぎる。

 

■サリーへの温度差

ロイドを倒した海賊たちは、サリーに向けて銃を連射するバスコを目撃し驚いて、バスコが立ち去り倒れているサリーの元へと向かう。

躊躇なく駆け寄るハカセ・アイム・鎧。警戒心混じりにちょっと遅れるマベ・ジョー・ルカ。

まあマベはここでバスコから裏切られた自分をサリーと重ねて「ガレオンに連れてって、手当てしてやれ」と言うんだけど、せれに対して思わず顔が綻ぶ前者、血相変えるジョールカ、と、やっぱり反応がハッキリ分かれた。

前回も書いたけど、海賊らしい古参組と海賊らしくない新参組がバランスよく半々に分かれて、ハードなアウトロー的格好良さとソフトな正当派ヒーロー的親近感や良識を両立させて、魅力を多重構造にし、補い合ってるのが好き。

そんで今回は更にアウトロー組筆頭のマベが趣旨替えしてみせることで、残されたジョールカの波紋がよりドラマチックに次の場面に続いてる。

 

■マベの傷

展望台でどういうつもりか問いただすジョーにマベは「わっかんね・・・」と自分の気持ちを上手く言語化出来ない。

でも、たとえ今回は罠でありサリーの芝居だとしても、いずれサリーはバスコに裏切られると思うと、昔受けた傷がどうしようもなく疼くんだろう。

この時マベが思い出していたのは、戦いの後で甲斐甲斐しくマベの傷の手当てをしてくれたバスコ。陽気で茶目っ気があり、兄というよりむしろ姉が可愛い弟をからかい半分に構ってるみたいなイチャイチャぶり(男同士にこの言葉使うのあまり好きじゃないんだけど、あまりにもこの表現がぴったりだと思った・汗)。

「自分だって大して強くないくせに」と言われても「まあね」とさらっと流して、実はあんな強さと凶悪な本性を隠しているなんて想像も出来ない。

バスコのそんな姿やしてくれたことは想像以上にマベの心に食い込んでいるんだな、とちょっと驚いた。

しかも「せっかく仲間なんだからさ、自分の出来る事をやればいいじゃないの」って、43話で印象的だったゴーカイジャーのスタンスのルーツが、実はバスコだったなんて(汗)。

マベはいつも船長としての鎧を纏っているけど、レジェンドたちとのやりとり見た感じ、一皮向けば兄貴的な存在に弱い弟気質なんだよな。バスコに「マベちゃん」と可愛がって貰い、凄く慕っていて、だからその分裏切られた傷も相当に深いんだな、と改めて。

サリーを「別に仲間に入れようってわけじゃない」と言いつつも、思いっきり自分と重ねているのを見てとった上で、

「本当か?うちの信じられないお人好しだからな」と言うジョーが良い。そんな手酷い裏切られ方をした男が、(また裏切られるかもしれないのにそれを怖がらず)よくこれだけ仲間を集めたものだと。

裏切られることを想定して誰も信じないバスコとは、正反対だな。

サリーを見捨てられないマベを否定することは、ジョーたちを仲間にしたマベを否定するのと同じなのかもしれない。特に敵対していたサリーに一番近い立場が誰か、と考えると、元ザンギャックのジョーは「好きにしろ」と言わざるを得なかったのかもなあと思う。

 

■サリーの葛藤

ガレオンで、アウトロー組からの微妙な視線と共に良い子組から手厚い看護を受けたサリー。

夜になって目を覚ますと宝箱の元へ。やっぱりバスコの策略で、サリーはガレオンに潜り込み宝箱を持って来るよう指示されていた。

宝箱を掴もうと伸ばした手に巻かれた包帯を見てから始まる葛藤が、台詞もないのに本当に気持ちが伝わってくる。いじらしくて可哀想。スーツアクターおぐらさん、名演だな。

 

■全て計算どおり

サリーは夜中から明け方まで逡巡した挙げ句、宝箱を持ち出してバスコの近くまで戻って来た。でもバスコを目の前にして足が止まってしまう。

そんで何だかんだお見通しだった海賊たちがサリーの後を付けていた。当然宝箱は空。

サリーの傷は手当てしなければ死んでしまうほど酷いものだった。海賊たちはそれを責め、マベはサリーに歩み寄って、本当にそんなバスコの仲間で良いのか問いかける。

バスコと海賊双方からの綱引きの板挟みになって、つぶらな瞳を泳がせるサリーが本当に痛々しい。

とうとうマベを選んだサリーに、でもバスコは狼狽えるどころか高笑い。作戦を仕込む時に「御守り」だとサリーの首にかけていた爆弾のスイッチを押した。

 

罠だと見抜かれて海賊たちが追ってくるのも、サリーが自分を見限ってマベ側につくのも、全部バスコの計算のうちだった。

そもそも海賊が手当てしなければ死ぬ怪我を負わせたのも、迷うサリーに怖い顔を見せて苛立って見せたのも、海賊たちの前でサリーを自分の道具扱いして見せたのも全部わざと。

それを見て海賊たちが怒りサリーに同情して自分から引き離そうとし、最終的にサリーの気持ちを自分から海賊たちの方に移らせるための計算だったわけだ(汗)。

バスコはロボ戦に持ち込まれたら勝ち目がない代わりに等身大戦は有利。ただし宇宙最大の宝を得るために必要なガレオンや宝箱、ナビィを無傷で手に入れるために、海賊を船から誘い出したかった。そんでサリーが海賊に付いたタイミングで爆破し、敵に回すと厄介なサリーを始末し海賊の戦力もそいで勝ちを確実にする、という作戦。

結果は憎たらしいくらい上々(汗)。海賊の中で一番強いマベは、爆発に巻き込まれて倒れたまま動かず戦闘不能状態。

 

