ルパパト: 圭一郎達へのビークル送付がノエルの意志なら~グッティとノエルの心境を再考察~
日本支部にビークルが送られたのは、本当にノエルの言う通り「痛恨のミステイク」なのか。
私は本編放送中からこの真偽に凄く拘っていて、過去の記事でも
ルパパト: ノエルは警察のために何をしたのか
https://kiuix.hatenablog.com/entry/2019/04/06/162842
等で考察した通り、あれはノエルの本心からの行為だったと考えている。
これまではその事自体に目が行っていたんだけど、もしノエルの本心だったら、という前提で見返すと、ノエルとグッティについてこれまでと違う見方が出来る部分があるかなと思うので、今回はそれに触れてみたい。
■18話のブランコに乗ってるグッティ
警察への協力を魁利に責められてジュレを飛び出し、ジェット噴射しながらしょんぼりブランコを漕ぐグッティ。
リアルタイムで見てた時は単に、アルセーヌとの約束があるのにグッと来たら警察を助けてしまう自分の矛盾に悩んでるんだと思った。実際、劇中で魁利も、グッティをフォローしたコグレも、そういう認識という描写だったと思う。
でももし、グッティが日本に送られたのは2話後に登場するノエルの意志だったら、って考えると
「ホントにこれでいいんだよな、ノエルぅ?」
っていう、不安、心細さ、迷いにも見えてきたんだよね。
戦闘中にぶらっと参上して快盗と警察どっちにつくか気ままに選ぶのも、実は演技も入ってたかも。
だってノエルが来てからはずっと、彼が望む方を迷う事なく素直に助けてたから。
そう言えば以前、50話の時にこんな場面を妄想した事がある。
「え~おいらこんな窮屈なケースの中でじっとしてるのかノエル?」
「日本に着くまで我慢してくれるかいグッドストライカー?」
「仕方ないなあ」
「日本では快盗だけでなく警察も助けて欲しいんだ」
「何で?コレクション取り戻す快盗の手伝いするんじゃないのか?」
「僕達はコレクションを集めて大事な人を取り戻せたとしても、ギャングラーがいる限りまた同じような事が起こる。大事な人を失う悲劇が。だから倒して平和な未来を作らなきゃいけないんだ。でも、快盗やコグレさんにはVSビークルは手違いで国際警察に渡った事にする。2人だけの秘密だ」
「分かったおいらに任せろ。でもどっちに味方するかはおいらの気分で、グッと来た方に決めるからな?」
「うん、それでいいよ」
「でもさあギャングラーの中にも強い奴はいるんだろ?アルセーヌがやられたんだぞ」
「そうだね」
「勝てなかったら死んじゃうぞ」
「だから快盗と警察で一緒に力を合わせるんだ
そのために僕も日本に行って快盗にも警察にもなる。僕が仲立ちして二つを繋ぐんだ」
「そんな事出来るのか?」
「出来る出来ないじゃない、やらなければいけないんだ」
「どっちにも仲良くして貰えないんじゃないか?」
「そうだね。でも大事な人も平和も両方なんて本当に欲張りなんだと思う。この上僕も仲良くして欲しいなんて流石に虫が良すぎるよ」
「大丈夫かあ?ノエルは寂しがりなのに」
「君がいるからね」
「おう、おいらはいつだってノエルの味方さ」
「メルシー」
グッティやビークルを日本に送ったのがノエルの本心からなら、彼と彼に梱包されるのを許したグッティは、例えばこんな風に両戦隊を助けようと2人だけで誓い合ったんじゃないかな?って。
だけどいざ一人だけ先に来たグッティには、時には快盗から「何してくれてんの」「今すぐこの場で解体してやろうか」みたいに警察への協力を責められたり「後でヤスリで磨いてやる」「疲れてんだ。あっち行け」みたいに邪険にされたり、警察に協力したらしたで生き別れだったシザーを攻撃されたりと、上手くいかない事も多く不安や辛さも積み重なってたんじゃないかな。
それもあって余計にノエルの合流が嬉しかったかもって、再会した時のちょっと泣きそうなくらいの懐きっぷりを見て思う。
そういう視点だと、グッティがコグレを恐れてた理由はもしかして、コグレに捕まったり監視されたりする事で、快盗だけでなく警察も助けるというノエルとの約束が果たせなくなるかもしれないから?って気もする。
コグレはグッティが快盗を手伝う事には異存がなかったみたいで、8話では正体がバレそうになった快盗のピンチを救う為に間接的に連携プレーを見せているし。
ただ、グッティはノエルに言われたからだけじゃなくて、本心から警察も助けたかったんじゃないかとは思うけど。
だって、15話で毒に倒れ重症の圭一郎が病院を抜け出して仲間の元にたどり着くまでのたぶん相当長い距離を、ずっと彼の杖になって支え続けていたんだろうから。
■ノエルの国際警察への視線
日本支部にビークルを託したのがノエルの意志だったのなら、それを前提にフランス本部時代からの彼の国際警察に対する見方も、ある程度考察してみたい。
23話で、壊れたビークルを修理するから自分に渡せというノエルに対し、透真は「願いのかかった大事な物を他人には渡せない」と最初は拒んだ。その気持ちはノエルにはたぶん痛いほど分かったんじゃないかな。自分にはいつか来た道で、痛い目にもあったから。
願いのかかった大事なコレクションを、もう一つの願いの為とは言え面識もない戦力部隊に3回託そうとして2回敵に奪われたことになるんだよね。
クレーンがどのタイミングで奪われたかは不明だけど、ノエルには相当なショックだったはず。
それでもノエルは、ならばと今度は管理官に直接ヘリとバイクを手渡した。ところがそれもギャングラーと快盗に奪われた。
人間が使えるように改造したら、人間ではない自分には使えなくなる。
それでも平和のためにと改造し、断腸の思いで見ず知らずの他人に託した大事な大事なコレクションを2度も奪われたら、私ならもうこれ以上、内通者の暗躍を許す警察にビークルは渡せないと思うかもしれない。
