キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー45話感想: 神様の休日

ヤツデさんがキャラソンをBGMにカラフルサンデーを作ってる。40年以上前にトップアイドルだった榊原郁恵さん。まさか還暦過ぎてから特撮番組のヒロインとして新曲を歌う日が来るとは、と感慨深い。しかも介人ジュランガオーンのバックダンサー付き(笑)。

ゲイシーはそれを一口一口じっくり堪能。本当に美味しそう。誰が食べても美味しいんだなあと思うのと同時に、本当はステイシー本人がそんな風に食べたかったはずなのになあと思うと、むかつく。

ご馳走様とゲゲイシーが出て行ったあと、介人が<サトシ>の印象を聞くと、ヤツデさんは、以前あった寂しそうな影が消えた、と好意的に受け止めている。マジーヌについてもそうだけど、ありのままの本人を温かく受け入れつつも、好ましい変化は喜ぶ人なんだよね。

 

そのマジーヌとブルーンが買い出し中に、今回の敵、オミクジワルドが人々を襲っている場面に遭遇。その技を喰らうと、何かを開けたり動かしたりしたタイミングで凶のおみくじが額に張り付き、いろんな不運に苦しめられる仕様。マジーヌとブルーンも速攻でその餌食になってしまう。

 

トジテンドでは、邪魔な海賊がいなくなった功績をボッコワウスに褒められたゲゲ本体が、自分に心当たりのない素振りを見せた直後に何やら記憶が操作されて自分の意志がしたと錯覚させられているかのような描写。

そしてそれを見逃さず、更にはゲゲが何やら並行世界間ゲートを操作しているところを目撃するバラシタラ。

何者かが取り憑いたゲゲのことはちょっとした違和感も見逃さずに真相に近づきつつあるバラシタラが描かれる度に、その敏感なはずのセンサーを同じ何者かが息子に取り憑いた時にも働かせられないもんですかね…と思う。

持てる観察力洞察力を有能な仕事人であることに全振りして、家族の異変には一切気付かないダメダメ親父ぶりが、いつもながらもどかしい。

 

ゲゲがトジテンドに戻ったせいか、ステイシー本体が意識を取り戻す。目覚めたのはカラオケボックスの個室。元の世界から逃亡して宿無しの異世界人なら、ねぐらはこうなるよな、と納得しつつ、殺伐としたもの悲しさもある。

そして流れていたMVは、ステイシーのキャラソン(汗)。これ、真面目に受け取るなら、あの世界にステイシーと瓜二つの役者さんがいない限り、ゲゲイシー本人が自分でスタッフを募り作詞作曲を超高速で作らせたか自作して、それを自ら歌い衣装合わせをして撮影したものを編集させて配信させた可能性が一番高いんだけど(笑)。

しかもゲゲイシーなら面白がってやりかねないし、後で正体を知ると、それを可能にする力もあるよなと思ってしまうのが困る。

で、いざ歌おうとした時に必要に迫られてゲゲの方に戻っていったのか、それともわざとイントロの時にステイシー本人が目覚めるように仕掛けたのか。

どちらにしてもステイシーは混乱が大きすぎたのか、延々流れる映像が全く目に入らなかったのは不幸中の幸い。

乗っ取られている事に気付かないまま自分の体がカラフルでヤツデさんと再会した記憶とかだけでもキツいのに、ノリノリで衣装合わせてスポットライト浴びながらポーズをとり撮影に興じる自分の記憶が流れ込む羽目になったりしていたら、彼の性格的にパニックになりそう。

相変わらず気の毒なステイシーの状況だけど、おやつ券、まだ持っていた。握り潰したものの捨てられなかったのか(涙)。

 

カラフルに戻った5人は、マジーヌとブルーンが安定の不運ぶりを披露。椅子に逃げられて尻餅とか、某熱き冒険者が不運を固定されたときのそれを思い出してニヤニヤしてしまう(笑)。