そんでサリーは・・・(泣)。直接は映さなくても「こんな・・・」と絶句するアイムの目の動きが、いかにサリーがバラバラに四散したかを物語っている。かなり残酷でショッキングで、直前までの葛藤する様を思うと哀れで仕方ない(涙)。

 

ジョーたち4人は怒りに燃えて変身し立ち向かうも、バスコに完全に叩きのめされて意識を失ってしまう。

バスコは海賊からレンジャーキーを奪い取り、そのままガレオンに乗り込んでナビィを踏みつけ制圧し、全てを手に入れて高笑い。

もうね、狡猾、冷徹、冷酷、邪悪、凶悪、どんな言葉でこの男の所業を評したらいいんだろう(汗)。

 

■細川さん受難

この回のバスコのゾッとするような悪どさは当時、大人の私が見てもかなりの衝撃だったけど、小さな子供たちには与えたショックは、演じた細川さんによるともう「トラウマもん」だったみたい。

よりによってこの回が放送された午後に実施された写真集イベントでは、子供が泣いて暴れて大変だったとか(汗)。イベントに来るくらいだからバスコも好きだったけどサリーもセットで好きだったろうに、そのサリーを爆破しちゃったもんだから完全に恐怖の目線で見ていたとのこと。

細川さんには受難でもあったけれど、それだけ恐れられ憎まれる悪役としてきっちり、演じられた故で、本当に敵としてはお見事と言うしかなく、素晴らしかった。

 

■大事だからこそ?

一方でバスコは39話ではサリーのピンチに動揺し、身を挺して庇う様子を見せていた。まだ利用価値があるから失いたくなかっただけかもしれない。

だけどこの時の記憶があるので、本当はサリーを大事に思いながらも大事だからこそ「宇宙最大の宝」の対価として捨てなければ、という呪縛に囚われていたのでは?などと想像させる余地があって、背景はわからないなりに一筋縄でいかない魅力にもなったと思う。

 

※48話の記事は来週更新予定です。

キラメイジャー45話(最終回)感想: 大変な時代に知恵と工夫と煌めきをありがとう(長め)

宇宙一硬く破壊不可能な邪面で弱点である本当の素顔を隠している皇帝を倒すには?破壊のデストリアは皇帝の息の根を止めるために温存したいけれど、他に打開策がない。

するとクランチュラさんは、前回ラストでヒーローたちを背後から見守るサポーター面していたくせに、

「皇帝が自ら邪面を外す時が一つだけある。おまえら全員が死んで、その屍を喰らう時だ!」

と邪悪そうに笑いながら皇帝の流儀を暴露。そんな習性があったの初めて聞いた(笑)。クランチュラさんが食われなかったのは敵ではなく部下だったから?それとも水落ちしたから?充留も崖から落ちてなかったら食われていたのかな?と思うと怖い。

他メンバーがふざけるなと憤る中、出ました充瑠のひらめキング。それを見て嬉しそうなクランチュラさん。この赤赤コンビが完全に地球側の生命線になってる。

 

最終回だけどOPは通常通り。いかにもキラメイジャーらしくキラキラしてるから、前回カットして絶望感を上乗せし、逆転に向かって行く今回しっかり流したのは良かったと思う。このOPも見納めかと思うと寂しい。

 

皇帝の意識の部屋ではヨドンナが瀕死状態で復活。皇帝にとって自分は何だったのかと尋ねると、「弱さだ」という答。

「我はそもそも澱みに生まれた蛇の化身。大した戦士ではなかった。ある時、我は天啓を受け最初の邪面を作った。それを被ると無敵になった気がした」

皇帝の過去が明かされる。初めて見た時に長く伸びた巨大な舌と思ったのは、蛇の意匠だったんだ。

そんでヨドン皇帝にとって邪面とは「大した戦士ではなかった」自分を変えて、皇帝に上り詰めるまでの強さを得るきっかけを与えて人生を一変させてくれた物。自分の成功の象徴。

だから自分の帝国では、ある程度以上の地位の者にも邪面を被らせたのかも。クリスタリア出身のガルザも邪面を被ることで正式にヨドンへイムの一員として迎えられたんだし。

倒した相手を食らうことを繰り返し強くなるうちに、いつしか脳内にヨドンナとシャドンが生まれた。

「我は気付かぬ内に、最も忌み嫌う仲間を求めたのだ。それはすなわち、我の心が生んだ弱さの象徴。それがある間は、真の強き者ではない」

ヨドンナはそれを聞いて、自分がいなくなれば皇帝は絶対的な強者になるのだと、それを喜び受け入れて、今度こそ本当に消滅。

正直言うと前回の「無理です」から、裏切られたヨドンナの意趣返しを期待していたから若干拍子抜け。でも他者であるクランチュラやガルザと違ってあくまで皇帝の一部だったヨドンナには、何をされても皇帝に歯向かう発想だけはなく、前回は理由や自分の存在意義がわからず笑えなかったってことなのかも。

 

皇帝と邪面との出会いは、充瑠が自信を持てるようになり輝くことが出来るようになったファイヤーと出会いに、ちょっと似ている気がした。

ただし充瑠たちの方は「キラキラ輝くために僕らは巡り会ったと思う」と主題歌が歌うように仲間との出会いによって磨き上げられ強くなっていったのに対し、皇帝のそれは孤独で仲間を弱さとして否定することで完成するという対照的なもの。皇帝の正体や成り立ちを最終回でやるのはちょっと唐突な気もしたけど、キラメイジャーとの対比はその分鮮やかになったと思う。

 