また社会的信用の為に、どんなに苦戦していても快盗との共闘は一切考えず、その癖ノエルの装備開発以外に有効な対策もないままの国際警察上層部は、ノエルには、平和や戦力部隊の隊員達の命より世間体を重視する組織に見えて苛立っていた可能性もあると思う。
捜査に行き詰まっていた料理講師失踪事件を圭一郎達に相談する事無く快盗と協力して解決して見せたのは、そんな警察の限界を突き付けたい気持ちもあるのでは?と思ったりして。
快盗にスカウトされた一般人も心配だけどそんな警察の事も心配だし、快盗と警察でビークルを奪い合ったなんて知ったら、「何やってんの」って焦ったかもね。争っている場合じゃない。力を合わせなければステイタスゴールドのような強敵を従えドグラニオがボスに君臨するギャングラーに、いずれ全滅させられかねないのに。
だから自分が日本に行き快盗と警察の仲立ちをして、警察にはビークルを渡さない代わりに快盗を強化して時には手助けさせられないかって思ったかもしれない。
登場して暫くのノエルには「遅れないでよ」みたいな警察の実力への不信がチラ見えしたりするけど、根底にそんな失望や苛立ちの積み重ねがあるとすれば、個人的には納得だな。
そしてそんなノエルが、終盤は警察を大事な仲間と思い命をかけて守り、死を覚悟した時には圭一郎達に大事なコレクションを託すまでになったって考えると、より感慨深い物語にも思えてくる。
■最後はやっぱりノエルのスピンオフ希望
もちろん、本編で警察を強化出来なかったのはテコ入れという大人の事情によるものだけど、物語の中ではノエルの快盗贔屓のせいとして見なされやすく不満の矛先が向かいやすくなってしまった、という事は以前も書いた。
でも、フランス本部時代は平和も望み警察が戦えるようグッティやビークルを日本支部に送りながら、日本支部に来てからはそれをしなかった理由は、例えばこんな形である程度ノエルの事情も理解して貰えるように物語に落とし込む事は出来なかったのかな?と、彼の名誉の為に思う。あと以前も書いたようにコグレや快盗達の手前大っぴらに警察を強化出来ないってのもあるしね。
そして、本編はもう終わってしまったけれど、快盗贔屓と見る人が今でもいるノエルの、「警察への貢献や、警察に属し協力した事で感じた可能性の高い失望や苛立ちといった心の動き」を、今からでもスピンオフできちんと見せて貰いたいとやっぱり思わずにいられない。
それはパトレンジャー誕生の背景という、ルパパトの物語を構成する凄く重要なピースでもあるはずだから。
2019/5/18追記
「(内通者の暗躍を許す国際警察に大事なコレクションを提供して2度も奪われるなんて)痛恨のミステイクだ」
って意味ならノエルは嘘をついてないことになるし、文字通り「痛」でも「恨」でもあったかもしれない。
国際警察にとってVSビークルは平和を守るための大事な道具だけど、怪人撃破や人々を守る為なら失っても良い物で、警察の優先順位としてそれはとても正しいけれど、恐らく断腸の思いで提供したノエルにとっては悲しい事でもあると思う。
そんなノエルの思いは彼がルパン家の者だと知らない限り警察には伝わらないままで、私はそれが歯痒い。
リュウソウジャー5話6話: だんだん感想が難しくなってきた
2話まとめて。
動物の命、地震、マスターの敵、双子、とかなんかいろんな事が唐突で迂闊に考察とか出来なくなって来てだんだん書く事が難しくなってる感じ。
トワ君が早苗ちゃんといきなり仲良くなってるのは、「名刺交換しているサラリーマン」ていう語彙とシルエットを知ってるトワくんの日常生活を考えたら、ありかなと思う。
でも早苗が急に「黒い犬や猫はインスタ映えしないから捨てる人がいる。命をなんだと思っているのか」って急に重苦しく言い出してびっくり。インスタやらないけど本当にそんな人いるの?って。可愛いと思うけどなあ。真っ黒な犬や猫って。
早苗は2話またぎのゲストだけど、その後宿主としてずっと意識不明のままで、回復後に登場しないまま終わった。そもそもどういう関係なのかもふわっとしたまま。命云々言わせ、トワくんに宿主は殺すべしという自分の今迄を否定させるためだけの舞台装置なの?って言いたくなる。私こういうキャラの使われ方苦手なのかも。
マイナソーが成長していく間ずっと意識ないままで最後もこうなら、無理に宿主出さなくても良いんじゃないかな。宿主のマイナソーの原因になる感情の描写もメインキャラとの交流も中途半端になりがちな感じだし。
その分今はまだメイン5人の掘り下げやってい欲しい。特にメルトとアスナ。バンバとトワの兄弟も、どんな過去があるのかとか気になっていて、てっきりこの前後編特に6話でやるのかなと思ったけどやらなかった。
なぜそうなったかを見せないまま宿主を殺す云々を繰り返すのはもうバンバにあまり良くない印象を積み重ねるだけな気がするからもうやめないかなって思う。せっかく面白くなりそうなキャラなのに。
タンクジョーは幹部扱いかと思ったらいきなり押されてそれを地震パワーで逆転して、いきなりでも5話でやっとマスターの敵って言われて、倒されたと思ったら倒されてなくて、今回やっぱり倒されと思ったらまだで、最後にやっと倒された。まだ6話なんでもう、なのか。せっかくマスターの敵なんだしちょっと勿体ない気がする。
今回は敵アジトみたいなのないのかな?予算大変なんだろうか。組織?の全体像が見えなくてスケール感とかよくわからないまま。
地獄の番犬は双子でしたってのも、なんかそっちに行くの?じゃあタンクジョーも双子とかって話にはならないの?とかごちゃごちゃしてきて混乱した。
なんか、Pも脚本の人もメイン監督も全員戦隊は初めてってのがプラスの方向に行ってなさそうだなってのは感じる。
メンバーはみんな基本的には感じが良いしバンバも今回仲間に加わっちゃってワチャワチャモードに突入しちゃった方が私は見やすいかな?