ニュースでは凶おみくじを貼り付けられた人々が命にもかかわる不運に見舞われていて、一刻の猶予もない状態。

不運に見舞われていない介人ジュランガオーンがオミクジワルドに挑むが、凶ばかりでインチキと言われたオミクジワルドが、ではとクダックに軒並み吉おみくじを貼り付けたためにクダックの幸運がゼンカイジャーの不運となって跳ね返り、大苦戦。

さらに駆け付けたマジーヌとブルーンも不運の上塗りで味方の足を引っ張る羽目になり(涙)、結局介人たちも全員凶おみくじを貰ってしまう。

不運をラッキーで跳ね返そうとキュウレンジャーのギアを使うも、スシワルドの時とは逆に消火栓からの放水を食らいダメージ。

センタイジュウギアを呼べばトラックに跳ねられ、ゼンリョクゼンカイキャノンで先輩戦士を呼び出すと、なんとキレンジャー・バトルコサック・イエローフォーという殉職戦士組が、本編でのそのシーンをなぞった形で倒されてしまい、ここはどんな顔して見ていいかわからなかった(汗)。

前回までだったらここで別動隊のゾックスが乱入していたのかもだけど、来ない。圧倒的な強敵とか圧倒的な火力でボロボロってわけじゃないんだけど、わりとゼンカイジャー屈指の大ピンチ。

なお、不運打開のために戦隊ギアを提案しては裏目に出るたびに「違う!今使うべきはボウケンジャーのギアだろ!同じ苦境を見事に打ち破った開運フォームを出すんだ。というかあれをもう一度見たい!」

とテレビの前で拳を握りしめていたのはきっと私だけではないと思うんだ(笑)。

 

その頃ステイシーは、もう行かないと誓っていたカラフルに足が向いていた。やっぱり神様に乗っ取られていることには気づかず、自分は無意識のうちに足が向くほどここに来たかったのか、と思い込んでいる。まあ、来たかったのは嘘ではないだろうけど、罪が深いな、乗っ取り野郎。

と、その目が赤く光ると乗っ取り野郎が戻ってきて、ステイシーの姿で、カラフルから出てきた親子を「あるべき場所にお帰り」と、たぶんキカイトピアへ強制送還(汗)。これ、このあと他にも被害にあったキカイノイドがいるんだけど、地味に怖い。どう見てもこっちの世界の方が時々トジテンドは襲ってくるのを差し引いても幸せで、なのにいきなり戻されたらパニックだよ。特に子供はかわいそう。

 

戦闘の方は不運に追い詰められてマジーヌが唐突に水晶玉占い。出たのは「超大凶」なんだけど、自分の占いは外れるのでむしろハチャメチャ大吉、と笑いだして一人、何度跳ね返されても立ち向かう。あ、今回マジーヌ回だったのか。考えてみるとゼンカイジャーって、キカイノイドたちは個人回少なめだったから、ここに来てフォローに入ったのかな?とぼんやり思う。

ただ、正直ちょっと唐突な感じもした。マジーヌの奮闘中、介人含め他4人も結構な間おろおろ見ているだけ、というのもなんか、ここにきてマジーヌ上げのために割を食わせた感じがしてちょっと残念かな。

で、そんなマジーヌに触発されて、ついに他4人も勇気を貰い、不運を恐れず一斉に再参戦。5人を襲う不運の嵐の中でも時にはゼンカイジャーに有利に働くこともあるというぐっちゃぐちゃに入り乱れた戦闘シーンで、こういうお取込み中な感じなのはわりと好き(笑)。最後はマジーヌが単騎で撃破。

前回のゾックスに続いて頑張りすぎたマジーヌはガス欠で、なんか久しぶり感のあるジュラガオーンが出撃、と思ったら超久々のスーパーゼンカイオージュランに。これ、前に出たときはイマイチ活躍できなかったから、今回その雪辱を晴らすのか!と思ったら、今回もダイオミクジワルドの超大吉効果の前に沈む(涙)。

せっかくの変則合体なのに、最後まで日の目を見ないんだろうか?そんでガオーンとの合体がないのは右半分か左半分かの仕様の差なんだろうか?