で、皇帝が無意識に仲間を求めて脳内で生み出した人格が、最強のスナイパー(広島弁)と僕ッ子美少女(コスプレとアイスが好き)って・・・皇帝は内心、強くてワイルドなおっさんに守られ、中性的で可愛くて色んな姿で楽しませてくれるアイドルっぽい女の子に側にいて欲しかったのか(汗)。

こうやって言語化すると確かにそれは弱さかもしれないし、少なくとも皇帝には「弱さ」で括る以外にわからない感覚かもだけど、もっとこう別の趣味趣向的な何かでは?という気がしなくもない(笑)。

でも皇帝って、英雄色を好む的な豪放磊落タイプじゃなくて真面目でストイックそうだから尚更、そんな自分の性癖を突きつけられたら頭掻きむしって穴があったら入りたくなるタイプかもとは思った。

 

ヨドンナの邪面が今度こそ砕け散って、曰く「完全無欠」の存在になった皇帝は、ジョーキーをはじき飛ばし、キラメイジンとドリラーをも撃破。

キラメイジャーは死んだと思い、その屍を喰らおうと皇帝が邪面を外した途端、背後からの攻撃がその邪面をはじき飛ばす。

実は撃破シーンは充瑠がイリュージョンで皇帝に見せた幻。本物のロボたちはその背後で皇帝が邪面を脱ぐのを待ち構えていた。

エネルギア、リバーシアに続いてイリュージョンもしっかり使われた。しかもラスボスの絶対的優位の根拠を打開する逆転の決め手になり、これを敵のアジトから盗み出してきた(しかも皇帝の流儀を教えた)クランチュラさん大手柄。ここまで貢献したらもう生かしておいていい、というより足向けて寝られない状態になっていってない?(笑)。

 

剥き出しになった弱点の素顔をドリラーに思いっきり攻撃された皇帝は、そのダメージでこれまで幾多の屍を食らって溜め込んできた生命エネルギーを削られたのか等身大(邪面を被る前の元々のサイズ?)に縮小し、「おのれ!我の養分になるだけの虫けらの分際で!」と悪態をつく。

でも「それは違います!」とマブシーナ。博多南さんに「後は見守るんだ」と言われていたけど、最前線に出て来た。

個人的には、非戦闘メンバーがただ啖呵を切るために出てくるのは、たとえ戦う覚悟をしてのことだとしても、捕まって足引っ張ったりしないかとヒヤヒヤするんであまり好きじゃない。でも

「あの方々は、悪逆非道のあなたに引導を渡す輝きの戦士たち。煌めきに満ちたそのお顔を、しかと拝みなさい!」

と示した先にメットオフで歩いてくる素顔の戦士たち6人、という流れは凄く綺麗にハマってテンション上がってしまったので私の負け(笑)。

戦隊最終回恒例の素面名乗りに「冥土の土産に自分を倒す者の顔を目に焼き付けて逝け!」的な意味合いを持ってきたと考えると、中々アグレッシブで好き(笑)。

 

充瑠のバク宙から始まった素面名乗りは、最後の組み体操まで全て、役者さんたち本人で見事にやりきった。

第1話を見た時に凄いインパクトで「これ、最終回も素面でやってくれるの(笑)?」と半分ネタ的に気になってたんだけど、堂々と正面突破してくれて、本当にありがとう。

 

迎え撃つ皇帝が召喚したのは色とりどりのタイツとマントを付けたベチャットたち、エンペラーガードベチャット。皇帝親衛隊か。

「こいつら、ベチャットとは思えない強さだ」と宝路。

以前クランチュラさんが邪面師について、熟して(強くなって)色が変わったベチャットに邪面を与えたもの、と説明していた。このエンペラーガードベチャットたちは、1人1人が邪面師並の強さがある、ということになり苦戦も納得。

一方で、邪面を被らない限りどこまでも無個性なベチャットのままなんだな、とも感じた。

クランチュラさんが成長したベチャットたちのために趣向を凝らして作り与えた邪面は、それを被らせる事で1人1人の個性を尊重し表現するものでもあったんだな。皇帝のこの十把一絡げの出し方でそれがわかった気がする。

皇帝のもう1つの人格ヨドンナが以前、邪面獣の名前なんてどうでもいいと言っていたように、皇帝は強さ以外求めず、拘りを否定されたクランチュラさんはヨドン軍に居場所をなくし、結局そのために皇帝は足をすくわれたんだな、としみじみ。

 

エンペラーガードベチャットの強さに圧されかけたキラメイジャーを見て心配になるマブシーナを、魔進たちが駆け付けて励ます。いきなり「夢の中に閉じ込められた時だって、乗り切っただろ?」と映画のカットを出されたのは驚いたけど、もう公開してるもんな。コロナで自粛してまだ見に行ってないのが、スタッフさんの頑張りを思うと若干申し訳ない気持ち。

姫が気を取り直すと、そこで為朝が作戦の指示を出した。

時雨、小夜、宝路はベチャット退治に専念。その間に充瑠はアローをチャージ。瀬奈は「これ」を持って為朝と待機。

そんな為朝の状況把握と作戦能力を讃える姫にショベ爺の孫バカ目線も加わって、過去映像と共に各メンバーの素晴らしさが姫と相棒たちによって次々に総括され、「素敵です!」「ワンダーラブです!」「眩しいです!」「格好いいです!」と褒めまくられていくのが、凄くキラメイジャーらしい最終回。

でもアニキ、ハコブー回の羽生やして恍惚と飛翔するイメージカットはやっぱり選ばれるのね(笑)。

 

時雨、小夜、宝路の頑張りで切り開いた皇帝への進路を、姫&マッハの賛辞を受けながら瀬奈がデストリアを皇帝に食らわせるために爆走。この子の走りは2話で見た時から本当に気持ち良くて引き込まれたし、キラメイジャーっていう戦隊の戦闘の魅力になってたなあと改めてしみじみ思う。