あと、今後神出鬼没コスプレキャラ化しそうな長老がこの兄弟にどう接するかは気になる。
ルパパトキュウ公開に思う: ジュウオウVニンニンの不運とかみっちゃん参戦とかノエルさんとか
「ルパンレンジャーvsパトレンジャーvsキュウレンジャー」
タイトル長い。長すぎる。
そりゃあせめて「〇〇戦隊」は省きたくなるよな~としみじみ。
去年はキュウレンvsスペーススクワット。前年のジュウオウジャーとでは無く、毎年やってた戦隊vsが途切れ、その理由はいろいろ取り沙汰されてたんだけど、今年あっさり復活。劇場版ではなくVシネだけど。
■大雪が直撃したジュウオウvsニンニン
劇場版は他の映画の穴埋めでその時期に当初Vシネとして制作されたゴーオンvsゲキレンを公開したからってのもあるかもだけど、1月中旬~下旬に公開するのは実はリスクがあったんだよね。それに運悪く直面しちゃったのがジュウオウジャーvsニンニンジャー。
あの年は公開日から丸々2週間、大事な土日が公開日含む3回、全国各地で記録的な大雪に見舞われて、同時期公開の映画全般の動員に影響が出たのを覚えてる。
地域によっては「保育園が休園になる積雪量」ってニュースに言われていた。ジュウオウvsニンニンの場合はメインターゲットが3~5歳の幼児。ただでさえすぐ熱出す事も多い。それなのに、下手するとその背丈より高く積もり保育園に連れていくのも危険だと諦めざるを得ないような雪の中、映画というレジャーに連れ出そうと考える親がどれだけいただろうか。
公開時期も短く料金も安く超初動型のvsは、雪の影響がなくなった頃には上映回数が激減していて、雪で削られた興収を取り戻す事は出来なかったと思う。もしその事がvs特に劇場版のあり方を考え直す一因になったんだとしたら、仕方ないけど残念だと思ってる。
今回劇場版公開してたらきっとたくさん入ったろうなと思うから。
■円盤好調=劇場版好調だと思うのに
VS劇場版の興収→1位ゴーカイvsギャバン、2位シンケンvsゴーオン
円盤が売れてる戦隊はその年のvs映画もヒットしてるように見えるんだよね。
円盤とvs劇場版で順位が逆転してるけど、シンケンゴーオンは他の映画の穴埋めで始まった前作の思わぬヒットを受け初めて正式に劇場版として制作され、そのせいなのか上映館数が翌年以降より凄く少なかった。なのに2位。というか、シンケンゴーオンの大ヒットを受けて翌年から上映規模が拡大したんだと思う。
ルパパトは円盤の売上が2月時点で「歴代売上2位の海賊どもの背中は捕らえて後は侍のみ」と言われるほど。FLTの動員記録も塗り替える勢いらしいけど、記録を持ってるのがシンケンジャー。
やっぱり円盤売上と動員力は連動してるんじゃないかな?。
だからシンケンにも迫っていそうなルパパトの動員力を考えるとルパパトキュウがVシネなのが勿体なくて仕方ない。
ルパパトにはEDダンスが無かった事もあるけど、キュータマダンス映像の告知やケボーンダンスに登場との告知のツイートが大反響なのを見ると余計に、大きなスクリーンで見たい人やリピーターもさぞ多いだろうにと歯痒く思う。せめて応援上映増やして欲しい。
■みっちゃんお帰りからの妄想
4/16の舞台挨拶にジュウオウジャーの追加戦士みっちゃんが登場して、ルパパトキュウに登場する事がわかった。
お帰りなさい、みっちゃん。
これも「スーパー戦隊最強バトル」の主役ポジションに大和を持ってきたことに続く、昨年「キュウレンvsジュウオウ」が無かった事への埋め合わせかな?ってどうしても思ってしまう。理由はいろいろ取り沙汰されてたけど、翌年こうして戦隊と戦隊とのvsが復活してるのを見ると、やっぱりジュウオウだけ無いことが悔しいもんなあ。大和とみっちゃんの人間組だけでなくジューマン組もやっぱり見たかったよと思うし。
登場シーンはかなりはっちゃけていそうだから楽しみだな。最終回以降、サイジューマンの彼女が出来たりしてかなり精神的に成長してるはずだけど、それでも代名詞の体育座りは見てみたい(笑)
なおこの参戦で私の中でルパパトのぬいぐるみの作者はみっちゃんになった(笑)。
以下時系列は公開順での妄想↓
大和「圭一郎君、今度俺の仲間がそちらにお邪魔するんだ。それでお土産何が良いかなって。いやそんな必要無いって言ったんだけど絶対持ってくって聞かなくて。変な物持ってっても迷惑だろうし、お願いだから教えてくれないかな?何か好きな物とかある?」
圭一郎「お気遣い頂きまして恐縮です。スーパー戦隊の先輩の方々は本当に人格的にも素晴らしい方々ばかりですね!」
大和「ええっ?(あ、そう言えば彼は生真面目チームだった・・・・)いや、ちょっと変わってるけど良い奴だから、よろしくね・・・・」
圭一郎「はい!先輩のお仲間でしたらもう。楽しみにしております!」
後日国際警察オフィスにて
みっちゃん「お近づきの印です。どうぞ!」
つかさ「私達のぬいぐるみ!可愛い~」
みっちゃん「一針一針思いを込めた!」
つかさ「えっ手作り?」
みっちゃん「それから和菓子が好きと聞いたのでこれを!」
圭一郎「羊羹ですか。好物です。お気遣い頂きありがとうございます」
みっちゃん「心を込めて作った。食べてくれ」
圭一郎「えっ?これも手作り・・・?」
咲也「(満面の笑み)凄いじゃないですか!ありがとうございます!」
ノエル「ボンジュール初めまして、僕も追加戦士なんだ。よろしくね」
みっちゃん「え?ってことは俺が、追加戦士の先輩?(感無量)・・・そうかあ、君も出来上がってるチームに入るのは大変だったろう?受け入れて貰えるか不安だったり時にはぶつかったりして少しずつ仲間になって」
ノエル「・・・ウィ!そうだね」
操「そうだ釣りは好きか?」
ノエル「はい~?」
操「釣りは良いぞう心が無になる!今から行こう!俺が教えてやるから!」
ノエル「(引きずられて)お~ららぁ~」
圭咲つ「・・・・・・・(呆然と見送る)」
この後満更でもなく海辺に拉致られるノエルさん
まで妄想した。
ちなみに圭一郎が大和に伝えたのは和菓子好きって事だけで、ぬいぐるみはみっちゃんが勝手に自分に課したミッションとして作ってきたという設定。圭一郎が、いくらつかさが好きだからって、ぬいぐるみをお土産に求めたりしないと思うから。その辺りは常識人だと思う。
みっちゃんとノエルって劇中では会うのかな?どっちも香村戦隊の追加戦士だけど、ドラマ内での扱われ方や初期メンバーからの扱われ方はいろいろ対照的だと思う。いつか別の機会に改めてこの2人について考えてみたいな。
■ノエルさん
キュウレンチームは実は地球の人間じゃないメンバーの方が多い中で、ノエルさんの「人間ではない」という秘密やコンプレックスがどう扱われるのか、そもそも扱われるのか?って懸念はある。
ただでさえ史上最多人数でメインメンバーでもなさそうだから、そんな事に割いてる尺があるのか?ないだろな、とも思うけどね。
ただノエルの人外設定って本編終盤であそこまでピンチ&トラブルに使われた重要事項でもあったと思うと、その為だけの設定だったとしても何も無かったらそれはそれで釈然としないかもと思ったりして。
でもその一方で、お祭りなんだからノエルさんには例えばクリスマス回みたいにひたすらわちゃわちゃ楽しんでいて欲しい気持ちもあって複雑。本編終盤が辛かったから余計に明るい姿がもう一度見たい気持ちもある。
予告で執事姿を披露してたし、コグレさんとのコントがあるらしいのは嬉しい。本編では長く仲悪かったし、基本的にはシリアスな場面が多かったからなあ。
そう言えば脚本の荒川さんは19話を最後にルパパトを離脱しているから、ノエルを描くのは初めてなんだな。そこも楽しみ。
リュウソウジャー4話(5話から修正): バンバとトワの過去は気になる
※タイトルの話数が誤っていたので修正しました。×5話→〇4話です。すみません。
前回、上から目線&マイナソーの宿主殺害主張のコンボで好感度が心配されたトワくんだけど、今回は切り紙勝負やジャンケンで一気に可愛くなってほっとした。それにしても、
「名刺交換するサラリーマン」
という語彙と画像を把握出来てるトワとバンバの兄弟がどこでどういう生活送ってるのか気になる。
都内オフィス街のどこかに野宿から1DKアパートテレビ付きまで妄想出来るけど、案外普通に人里離れた野山に暮らしながら、トワがあの脚力で街をいろいろほっつき歩いて見聞きしてるのもありかなと。子供っぽい分、好奇心旺盛でいろんな所に臆せずちょろちょろ入り込みそうな感じで、で、慎重そうなバンバが目を光らせ、後を追っかけて引き戻すとかでも。
魁利と勝利の兄弟もそうだったけど、黒緑兄弟もかなりの年齢差がありそうなので、トワが小さい頃はバンバもああやって膝を落として目線を下げて遊んであげたりしていたから、マイナソーの言動の意味と正体がわかったのかな?兄弟の親の影見えないし親代わりだったとかかも?