超大吉効果の前に巨大戦も大ピンチってところへゲゲイシーが登場。片手をかざずと、なんといきなりおみくじパワーをその手に吸引してしまう。ダイオミクジワルドはただのクダイテストに戻り、あっさり撃破。

ジーヌとブルーンに一部始終を見られたステイシーは、「実は僕、全ての世界を作った神様なんだよね」となんだか凄い正体明かしをしてきて、続く。

 

神様。いきなり大きく出た。全ての並行世界を作ったのが本当なら、「あるべき場所へお帰り」と繰り返しながら海賊トピアを解放したり、キカイノイドたちを強制的にキカイトピアに送り返していたのは、並行世界間を行き来してほしくなくなった、ということかな。

その割には、今まで長いことトジテンドの独裁者の元にいて並行世界を好きなように玩具にすることに加担していたわけだけど。このあたりの意図がわからない。

 

今回はなんだか全編、神様に好き放題放題やられて最後もおいしい所を全部持っていかれた感じ。

なお、ステイシーやサンジョだけでなく、そんな神様の舌すら満足させるカラフルサンデー550円が凄いのか、それとも実は神様の食生活は意外と貧しかったのか。

ゲゲでいた時間が長ければ、たぶんその間ずっとバリエーションに乏しいキカイトリの餌が食事の全てだったのかもと思うと、ボッコワウスの側で権謀術数やら侵略やらを楽しんでいたようでありながら、五感のいろんな楽しみを犠牲にしてきたのもなあと思ったりして。自業自得だけど。

そう思うとなんだか今回は神様にとって、ステイシーの体でおいしい物を食べ、歌い、ファッションや撮影を楽しんで、と、これまでゲゲの体では出来なかったことを思い切り楽しめた束の間の休日でもあったのかもな。でもそれはステイシーを踏み台にしてのことだし全然同情する気は無い。

ステイシーとは対照的な、陰のないいたずらっぽい笑顔も悪くないと思った時期もあるけど、なんだかのないステイシーは気のせいか顔が丸く見えて(笑)、なんというかやっぱり元のステイシーの方がいいな、そろそろ戻って欲しいな、と思えてきた。

ゼンカイジャー44話感想: 追加戦士の願いが叶う日

征服が進まない上にステイシーという反逆者まで現れて、すっかり萎えてるボッコワウス。ゲゲにも「最近は甘えてくれなくなった」と愚痴。甘えゼロの低い声で「そうか?」というゲゲには自覚がない。

と思った瞬間、目の色が変わって突然甘え口調に変わる。

ステイシーを乗っ取った何者かの意識が、ボッコワウスの言葉に素早く反応してゲゲの体に戻ってきたってこと?

体を乗っ取り反逆者に仕立て上げたステイシーが今、トジテンドパレスにいるとは思えない。ということはこの何者かの意識は、並行世界間を一瞬にして移動出来るし、別の世界にいても元の体の置かれている状況をリアルタイムで把握出来ることになる。

ますますややこしいし、得体が知れないな。

甘え口調のゲゲは「使ってみたいギアがある」と早速ボッコワウスにねだる。前回ゾックスに要求されたことをもう実行に移して、仕事が早いな。

・・・ところで、甘えてくれないゲゲ、つまり何者かが乗っ取らない本来の低い声音クールな口調愛想や媚なしのゲゲ本体に、どれだけボッコワウスを惹きつけ愛される素養があったのかはちょっと気になる。「儂の可愛い」は外見も気に入ってはいるんだろうけど、ボスのお気に入りの座はこの何者かがしたたかにボッコワウスの機嫌をとることで盤石にしている感じもして。既にお気に入りのペットだったから乗っ取ったのか、元は無愛想なキカイトリの体を乗っ取りボスに気に入られたのか。

 

こっちの世界では界賊一家がキカイたこ焼き屋で半額のキカイたこ焼きを堪能しているところに、ガオーンとブルーンも合流。出没場所は違っても、この屋台はすっかりゼンカイメンバーたちが集うもう一つの社交場になってる。

そこにいきなり鉄球が飛んできて、SDワルドが登場。顔に思い切りSDと書いてあり、これがゾックスたちがずっと探してきたSDトピアのギアだとわかりすぎるほどはっきりわかるデザイン。