特攻は皇帝に防がれ、デストリアは瀬奈の手からはじき飛ばされたけど、「想定内だ!」と為朝の撃ったバレットが皇帝の方に押し戻す。皇帝相手に誰が突っ込もうが一発で決まるなんて思ってないぜと、揺るがない為朝が頼もしい。でもデストリアが押し戻されすぎて皇帝がキャッチしたらどうしようとちょっとドキドキした(笑)。

そんでチャージを続けていた充瑠のアローの矢がデストリアを貫く。石が砕け散ったらどうしようとドキドキする間もなく、その石のパワーでブーストされた矢が皇帝を直撃し、大爆発。

 

最終決戦でキラメイジャー全員がその役割を果たし、カナエマストーン4つ全部の力を総動員して、魔新たちと姫が応援し讃えまくる中での最終決戦大勝利。クランチュラさんも含めて全てのカードを使い切った感じが気持ち良い。

基地で見守っていた博多南さん、感無量の「終わったー」。少年の頃、父親からノリのいい青い宇宙人に引き合わされたことから始まった縁。兄と比べて「僕なんか」だった彼はそこで輝きを認められたことで、後に自分の煌めきを信じて事業を起こしたり、兄の養父になり親戚付き合いするようになった宇宙人の忠告を信じてキラメイジャーの装備を準備したり、といろいろ頑張ってきた。その30数年間が地球防衛に成功という形で結実したんだな。どんなに感慨深かったことだろう。

つくづく博多南さんの、経済力組織編成力統率力事務処理能力調整力調査能力分析解析能力技術開発能力包容力それから無私の奉仕精神とヒーロー性がなかったら、地球終わってたよな。

他人のホットドッグ無断で真ん中食いするくらい余裕で許せる。

ヨドン軍の敗因は、ホイホイ無防備に海外出張だの漫画家サイン会だの出歩きまくる博多南さんを、最後までノーマークだったことかもしれない。

これだけの資質の宝庫でありながら、最初から最後まで後方支援に徹して前に出なかった根っからのサポート気質も良かったのかな。そういう縁の下の力持ちにも光を当てるキラメイジャー、いいよなあと改めて。

 

ベチャット化していた柿原さんも元に戻り、「やったんだね、熱田!」と勝利を確信して青空に笑いかけてから3ヶ月後。

久しぶりに皆が、バーチャル会議で再会。充瑠も女性陣も髪型がちょっと変わっていたりして、前に進んでいるんだよな、皆。

充瑠は会議の前にクランチュラさんと電話(繋がるのかよ・笑)で話していて、皇帝亡き後のヨドンへイムは彼が統治し、2度と他の星を侵略しない平和国家を目指すと示唆。電話で話す彼の周りでベチャットたちが絵を描いているのが微笑ましい。

クランチュラさんは、先に1/5を失ったことが、あの時はダメージが凄かったけど最終的には災い転じて福となったな。幸運だけでなく、クランチュラさんのその場その場の選択が未来を掴ませたんだけど、彼の生存endは満足しかない。

 

充瑠が参加するまで皆が話していたのは、彼がオラディンと交信出来ていた理由。

さんざんそこを気にしていた身としては、前回のオラディンの「充瑠の純粋さ故だろう」みたいなまとめ方で拍子抜け&諦めていたところに「え、やっぱりそこ理由をくれるの(喜)!?」と食いつきかけた。

だけどそれは、共に絵を書くことが好きな充瑠とオラディン、2人の意識が出会いシンクロし合ったことによる「素敵な偶然」(笑)。

「えーーーー?!そういう、ふわってしたやつ?!」と充瑠自身に突っ込ませて(私とかの)ガス抜きをしつつ

「でも、それが一番しっくり来ない?」「充瑠が違う世界と繋がったから全てが始まった。それは確かだろ?」

などともうメンバー総動員で「そういうことなの!それでいいの!」と押し切ろうとするのが、いっそ清々しくて楽しくなってしまった(笑)。

スタッフさんもきっとそこは、気にしていたんだろなあと。この作品が1年間置かれてきた厳しい環境を思うと、特にコロナがなければ本編がもう5話多かったことを思うと、そこはもうそれで良いよな、と思う。

 

オラディンと充瑠が2人とも絵を描くことが好きだったことも、地球を救った。

クリスタリア人は現実にないものを形に出来るのがオラディンとガルザだけっていう、物凄く想像力創造力に乏しいある意味欠陥民族。私はなんでそんな設定にしたのか不思議だった。

けど、もしかしたらスタッフさんは、これを見ているまだ出来る事が凄く限られる小さな子供達に、「今、君が出来ている事はとても素晴らしい事なんだよ」っていうメッセージを贈りたかったのかな?なんて考えてみたりする。

 

やがてクリスタリア組が到着し、博多南さんが画面を切り替えると、そこはクリスタリア星。正装したマブシーナ、クリスタリアの宮廷衣装を纏い髪を切った宝路、そして魔進たちと再会。

マブシーナは女王に就任し、カナエマストーン4つの力で、侵略により荒廃していたクリスタリアの国土は復活。でも「生き残った人たち」という言い方で、死者の復活までは願わなかったことについては、別の記事で吐き出したので、ここでは触れない。その線引きは妥当だったのだろうとだけ。

王も王妃も不死鳥と髪飾りの姿のままなのは変わらず、それをポジティブに受け入れている。

マブシーナは自分が1年間見続けてきたキラメイジャーたちをお手本に女王として歩むことを決めた。キラメイジャーは、0話で国と父を失い気弱で後ろ向きだった彼女が成長し、最後にはそれらを取り戻す以上の物を得て女王として歩み始めるまでの物語でもあったんだな。