「遊びたいなら遊んでやれ。家族より大切なものなどない」と宿主だった父親にいうバンバの言葉は、過去に何があってそういう事を言うに至ったのか気にはなる。
ただ、今のところ、ルパパトの時のように考察にのめり込もうという気持ちにはまだなれない。まだ、脚本の人がどこまでキャラ造形や設定や世界観を作りこんでるのか分かりにくい感じがするから。
でも中澤監督だったせいもあるのか、今までで一番見やすく可愛く面白かったと思う。
ルパパト: ダブルレッドの足の下 ~ノエルが人間ではないことの意味~(長文)
最初の兆候は、テレビマガジンのムック「VSコレクション」を見ている時だった。各話解説のページを読み進めていたら終盤に行くにつれ
ノエルが~優先しすぎたせいか
ノエルが焦ったせいで
ノエルは逃亡してしまう
ノエルが連れ去られ
ノエルを刻むと脅され
という記載の連続に、ムック本でもこんなに連発されるほど一人でピンチ&トラブルメイクさせられてたのか・・・と改めて突き付けられた気がして、頭がか~っとなった。
もともと終盤
「あれ?なんかここんとこノエルさん謝ってばっか?お礼言ってばっか?なんでそんなにノエルさんばかりが悪いことになってるんだっけ?何かしてもらってるばかりって事になってるんだっけ?」
って戸惑い、その事にだんだん疲れながら見てはいたけど、それでも出来るだけ良いように受け取ろうとしていた。いくらなんでも最終回までには、これまで彼が信じて突き進んで来た事が報われるだろうと思っていたから。
そしたらまさかのあのノエルの願いぶん投げっぷり。
唖然としたけど、その時になまじ気持ちを抑えようとしてたもんでその分、時間が経って今頃ダメダメになってる感じ。
まるで花粉症みたい。最終回直後はまだ大丈夫だったものが、その後に見聞きし考えた 「ノエルのせい」の体内蓄積量が限界値を突破しアレルギーを発症した、的な(笑)。
なんか四六時中、その事が頭を離れなくなってネガティブな感情がちょくちょく襲ってきて頭がかっかしたり気持ちが不安定になったり(汗)。いや参った。
■「ノエルのせい」の構成要素
こうなると我ながらどうしようもないので、どうせならがっつり向き合いアレルギーを構成する成分分析をする事にした。いい年して何やってんだ私(汗)。
ノエルのせい、ノエルが悪いとされる、または見られやすい形になっているのはざっくりこんな感じだろうか。
①ビークル不平等はノエルの快盗贔屓のせい
②デストラにビークルを奪われたのはノエルが焦ったせい
③人間じゃないのを黙ってたのはノエルが悪い
④快盗の正体がバレたのはノエルを盾にされたせい
⑤快盗の正体を知らないまま警察と仲良くさせて傷付けたのはノエルが悪い
⑥Gロッソ5弾:敵に操られて両戦隊を攻撃、真っ先に凍らされた
挙げてみると改めて多いなと思う。私はそこそこ戦隊を見てるけど、テコ入れというイレギュラーな事態による①やGロッソの⑥を除いても、こんなに一人だけにしかも終盤でピンチ&トラブルメーカーの損な役割が集中した戦士ってあまり記憶にない。これじゃ「ノエルやらかしまくり」と言われてしまうのも無理はないのかなと思ってしまった。
①と⑤については
ルパパト: ノエルは警察のために何をしたのか
https://kiuix.hatenablog.com/entry/2019/04/06/162842
でも書いた。
①はテコ入れによって、ノエルはエンジニアとしてビークルを警察に渡せなくなっただけでなく、警察がビークルを入手するのを2度も邪魔しようとする役回りを演じ、「快盗の利益を優先しすぎたんじゃないのか?」「コレクションを集めるのは絶対だからね」と台詞で快盗贔屓を補強され、共闘を望むのにそれとのジレンマや苦悩を一切口にする事を許されなかった結果、人によっては「装備の不平等はノエルの快盗贔屓のせい」等と見られ激しい批判を浴びた事。
⑤は仲良くさせる事で警察は快盗からしばしばピンチを助けられ、正体が分かった直後は辛くともその後の相互理解と協力がスムーズだったのに、そのあたりのノエルに対する好意的なフォローを敢えて抑えている節があり、こちらも浅はかだと激しい批判が少なからず見られた事。
■人外設定がピンチ&トラブルを呼びまくる
それ以外の②③④⑥については共通点がある。いずれもノエルが人間ではない事が大きく関わっている事なんだ。
②は、ゴーシュに双眼鏡のコレクションで体を見られた=人間ではないと知られた事で狼狽え、攻撃を焦ってサイレンストライカーを奪われ、それに動揺した魁利もビクトリーストライカーを奪われて、この二つを入手したデストラに大苦戦する事になるという展開。
③ではノエルが人間ではない事をゴーシュから告げられて、快盗達が疑心暗鬼になりノエルに銃口を向け、ノエルが正体を明かし謝るがその時は受け入れられず居たたまれなくなって去る(後にコグレのフォローで和解)という展開。
④はゴーシュに完敗し、パトレン3人と街を守るため、自分が人間ではない希少種であることをアピールして自分を差しだしたところ公開処刑となり、助けに駆け付けた魁利達がノエルを盾にされて正体を全世界に晒してしまうという展開。
⑥は敵に捕らえれコレクションの力で、「人間が憎い。幼い自分に手を差しのべてくれる人間はいなかった」と人間に対して持っていた小さな憎しみを増幅され操られて仲間である両戦隊を攻撃するという展開だった。
■一番大事な時には参加できない
あとノエルの人外設定にはもう一つ使われ方があるように見える。
それは普段は対立する両戦隊が苦闘し力を合わせて局面を打開するクライマックスには、参加しないでギリギリまで見ているだけにとどめる理由づけ。
②はノエルが焦ったせいでコレクションを奪われ大ピンチになった。ヒーロー番組の常道ならその後に人一倍あがいて挽回して見せるところだと思う。
ところがコグレの叱責を受けて「無用の混乱を避けるため」前線に出るのを禁じられてしまう。
苦闘する両戦隊の絶体絶命の局面を打開するのはダブルレッド、ノエルはそのピークが終わった瞬間どさくさの火事場泥棒的に飛び込んでビークルを奪取し、遅れた事を詫びた。