なおクリスタリアには、「新たなクリスタリアが目指す、理想の姿を掘りました!」とキラメイジャーの功績を讃えて彼等の巨大な彫像が岩壁にハリウッドのそれみたいにそびえ立っていた(汗)。

それを恥ずかしがりもせずちゃんと喜んでいるこの人たちは、やっぱり日頃から褒め称えられ慣れた人たちなんだな、と改めて(笑)。そして今はそこに充瑠もしっかり仲間入りしてるんだな。

 

そこに突然乱入してきたのは柿原さん。「熱田」から「充瑠」呼びになっていて、今度こそ可愛く描いて貰えるはずだった絵なのに、自分は小さく隅っこに追いやられていることにおかんむり。

そして画面の中央に描かれていたのは、次の新戦隊、ゼンカイジャー。

「よくわかんないけど、ひらめキングで」

「おい、またどっかの世界と繋がっちまったんじゃねぇのか?」

と、さっき全力で「素敵な偶然」ということにした充瑠の繋がりやすさをちゃっかり新番組の宣伝に利用し、「でも、これもきっと、素敵なものだよ!」とエールを贈ってみせるのは、やり方が上手すぎて狡い(笑)。

柿原さんは「書き直しなさいよ!」と周囲に勢揃いするキラメイジャーや魔進たちには目もくれず、というかたぶん充瑠以外目に入らず、バーチャル会議から充瑠を引きずり出して最後は追いかけっこ。たぶん柿原さんはデートのつもりで、でも充瑠はそのあたり今一つピンときてなくて、って感じがとってもアオハルなラブコメ風味で、見送る皆のキャッキャした反応とシンクロしてしまった(笑)。

ゼンカイジャーが描かれたスケッチブックがめくれると、次のページにキラメイジャーたちの笑顔というラストカットで、凄く綺麗に終わったなあ。

 

開始当初からコロナで撮影が休止になり話数を減らされたり、再開後もいろいろと演出制限を余儀なくされていたのを、知恵と工夫で乗り切るだけじゃなく、新たな楽しみに変換して毎週見せてくれた心意気が尊かった。

こんなかつてなく大変だった時代に、他の業界以上にキツいことも多かったはずと思う。いちばん煌めいていたのは、表からは見えない場所でこの番組のために奮闘していたスタッフさんたちかもしれない。ずっと心に残るだろうな。本当に素晴らしかった。ありがとうございます。

ルパパト:改めて続編希望(追記)キラメイジャー最終回に寄せて (こっちもネガ)

※キラメイジャー最終回のネタバレがあります。

 

ルパパト: 改めて続編希望~「ありがとう」が聞きたくて~(超ネガ長文)

https://kiuix.hatenablog.com/entry/2021/03/05/221605

 

の追記をもう少しだけ、すみません。

 

■キラメイジャーの死者への線引き

キラメイジャーの最終回の感想は別記事で書く予定だけど、素晴らしかったと思う。

一方で、人の煌めきというメインテーマを貫いた上で、カナエマストーンの「全部揃えればどんな願いも叶う」設定を使いきりクリスタリア復活という願いを叶え、でも「生き残った人たち」という言い方で死者の復活は願わなかったことを示すきっぱりした線引きに、「やっぱりそうなんだよね・・・」と納得しつつも胸が痛かった。

じゃあ、「VS続行」がメインテーマだからという名目で、同じく「全部集めればどんな願いも叶う」ルパンコレクションの設定に決着をつけず、最終回後の今も「死んだアルセーヌ・ルパンの蘇生」という、キラメイジャーが否定し一般的にも倫理的に賛否分かれる願いを叶わないまま今も背負い続け、そのことで快盗たちの人生も縛っているノエルの立場は?そう思うと、改めて悲しくなる。

当初から宝路やマブシーナの叶えたい願いに死んだ両親の蘇生は含まれず、でも「実は生きていた」ことにして別の姿で復活したのを見た時から覚悟はしていたし、リュウソウジャーの時にも似たようなことは感じたんだけどね。

 

■老婆心

それともうひとつ、私の老婆心。もしこのまま続編がなかった場合、ノエルは数年後に例えばイベントとかでノエルを好きだった当時の子供に「ノエルは今何をしていますか?」と聞かれたら「アルセーヌ・ルパンを生き返らせるために頑張っているよ。絶対叶えるから応援してね!」と言うのかな?って。

キラメイジャーやリュウソウジャーをはじめ過去の東映特撮作品が何度も否定してきた願いのことを、そう堂々と答えてもいいの?

そんで前の記事に書いたような否定的な見方をしている人も一定数いるかもしれない観客の前で、誰かに「もういい加減死人を生き返らせるのは諦めなよ。快盗たちも解放してあげなよ」と、もし冗談めかして言われたら、なんて答えればいいのかな?って。

というかそもそも、そうやって何年も何年も快盗たちを心理的に縛って死者蘇生に取り憑かれ続けるスーパー戦隊の戦士、ヒーローの姿を想像した時に、スタッフさんご自身はどうお感じになるのか、真面目に知りたい。誰憚ることなく正しいと思って背負わせたの?って。

リュウソウジャーVSの時にさんざん心配したのもそうだけど、最終回後のノエルには、他の戦隊の戦士と横並びにされた時に、堂々とその主張を打ち出していいの?倫理的に否定されたりしないの?っていう足場の心許なさを感じてしまう。それは最終回でキャラから手を放すスタッフさん側に、誰1人文句のつけようのない着地とまではいかなくても、もうちょっと配慮して貰えなかったのかな?って思うよ。ヒーロー番組枠だから。