25話のライモン戦と似ているけど違う。ライモン戦ではその前に体を張って金庫の暗証番号を読み取り、攻略につなげての負傷離脱だから面目は保っていた。
④では磔状態で、自分を助けるために苦闘する警察や全世界に正体をさらす怪盗を見ているしかなかったけど、その理由づけとして、人間ではないノエルを切り刻みたいというゴーシュの執着が使われた。
救出され開放された後も横ならびで必殺技を出し巨大戦ノルマをこなしていただけだ。マイナス面を払拭できるような活躍にはほど遠い。
⑥も操られたノエルを元に戻すため、またしてもダブルレッドが以心伝心で協力し局面を打開する。しかもノエルが操られてしまったコレクションの力に圭一郎は打ち勝つというかませ役扱いで、やはりそれを挽回するような活躍はさせて貰えていない。
■説得力や掘り下げ、フォローの不足
②から③の流れで、「ノエルが人間でないってどういうこと?」とワクワクしたけれど、蓋を開けてみれば、千年も前に異世界から逃げてきて今はもう外見的には人間と見分けが付かない種族、というだけ。人間とは別の姿を持っている訳でも何かハンディやリスクがある訳でもなく、差別迫害された過去があるかどうかもわからず、正直肩透かしだった。
直後に確かに人間離れした凄まじいパルクールが披露されて見応えはあったけれど、ノエルは開始当初からアクロバットを何度も見せているので、特に隠していた能力というわけでもない。
外見が人間と変わらなくても例えば魔法使いのように、改造前のコレクションを使ってしまいそれを見て快盗が警戒するとか、そういう場面もあった方が物語としてはまだ説得力があったのではと思うし、むしろコレクションを生み出し使っていた種族の末裔なのだからそういう描写が事前に必要だったのではと思うけど、最後までなかった。
快盗達はノエルに警戒と怒りを向けたけど、それは人間ではない事に怒ったのか、それとも隠していたことに怒ったのかその両方なのか中途半端だったと思う。そもそも不思議な力を持つコレクションを所蔵しているルパン家の者を普通の人間だと思ったのか?とかイマイチピンと来なかった。早めに打ち明けられていればすんなり受け入れてたのでは?とも思わせる余地もあったし。
なお劇中ではそんな快盗達の態度が正しいという扱いなんだろうな。謝るのはノエルだけ。快盗達のノエルへの態度が悪かったとしても、ピンチに格好良く助けに入り、ラストで誓いの仲間に加える事でチャラだし。初美花が謝ったけどそれは「全部聞いちゃった」からで、そんな事で謝れるなんて良い子だよねって見せ方。
人外設定はつかさの「なぜノエルは自分でビークルを使わないのか」という答えになったけれどそれは物語上何の意味もなかった。
「自分が使えなくなっても人間のために大事なコレクションを改造し提供した」とか、つかさが「言葉で」皆にアピールするような好意的なフォローもない。というか国際警察に人外と知られても物語としての影響は何一つなかった。
そう、国際警察の皆はそんな事で差別はしない。結局隠してたノエルが馬鹿みたい。
けど、そのせいでデストラ戦であれだけの大ピンチを招いたのかってなると、馬鹿みたいでは済まされないのかも。
これ、穿った見方バリバリで言わせて貰えれば、ノエルの人外設定は、たぶんあくまでVSという主題を凌駕するような共感や同情を生まない程度のものでなければダメ。
「これじゃノエルが隠すのも仕方ないよね」
と思うようなリアクションを初期メンバーにさせるのも好感度を考えればNG。
その結果「この程度なら別に気にしなくても隠さなくても良かったのに、変に気にし過ぎて隠す事で事態を悪化させただけ」っていう見え方になっちゃったのかもしれないなと思う。
ノエル役の俳優さんはキャラクターブックによれば38話時点で人外設定を伝えられてない。
シンケンジャーは44話で真の当主が登場するけど殿の役者さんは38話で影武者設定を伝えられていた。それを思うと、ノエルの人外設定はかなりの後付けではと思う。事前の伏線めいた掘り下げも描写の積み重ねも一切ないしね。
これらをまとめると、結局人外設定って、他のメンバーに極力落ち度のない形で都合良くピンチやトラブルを造り出し、必要に応じてノエルを戦線から離脱させるため「だけ」に急遽付加されたのではと思えてしまう。
人間でないことに悩む追加戦士というと、私はボウケンシルバー高丘映士を思い出す。人間ではない事の弊害や葛藤、苦悩に丸々2話使った。
そこまでいかなくても、こんなにもピンチ&トラブルメイクに使いまわし、失態を挽回するための戦闘参加すら自粛させるほどの要因にするなら、もっと説得力あるようきちんと描いてほしかった。
主題はVSであり主人公はダブルレッドであり、その優先順位からはずれた者の掘り下げに割く尺はないというなら、そもそも人外設定にしない作劇でピンチやトラブルを作り出し、ノエル1人に集約した損な役回りも他メンバーにも割り振ってほしかったとさえ思ってしまう。
難しい事だろうし、どちらにも属して1人で両戦隊を巻きこめる立ち位置だから使いやすいんだろうなとは思うけど。
■ダブルレッドの足の下
「ダブルレッドが出来るまで」という早くも重版になった書籍、評判も凄く良いし興味もあるけど私はまだ買う勇気がない。
ダブルレッドの感動的な展開を思い起こすと、
・30話スプラッシュはノエルの快盗贔屓による情報漏洩が発端
・42話デストラ決戦はノエルの失態と戦闘不参加がベース
・49話はノエルを救うために正体を明かしたことで指名手配されての切ないやりとり
・Gロッソもノエルを救う為に以心伝心プレーでピンチを打開した
と、何だかどれもノエルのマイナスポイントをもとにお膳立てされているみたいで、二人の足の下にノエルがいるように思えてしまい、辛くならずに読める自信がないんだよね。
キャラクターブックのスタッフさんインタビューで、「ノエルは想定以上のキーパーソンになりました」と格好良く言われても実際はこんな使われ方だと思うと悲しい。
「他の6人にはない複雑な魅力」と言われ「深みのあるキャラクター」と言われても、他の6人だってみんな複雑で深みがあったと思う。なんでノエルだけインタビューでわざわざそんな言い方するの?
むしろノエルは盛られ過ぎた設定に掘り下げが全然追いつかなくて、ノエルファン有志が推理・推測と脳内補完で行間を埋めていたと思う。未だ明かされていない「警察にビークルを送ったのは本当にミステイクか」なんてその筆頭。
■エピソードノエルのスピンオフを切望
ここまで批判ばかり書いたけれど、私はただルパパトを貶めたいわけじゃない。
終盤のピンチ&トラブルメイクの原因という損な役回りをこれほどノエル一人に集約して出来た物語が感動を与え評価され、ギャラクシー賞も受賞したというのなら、そしてVS本編にはノエルの盛り沢山な設定を十分掘り下げる尺もなくバランス的にも無理だったと言うなら、今度はスピンオフという形でノエルにも還元してほしいと思っているんだ。
今からでももっと多くの人にノエルはちゃんと警察官だと思って貰える描き方をしてほしい。特になんで最後まで隠したか分からない、ビークルが日本支部に送られた真実。
パトレンとの関係もきちんと描いて欲しい。咲也との最後の絡みが胸倉掴まれた場面のままなんて嫌だ。
それにノエルの願いの結末。
私はノエルの願いが叶わないまま宙ぶらりんであり続けるのも辛いけど、快盗に救われ感謝する人やその家族の多さを思えばそんなに難しくもないだろう魁利達の社会復帰が、ノエルの願いの為に阻まれている形に見えてしまうのも辛い。このまま何年もましてや10yearsなんて考えただけでもキツい。
というか、なんかもうこれ以上何かをノエルのせいにされてると思うのが、個人的に限界なんだと思う。
ノエルは両戦隊の為に頑張ったんだから、それぐらいして貰っても良いんだとも思えない。そう安心して思えるほど本編ではノエルの活躍や功績にスポットが当たっていないから。以前も書いたけれど極力そこから目を逸らされるよう配慮されていて、対してマイナス面は今回書いたようにがっつりアピールされていたというのが私の見方。
見ていないFLTはともかく<本編>では、両戦隊に属し両戦隊を結びつけようと「一番茨の道を歩いていた」事を、最後まで誰からも「言葉で」正しかったと言われず認められも感謝も労いもされず、逆に最初は怪しまれ疑われ、最後は責められ胸倉を掴まれて終わっただけ。
VSを1年続行させたいスタッフにとっては、共闘を望むノエルは正しいと思われてはならない「障害」だったの?と勘繰りたくなるほどだよ。
最後に武器交換の発端を作ったのはノエルだったけど、例によって極力スポットを当てず、感動的なビークル交換の時は出て来ないよう後ろに転がったままだった。
それが本編でのノエルの見せ方でありVSのためバランスのためそうするしかなかったというならノエルのスピンオフで埋め合わせをして欲しいし、もうノエルの願いについては早く決着を付けて、それでもVSを続けたいなら別の「ノエルのせい」じゃない理由でお願いしたいと切に思う。
VSってここまで誰か一人にしわ寄せしないと維持続行出来ないものじゃないのでは?って思っちゃうんだよね。
終了後に予算とスタッフや俳優のスケジュール押さえて、媒体も決めてって大変だと思うけど、ノエルに背負わせた死者蘇生の願いよりは実現可能だと思うの(無茶ぶり)。
実際ライダーはTTFCやビデオパスでやってるんだし。
円盤の売上が2月時点で海賊の背中捕らえて後は侍のみで、FLTの動員記録も塗り替える勢いで、ギャラクシー賞月間賞を受賞したルパパトが、終了後にスピンオフ作れなかったら、今度はそれが後進の妨げになってしまうんじゃ?って 思ったりもするからスタッフさんは使命だと思って何とか作って欲しいな。
ノエルの描かれていない物語は本筋にも関わる部分も多いし俳優さんだってアクションだけでもお金取れる人だと思うし。
というか、スタッフさんはひょっとして後日スピンオフを作る事を見越して、本編はここまでノエルにこんな役回りをさせたんじゃ?と頭のどこかで思いたかったりもしてる。
リュウソウジャー3話: 詰め込み過ぎが勿体ない感じ
ニチアサのより子供向けな戦隊3話にしてサポートヒロインが自殺未遂。
ういちゃんの、他人に見て欲しいから、他人に認められたいから真実ではない大げさ動画でもアップする、という行動原理と、自分の生み出したマイナソーがこのままだと人々に危害を加え、自分がいなくなれば被害も食い止められるのなら自殺しよう、と性急に結論付けるという、自己肯定感のめちゃ低いタイプが陥りやすい思考回路はそれなりに親和性が高いと思うので説得力は感じた。
でもいくらなんでも早すぎたよなあ。
ういちゃんとコウ達はそもそも前回一緒に暮らし始めたばかりなので、リュウソウジャー達と比較しても劣等感とかいきなりわ~っと話されてもなかなかついて行けない。中澤監督演出でドラマチックに情感溢れる感じに見せられてもこれはキツい。
ういちゃんの、ふとした時に見え隠れする儚げな透明感みたいなのは意外性があって気に入ったんだけど、だからこそ勿体ないなあ。
今回は他に、メルトと青い騎士竜の交流に、黒緑兄弟の登場と衝突、マイナソーを生み出す人間をどうするかの葛藤もあったりして、いくらなんでも詰め込み過ぎじゃないかな?
特にメルトはここまでキャラ紹介が弱めだったから、先にこっちをがっつりやっても良かったんじゃないかなと思えて。見返り青騎士竜とか可愛かったし。
マイナソーを生み出す人間を躊躇なく殺そうとする黒緑兄弟はラストで、騎士竜を持たないから巨大化されたら為す術がないためそうなる前に何としてもどうにかするしかないというスタンスなんだ、というのが分かったけど、それに絡んで苦い経験でもしているのかどうかは気になるところ。
バンバは普段があんな重そうなキャラだからまだしも、トワくんは幼くて軽めな感じがするだけに、まがりにも人の命を奪うってことに対してどうも軽く考えてない?って見えちゃうのが気になった。
この詰め込み過ぎ、開始が1ヶ月後ろにずれたことと関係はあるんだろうか?