平和も望む故の板挟みなんだというには、最終回の描写は「ノエルは警察はもう用無しだから快盗けしかけて笑っている文字通りのヒトデナシ」と受け取る人も少なからずいるレベルだったし。

 

■最後にもう一度お願い

他の作品が倫理的に否定している死者蘇生の願いをVS続行のために「ヒーロー」のはずのノエルに背負わせて、決着はつけず後はご想像にお任せし、叶えてないから作品は倫理的にはセーフ、でもノエルはファンの一定数から否定され、その否定がVS続行の支持の一端を支えている、そんな風に読み取れなくもない現状がこれからもずっと続くの、私は嫌だよ。いくらリュウソウジャーVSで優遇して貰えたからと言っても、それは嫌。

そんなのスーパー戦隊の戦士として惨めだと思ってしまう。結果的に描写に恵まれなかった戦士はいろいろいるけど、前の記事に書いたようにスタッフさんから意図的にいろいろしわ寄せされた挙げ句に終了した今もって。

それが宇都宮戦隊で香村脚本だというのが本当に残念で、こんなの違うと個人的に受け入れ難くて。自分の勝手な思い込みの押し付けで申し訳ないけど。

戦隊というヒーロー番組において、何が主題で誰が主人公でも、死者蘇生なんて重く倫理的にも賛否分かれる願いは本編中で解決して欲しかったし、今もして欲しいと思う。

というかもう個人的には、ノエルの願いは叶っても叶わなくても受け入れるけれど、ノエルを前の記事や上で書いたような不幸で心なく思える構造、テコ入れの調整弁からもVSの舞台装置からも解放して欲しい。もちろん、きちんとキャラクターとして配慮されたルパパト単体のドラマで。

ただでさえコロナや売上的に戦隊撮影が厳しい状況の中、香村さんがメインライターのゼンカイジャーが始まる直前に、そっちも頑張って欲しいのにこんな記事上げるの心苦しいけど、なんとかノエルの今の在り方について、再考をお願いします。

ルパパト: 改めて続編希望~「ありがとう」が聞きたくて~(超ネガ長文)

ルパパトの最終回放送から2年が経ち、リュウソウジャーVSルパパトの公開からも1年が過ぎた。

それだけ時間が過ぎても、私は相変わらずルパパトの続編、ノエルのスピンオフを願っていて、核として描いて欲しい物も以下の3つで変わっていない。

 

①テコ入れでしわ寄せを食いまくった警察官ノエルの名誉回復

②ノエルが実はルパン家の者であり、でも平和を望む心から警察に協力しビークルを「本心から」送付したとパトレンが知る展開

③ノエルの願いの結末

 

このうち③については、去年の9月に↓でその思いを吐き出した。

 

ルパパト: 改めて続編希望~ノエルの願いに望むこと~

https://kiuix.hatenablog.com/entry/2020/09/28/223952

 

①②についても書こうと思いながらも、最終回から2年もたって今更では?という気持ちになったり、コロナで後続のリュウソウジャーやキラメイジャーがいろんなしわ寄せを受けているのに、そういう被害とは無関係のルパパトをというのは気が引ける部分もあったりして、ぐずぐず時間ばかり経っていた。

でも、③が叶うには①②も必要なのかもという考えもこの2年で強くなったし、心配していた劇場版もキラメイジャーVSリュウソウジャーも製作され、そしてキラメイジャーの最終回を見た今は、やっぱりこのブログに書き残しておきたいと思う。

ただし、これまで以上にルパパトという作品に対してキツくなってしまっていると思うので、そういうの苦手な人はやめた方がいいかも。また、前のこの手の記事から時間が経っているせいで以前書いたことと重なる部分も多いと思うけど、容赦を。

 

■「トリプルレッドが出会ったら」

③が叶うには①②も必要なのかも、と思った理由について書く前に、少しだけこの「リュウソウジャーVSルパパト」のムック本について触れたい。昨年、発売後何ヶ月も経ってから買って読んだ。詳しくは書かないけど総じて充実した良い内容だったな、と思う。

脚本の香村さん、荒川さん、渡辺監督の座談会が特に読み応えあった。その中で編集部の方が「ノエルの願いはまだ叶っていないのでまだ先を描くためにテーマが残されていますが、これって次のために残してあるんですか?」と聞いて下さったのが、嬉しかったな。

けど直後に「いえ別に」ときっぱり(涙)。

このくだりはその後に「何か進展させるときは、少なくとも単独作品でやるべきですよね。別の世界のものと融合させてやることではないですよ、基本的に」と続いている。ちょっと繋がりが唐突に思えるので、何かカットされた部分があるのかもしれない。それに「少なくとも単独作品で」という想いは私も同じだ。・・・そうは思っても、「いえ、別に」は正直キツい(汗)。

そんで、続きを書くつもりがないのなら同じ座談会で「ノエルがリュウソウジャーの諦めない姿勢に元気づけられる話になればいいと思った」と仰ったのはなぜなんだろう?と考えてしまう。

ノエルの気持ちに寄り添って下さっているようではあるけれど、穿った悪い見方をしてしまうと

「これからもVS続行はまだまだ続くとファンに思ってほしいから、頑張ってずっと死者蘇生という願いを叶わないまま持ち続けていてほしい」

という意味にも取れてしまう自分が嫌だ。

リュウソウジャーVSルパパト」という作品自体は、ノエルは本編のどの回よりもキャラクターとしてきちんと心情を掘り下げ好意的に扱って貰えていたと思うし、リュウソウジャーがもっと前に出ても良かったのにノエルへのスポットのせいで割を食ってしまったのでは?と、心苦しいくらいなんだけど。

もしかして本当は水面下でノエルの件を何か考えて下さってる(けれどコロナ等で上手くいかない)のなら大変申し訳ないけど、対外的な言動からはそれは全く見えなくて、スタッフさんをどこまで信じていいのかわからなくなっているのが辛い。

そんで関係者の方が「綺麗に終わった」「やりきった」「大満足」などとあの終わり方を肯定すればするほど、続編を否定すればするほど「ノエルは舞台装置だから決着は不要」と、キャラクターとしては否定されてしまっている気がして、正直そのたびに苦痛。

 

■不幸な構造

もっとも、今回はここまでブログで言うの迷ったんだけど、ファンの集まる某掲示板では続編の話題になった時に、ノエルは「気がして」というレベルではなくもっとハッキリと否定されていたこともあった。

この2年間、ノエルの願いを叶えて欲しい、ルパンコレクションを集めた決着を見たいという声が上がった時、「いや、あのVS続行endのままでいい」という人からの反論の中には

「ノエルは舞台装置なんだからあんな扱いでも仕方ない」「感情移入出来ないし」「親は生き返らせてまで取り戻すもんじゃない」「死者蘇生は嫌だな」「自業自得」「ノエルの願いなんて正直どうでもよくね?」

と、願いの正当性やそれまでの行いやキャラクターであることそのものなど、ノエルの何かを否定しているものもあった。つい昨年、「リュウソウジャーVSルパパト」が終わってから目にしたものもある。私はそのたびにやりきれない思いでいた。

あのendでいい、続編は要らないと主張されるたびに、同時にノエルの何かが否定されてしまうかのような構造が、私にはとても不幸で、心ないものに感じられてしまう。

なぜノエルは快盗のように願いを叶えることも、他戦隊の戦士たちのように大事な人の死を乗り越えることも許されずに、死者蘇生という倫理的に賛否分かれる願いを感情移入出来るエピソードも不足なまま背負わされ、関係者からもファンの一定数からもそんな風に現在進行形で否定されなければならないのかなって。

この先も最終回での東映公式の言葉のように、人々の記憶からルパパトが消えるまでVSが続くとするなら、ノエルのこの状態もその間ずっと続くの?それがパパトという番組で、その状態をこれからも受け入れ応援し続けるのが正しいルパパトファンのあり方なのかなって。

 

・・・ごめん、別にノエルファンじゃなくたって、今もノエルが報われるよう願って下さってるルパパトファンの方たちの存在も、私は知ってる(涙)。それを考えると、ホント心苦しいんだけど、ついそんな風に過剰反応したくなってしまうんだよね。

 

■否定を否定しきれない

なおノエルの本編での扱われ方を見れば、上記の否定的な言葉を私は否定しきれない。死者蘇生の是非はもちろんのこと、それ以外の言葉についても。

誰もが私とかみたいに一生懸命ノエルの言動の重箱の隅をつつき行間をあれこれ考えて好意的に解釈してたわけじゃないし、私だって別の作品で別のキャラに同じような事を思わない自信なんてないから。

だって、思えばテコ入れが始まって以降ノエルの描かれ方は、しつこくて申し訳ないけど

 

・「快盗も警察も両方大事」と言った後に、ノエルの警察への思いや貢献は隠され情報漏洩等不信に繋がる行動は描いた結果、「実際には言行不一致の快盗贔屓じゃね?」という見せ方になり、快盗仲間からも「快盗の利益を優先しすぎ」とその見方を補強され、更にはビークル不均等の戦犯にされたも同然だった

(公式完全読本によれば「警察がノエルを終盤まで信用しきらないように」という方針があり、恐らくその描写を成立させかつ信用しない警察の好感度を守るため)

 

・パワーアップ回は邪魔しようとした警察に逆に助けられる良いとこなしの上に、「人間だから助ける」という人間でさえあれば悪人でも犯罪者でも通用する言葉を投げつけられて、なのに感激していた (テコ入れで強化がなくなったパトレンの方をいかに格好良く見せるかに全振りしたため)

 

・結果的に終盤のピンチやトラブルの発生元を1人に集約しその挽回のための戦いから必要に応じて外すためだけに急遽「千年前に異世界から来た種族」という微妙すぎる「人外」にされ、隠す必要も人間扱いされただけで喜んだ背景の描写も皆無のまま隠していたずらに事態を悪化させ、その後もフォローはなく逆にドクラニオに「人間と見分けがつかんな」とダメ押しされた (これを笑っている人を見かけた時は辛かった)

 

・共闘のために仲良くさせたことは苦労や貢献にはスポットをあてずデメリットは強調して誰からも労われずに胸倉掴まれて終わり、つかさはフォロー出来る材料を持っていたのにしない代わりに隠し事を謝ることで、「隠し事ならノエルの方がしていたのに」と余計にノエルへの反感を募らせる結果になったように見えた (あの時に目にした激しいノエルへの罵倒の数々は今もトラウマでアレルギー化している)

 

と、「あれもノエルが悪い、これもノエルのせい」の連続になってしまって、それを挽回するフォローは私の目には不十分すぎた。

番組全体を通しても両戦隊に属するから出番が多いようで実は、謎を引っ張り素直な心情や過去を掘り下げた単独メイン回もないまま、活躍や貢献よりもマイナス点を強調されている。そして終盤にやっとそこにフォーカスしてもらえるかと思った正体バレのくだりは、上記の通り。

 

■迂闊に好意的に描けない?

他メンバーとの兼ね合いを考えれば仕方ない部分もあるんだろう。

けど、今思うとノエルは、番組のコンセプトである「VS」には逆らうけれど戦力面では正解となる「2戦隊の共闘」という行動原理を持つ存在でもあった。

ただでさえ取り扱い注意でしかも途中からはテコ入れのためバランス取りが危うくなった「VS」を維持し肯定的に受け止めさせるためには、そんなノエルを安易に正しくも同情的にも描けない面もあった、ということなんだろうか?