丸山Pのインタビューを読むと企画のスタートは例年通りだったから想定より準備期間があり、脚本の読み合わせを念入りにやれた、とのことだけど、脚本自体を圧縮させなきゃいけなくなったりはしなかったんだろか?というのはちょっと気になる。
スタートが遅くなったからと言っても、もしGW商戦までに出さなければいけない商品数が去年までと一緒なら、その分販促イベントが忙しくなりそうだし。ライダーが10月開始になった時に序盤のら玩具スケジュールがとんでもない事になったから少し心配。
ルパパト: ノエルは警察のために何をしたのか
ノエルさんは香村さんの描いたキャラクターの中でもっとも賛否両論の激しいキャラクターかもしれない。
香村さんと言えば前作ジュウオウジャーの追加戦士のみっちゃんもコミュニケーションに問題があり賛否の分かれるキャラクターだったし、アムも腹黒でちゃっかりしている所が好き嫌い分かれる傾向はあったと思う。
でも、この2人はキャラの解釈はそんなにブレがなく、好きか嫌いかという好みの問題だったという印象だけど、ノエルの場合は解釈自体が人によって凄く分かれていた。
特にそれはノエルがパトレンにした事や、警察や平和に対する思いに対する見方が分かれた事が大きいと思う。以前も書いたけど警察としてのノエルは描写をかなり抑えて描かれたために行間が広く、そこをどう埋めるかでめちゃくちゃ解釈の分かれるキャラだった。
私はかなり好意的に解釈する方だったので、ノエルが特に警察の為に何をしたのか、改めて物語の所々から拾って補完したい。
といっても、
「ルパパト: 構造や売上が ノエルと警察、それから結末に与えた影響について(長文1)」
https://kiuix.hatenablog.com/entry/2019/02/23/170014
「ルパパト: 構造や売上が ノエルと警察、それから結末に与えた影響について(長文2)」
https://kiuix.hatenablog.com/entry/2019/02/23/170024
でも書いたことと重なる部分もあるから、今回は来日前のビークル提供と、来日後の快盗と警察を仲良くさせようとした事に的を絞ってみたい。
■来日前のビークル提供への思いは?
「国際警察にコレクションがあると知って潜り込んだのさ」
「(戦力部隊に装備がわたったのは)痛恨のミステイクだ」
どっちもコグレと快盗の前でのノエルの言葉。
でも、Gロッソ第5弾のパンフレットのノエルの紹介ページの解説では、前者は
「国際警察が、ルパンコレクションをもっていると知ってもぐりこみ、警察官に!」
と、事実として断定してるのに対し、後者の方は
「パトレンジャーのVSチェンジャーは、ノエルが改造してつくったものであった。それが国際警察日本支部に送られたのは失敗したと、ノエルは言う・・・。」
とあくまでノエルが言ってるという見せ方を崩さない。
事実なら前者のように断定すれば良いだけ。そうではないのは本当は違うからでは?と私は思っている。
・ノエル以外にあのグッティを拘束梱包出来る者が国際警察の中にいるか
・ノエルが日本支部以外にグッティを梱包送付(それが誤って日本支部に送付)する必要のある宛先はあるか
・一度誤送付?された後もヒルトップにヘリとバイクが、「直に」手渡されている
・ノエルは29話32話時点で平和も共闘も望み、それは来日当初からの思いに見える
・平和を守る権限と義務があるのは国際警察でルパン家にはない
・あの時点で仮に「ミステイクじゃなく本心」とか説明してたら激昂した透真にやすりで磨かれ叩き出されていても不思議じゃないから嘘をつく必要性は滅茶苦茶高かった
これらを踏まえると装備を送ったのはミステイクじゃなくノエルの本心の可能性が限りなく高く思える。というか私はそう信じている。
でも以前、あるツイートがミステイクを「事実」と捉え、それに三桁の「いいね」やリツイートがあるのを見て、そう思っていない人も一杯いるんだと改めて知って結構落ち込んだ。
「痛恨のミステイク」が本当なんだとしたら、ノエルさんはいったい誰に使わせるためにパトレンの装備を開発したんだろう?
平和を望み共闘を望むのに警察がちゃんと変身して戦えるようになるのは望まないお馬鹿さんだったんだろうか?
私はいくらなんでもそれはないと思っているし、万が一、今後そう描写されたら絶望的な改悪になってしまったと受け取るだろうけど。
フランス本部時代のノエルさんは、時系列で見ると
1話→パトレンの初期装備
4話以前→クレーン&ドリル(それが内通者によりアルパカ兄弟へ)
5話→バイク、ヘリ
とまあ当然だけど初期装備を除いてもトリガーマシンの開発が多い。
開発は警察のためだとすると、来日までは専ら警察を強化したかった事になるね。
ヘリが快盗に来たのはもしかしたらグッティに、両戦隊のバランスを見て必要なら快盗に渡るように頼んだかもだけど、シザーがなかったらパトレンの方が装備が充実していた可能性がある。
これ、実は、来日後はコグレや快盗との信頼関係のために大っぴらに警察を強化出来なくなるから、目の届かない今のうちに警察のために出来る限りの事をしてしまおう、というスタンスだったと解釈する事も可能だったと思う。
■両戦隊のバランスが崩れたのはノエルのせい、という見え方
だからここでまた38話の愚痴になるけれど、テコ入れの為に警察を強化出来なくなったからと言って、そこを気にしすぎて「コレクション集めは絶対だから」と言って、警察を足止めに行く(しかもその警察に助けられる)ようなキャラに改悪する必要はなかったのでは?と私は思っている。
また、警察を強化したいのにできないジレンマや苦悩を口にしても良かったのに、そんなことは一切許されなかった。
テコ入れという大人の事情が原因なだけに、言葉にすることで視聴者の意識をそこに向けさせたくなく、またVS維持のためや他キャラとのバランスのためにノエルにそこまでスポットが当たらないよう、言葉にする事を避けたんだろうか。Gロッソでは「どちからなんて選べない」と言った途端に主人公になってしまったし。
それともスポンサーにこれ以上批判の矛先が行かないようにとの配慮だろうか。
でもルパンだけが次々強化される異常さいびつさは、別にノエルが口にしなくても多くの人が気付き、モヤモヤした思いやもっとハッキリしたストレスを抱えさせるのに十分なものだったと思う。
そんな中で、エンジニアとして両戦隊にビークルを与える役目を封じられただけでなく、パトレンがビークルを得ようとするのを結果的に2度も邪魔することになり、それに対するジレンマや苦悩を一切語らないノエルの姿は、見る人によっては
「共闘を望むと言いながら警察の強化の必要性に思い至らず、やってる事は快盗贔屓」
と受け取ってしまったとしても無理はないんだろう。
その結果、パトレンを強化出来ず活躍が制限された不満の矛先が、よりノエルに集約されてしまったように見える。実際この頃、激しい批判や憎しみにびっくりして悲しくなる事が多かった。またご丁寧に香村さんが38話で「快盗の利益を優先し過ぎたんじゃないのか?」と透真に言わせる事でその見方を補強してしまっているのも悲しい。
例えば、ノエルはパトレンも強化しようとしたが、それに気付いた快盗が邪魔をし奪取、という見せ方なら、ノエルのスーパー化への展開に一捻り必要ではあるけど、誰のキャラもブレず、ノエルの平和への思いも快盗とも時には対立することも描け、快盗贔屓に見られる事もなかったろう。
でも快盗を悪者には出来なかったということなんだろうか?