そしてそのことが結果的に感情移入出来ないファンを生んで、今もノエルの何かを否定することに繋がってしまい、でもその否定をこのVS続行endを支持する根拠の1つにしている人も一定数いる、という残酷な構造になっているんだろうか。

もしそうだとしても作品全体を瓦解させるよりは、ノエル1人にしわ寄せを集中させて他のメンバーやVS構造を綺麗に守り着地させたこのやり方が、正解だったんだろうか。ギャラクシー賞も獲ったことなどを思えば。ルパパトはVSが主題で魁利が主人公なんだから。

そんな考えも頭をよぎる。

 

■宝路と比べてしまう

でもノエルだって追加戦士、スーパー戦隊の戦士で、ヒーローだったのに、とやっぱり思ってしまう。

またキラメイジャーの話になってしまうけど、私は物語の根幹からやって来て「宝探し」をするというノエルと設定がやや重なる宝路の劇中での扱いが羨ましい。

以前書いた死者蘇生へのスタンスもだけど、同じかそれ以上に羨ましかったのは、本人には「お宝第一」と言わせて実は人助けがしたい、という好感度の上げ方だった。とてもいいな、と感心しながらふと、それとは逆に「快盗(お宝)も警察(人助け)も大事」と言った後に上記のような見せ方になってしまったノエルの立場と好感度は?と辛くなってしまって。

加えて宝路は次々に初期メンバーと熱い本心をぶつけ合い関係性を構築し「宝路さんみたいに頼れる人」という評価も得ている。

そう言えばノエルは博多南兄弟の役割を1人で担っているようなものだけど、追加戦士としてもエンジニアとしてもどうしてこんなにも見せ方に差がついてしまったんだろう。エンジニアとしては活躍よりもビークルの不均等の責任の方が目立つ形になってしまったし。

でもサイレンは最終回、スプラッシュは「リュウソウジャーVSルパパト」でパトレンの手に戻り、テコ入れによるビークルの歪みは元に戻った。配慮されたんだな、と思う。では、同じくネジ曲げられた警察官ノエルの名誉回復は?

 

■せめてビークル提供の真意を

そう思うと、やっぱりこれはノエルからルパパトという番組への大きな貸しだからちゃんと返して貰おう、という気持ちも改めて強くなる。せめてグッティやビークルが戦力部隊に届けられたのはノエルの本心からだと、今からでも明かして欲しい。

ルパパトファンの中にもビークル送付はノエルの本意じゃないと言う人が未だに多い事、特にノエルを嫌う人にそういう人が多いように見えた事が悲しいよ。

ノエルは「平和を望むけど警察は変身させない、変身出来ない警察と快盗を共闘させたい」と考えていた愚か者と見られてるってことなの?

そうじゃなく、ノエルがルパン家の人間で、だけど家の方針に逆らってもその結果自分が使えなくなっても、平和の為に警察がギャングラーと戦えるようコレクションを改造して送ったんだと、きちんと続編で明かして欲しい。つかさが心の中で思っただけの描写しかないのは私には不十分すぎる。

 

特にパトレンのビークル獲得を邪魔したと描かれ、テコ入れによるビークル偏りの物語上の責任を押し付けられてしまったことは本当に無念。

だけど、そんな断腸の思いで改造したクレーンを、国際警察が内通者を許したことでどこかの段階で奪われ、ならばと直々に手渡したヘリとバイクも奪われたことを聞いた時のノエルの、国際警察という組織への激しい落胆を当たり前にきちんと描写してくれれば、装備を本心から送った事と矛盾はしないと思う。

 

■「ありがとう」が聞きたくて

そしてそんなノエルの思いと貢献を圭一郎達が知る場面をしっかり描いて欲しい。

私は、もっときちんと信頼を深め合うノエルとパトレンの姿が見たかったのもあるけれど、それ以前に、ノエルがパトレンに対して貢献し活躍する姿をもっとはっきり描写し、それをパトレンに認められる場面が見たかった。

極論すれば一度でいいから、圭一郎がノエルに感謝する場面が見たかったんだ。というか今でも見たい。「ありがとう」の言葉が聞きたいよ。本編ではその逆でノエルが感謝するばかりだったから。

そんな他の戦隊なら当たり前な描写すらなかったから、「快盗贔屓で警察には役立たず、助けらかれてばかり」「圭一郎たちのお情けで戦力部隊の部屋にいさせてやってる」みたいな感想を持つ人が出たり、ノエルの続編に否定的だったり、そこまで行かなくてもノエルの今この状態に特に関心を持てない人が少なからずいるのかも、と思ってしまうから尚更。

私が冒頭で③を叶えるには①②も必要なのかな?この3つはワンセットなのかな、と思ってしまうのはそういう理由。

 

■前を向けないのは

終了して2年も経つ番組のことを、いい大人がまだここまでぐだぐだ言うのかとドン引きされても仕方ないね。

でもノエルは最終回で「お前はVS続行の為に永遠に死者に取り憑かれてろ」と放置され、ずっと過去に囚われていろと言われたも同然じゃないかな?とも思う。ならばいちファンの私もそんなノエルに取り憑かれ前に、進めないのはやむを得ないのでは?と言い訳したくなる。ちなみに私は未だに終盤が辛くてブルーレイを買っても本編を見返せていない。どんだけ引きずってるんだよと(笑)。

長くなってしまって(汗)、最初はここで〆ようかなとも思っていたけど、キラメイジャー最終回と絡めて少し別記事として追記させて欲しい。

 

ルパパト:改めて続編希望(追記)キラメイジャー最終回に寄せて(こっちもネガ)

https://kiuix.hatenablog.com/entry/2021/03/05/222216