そもそも、6月下旬くらいにはネットでテコ入れが噂になり始めていた販売不振に関して、タイミング的にはその頃に登場したノエルというキャラには一切責任はないはず。
なのに物語的には、パトレンが活躍を制限されたのはひとえにノエルの愚かな快盗贔屓のせい、という見方をされやすい状況が作られてしまったのではという気持ちが否めない。
警察にビークルが送られた事情、ノエルの「ミステイク」が真実か偽りかは、最終回後も明かされていない。
そこまで隠し通す意味がどこにあるんだろう。
隠し通して誰が幸せになるんだろう?
■仲良くなれたら素敵
来日後のノエルは、快盗と、その正体を知らない警察の交流に尽力した。咲也の初美花への恋を応援し、自分の歓迎会と称して両陣営の親睦を図り、何かと理由を付けてはジュレに圭一郎達を連れて行ったり。
それが、ノエルを助けるために快盗が正体を明かした後は一転、怒り傷ついた咲也に責められる事になった。
「面白がってたんですか?」と咲也に責められた時のノエルの答は
「本当に、仲良くなれたら素敵だと思ったんだ」。
ネットでは、「どちらの気持ちもわかる」「ノエルの答が凄く良い」という意見もあったけど、反面、ノエルへの激しい批判も見られた。
咲也はもっと怒って良い、ぶん殴ってもいい、こうやって相手が傷つく事に思い至らないノエルは浅はかだ、「仲良くなれたら素敵」なんて頭の中がお花畑(笑)等々。
私はそれを見ながら悲しかった。
そして、もっと怒っていいって意見もわかるんだけど、咲也には思い出して欲しかった。
27話レオタード回で、透真が邪魔しなければ、お萩爆弾を国際警察に持ち込んで自分ごと吹っ飛ばしてたかもしれないってことを。
あの時ノエルは自分で助ける事も出来たけど、「咲也くんをあのままにしていて良いのかい?」って透真が自発的に助けるよう意識を向けさせた。
それがノエルの言う「仲良くなれたら素敵」の形だったんだと思う。
私は、平和であることが当たり前な世界に暮らす人間が使う 「仲良くなれたら素敵」と、強大な力を持つ化け物達に襲撃されて大事な人を殺され、その化け物達と戦い同時に願いを叶えるためには対立する2戦隊を共闘させるしかない(でなければいずれ全滅)と考えて来日し、でも密かに人間じゃないというコンプレックスを抱えるため「仲良く」には自分を含めていない奴が使うそれとでは重みが全然違うんだと思う。
咲也の事以外でも、ノエルは29話で快盗達に記憶喪失の圭一郎を助けるよう説得に行っている。
またそれ以降、快盗達も警察を助けようとする意識が強くなっていっている。
32話で快盗達は、圭一郎とノエルが決闘している間、実験体に一方的にボコられている咲也とつかさを「黙って見ているわけにもいかない」と、コレクションを盗れる態勢ではないのに助太刀に入っている。それがなかったらなぶり殺しだったかもしれない。
36話では孤軍奮闘のつかさを庇いトドメを刺す役を買って出て、37話はふらつく圭一郎を見ていられずにVSX、40話では魁利初美花が傷付くからと透真が異世界でつかさを助けた。
仲良くなったから、快盗は警察を助けた。そのことをつかさも身に染みていたはず。だけどあの場でそれを持ち出してフォローすることはなかった。
快盗3人にとっても、警察とも仲良くなるにしてもノエルさんの存在は「ここまでならOK」のガイドラインになってたはずで、そうやって未成年2人は以前よりは安心して、それまでの閉じた世界を広げていった。
圭一郎達だって、後にその事を知れば自分達の手が届かなかった被害者達へのノエルのそういうフォローを好意的に受け止めたんじゃないだろうか。
そして仲良くなっていたからこそ、一時は辛くとも、正体が分かってからの相互理解はスムーズで、今度は警察が快盗達のために出来る限りの事をしようとしたんだと私は思う。
ノエルさんのやってたことは決して浅はかなものだとは思わない。
私から見ればノエルさんのやっていたことを正しいと思える根拠は、物語の所々に転がっていて、それを公式がもう少し拾っていてくれれば見え方も違っていたろうに、恐らく敢えてフォローしていなかった。
戦力的には共闘が正しいのに、1年間VSを維持し続けてく上で共闘しようと言い出さない両戦隊が間違ってると思われないように、また他のキャラとのバランスで、正しくないように見せられ過ぎていなかっただろうか?って気がしている。
香村さんはキャラクターブックのインタビューで「どうするのがふさわしいのか常に考えていた」と語っているけれど、その結果がこれらの見せ方なのかと思うと、悲しい。
たとえそれがドラマ的にはVS的には正しかったんだとしても。
香村さんはキャラのフォローが人一倍お上手な方だと思っているから余計に、そのフォローからノエルだけが突き放されてしまっていると思えてしまって。
■好きになりたかったのに
最終回が終わり、ちょこちょことネットでの本編やGロッソの感想を拾っていた時に心に引っかかったのが、「ルパパトを大好きだから全員を好きになりたい。ノエルの事も好きになりたかった」という感想だった。
上記のうち前者、警察としての覚悟の見えなさや警察に対して邪魔しようとした事等は、好きになれなくても仕方のない相応の理由だろうと思う。ビークルを日本支部に送ったのが本心か否かはハッキリ描かれてない以上、私の見方は推測でしかない。
でも好きになりたかったという方の中には、好きになりたいのに出来ない辛さを抱えてながら、ノエルを好きだという人を否定する事なく、最終回まで見終わった今なら見方も変わるかと見直して幸せも祈って下さった方もいるのだと知ることができた。
だから私はせめて今からでも、そこを続編できちんと、例えばノエルがビークルを送ったのは本心から、平和を思う気持ちからだったんだと、きちんと描いて欲しくてたまらない。
そして出来ればそれは、ノエルがルパン家に属していると圭一郎達が知るという流れに繫がって欲しいなと思う。
ノエルさんは警察にたくさん隠し事をしてたけど、そもそもは自分がルパン家の人間だと隠して国際警察に入った事から始まっているわけで。
ルパンレンジャー始動とどっちが早いかわからないけど、その雇い主だとバレた時に国際警察に居続けられるのか気になってた。ルパン家が雇って快盗をやらせた魁利達は指名手配な訳だから。
ひょっとしてノエルさんはは警察官に相応しく正しく誠実であろうとした瞬間に、警察官でいる事、圭一郞達の仲間でいる事を許されなくなくなってしまうんではないのかなと。
だけどそれを乗り越えるにしても乗り越えられないにしてもその時に圭一郞達が何を思いどうするかを見たかったし、これからでも見せて欲しい。