正直、意外と早く来たな、という感じ。いやもう44話なら十分終盤なんだけど、呪いを解いたら双子が人間に戻りゾックスの戦力ダウンになるから、もしかしたら最終決戦の後にSDトピア解放になる可能性もあるかなと思っていたから。

SDワルドの攻撃を食らうと、体がリッキーやカッタナーと同じく小さくSD化してしまう。周辺にいた人々と一緒に、ガオーンとブルーンもその餌食に。そしてやっぱりここにももはやお約束のスーさん(笑)。

介人ジュランマジーヌも駆けつけるも、マジーヌとジュランが続けてSD化。更にフリントを庇ってゾックスのギアダリンガーも小さくSD化されて変身が解けてしまう。

一人戦闘不能を免れている介人がダイレンジャーのキーで謎の列車を出し、その場から皆を逃がす。以前のドリル工事といい、ダイレンジャーのキーから出てくる技はいつもシュールで、未見なせいで拳法の戦隊というよりヘンテコなイリュージョンを繰り出す戦隊というイメージが私の中で大きくなっていく(笑)。絶対間違ってるのは承知だけど。

 

介人たちの避難先にゲゲイシーが現れ、SDワルドを送り込んだのは自分だとアピール。界賊の探しているギアがSDトピアのものだとは知らなくても簡単に推理出来たとのことで、別の並行世界であるSDトピアにも海賊トピアにも妙に詳しい。次の45話まで見た後だとなるほどと思うしかないけど、この時点では深まる謎、だった。

ゲイシーの狙いはわからなくても、ゾックスたちにとってはリッキー&カッタナーの呪いを解くための絶好のチャンス。ただし、皆で力を合わせてというフリントたちをゾックスは「お前らがいると俺は本気だせねえ」と拒絶し、変身できないにもかかわらず全部一人でカタを付けようと出ていってしまう。

 

後を追おうとする介人だけど、SD化された上に戦闘の巻き添えを食って遠方に吹っ飛ばされた人々のいろんな受難がセッちゃんから告げられ、ひとまず回収を優先。

小さくなった体が小川に落ちて流されたり、子供に拾われて玩具と間違えて遊ばれたり、ネットに引っかかったり。そんなのを地道に回収して救うのもヒーローのお仕事。体はそんな風に変えられても意識があるなら、そんな目に合わされ続ける苦痛と恐怖は自分の身に置き換えると相当なもののはずで、軽視しちゃいけないんだよね。寿司ワルドの握られたまま一晩過ごす人々の苦痛を思い出した。

そして子供たちにしてみれば、玩具と思って弄っていたら、それ本当は今も意識のある人間だよと告げられるのは、どんな気持ちだろう(汗)。

 

回収作業の途中に介人は、SDワルドを探すゾックスを見つける。「俺のことはすっごい助けてくれたじゃん!」と訴える介人にゾックスは、自分の父親が自分を守って死に、一家の長として家族を守る責任を託されたことを話す。譲れない誇りでけじめだと。「功を助けた礼のつもりなら、手を出さずに黙って見てろ」というゾックスに「狡いじゃんそんな言い方」と介人。

ここは正直、今になって慌ただしくゾックスの言葉だけ説明するんじゃなくて、もっと早く見たかったかもなあ。後述するけど、12話と今回の間のどこかで。

ゾックスは立ち去り、そこに風船にくくられて空を漂うブルーンが助けを求めて、介人はまたその隙にゾックスを見失う。

あのぐるぐる巻き具合は絶対子供が拾っていたずらで巻き付けたな(笑)。そして画面の外で風船が割れる音と、落ちていくブルーンの悲鳴が遠くに(涙)。

 

界賊船の中では、一家の長に手を出すなと言われて動けないフリントと双子に、ジュランとマジーヌが「でもよ、ぶっちゃけ、寂しいんじゃね?」と、それでいいのかと語りかける。

12話のカタツムリワルドの時に、いざとなると全部ひとりでカタをつけようとするゾックスの頑固さにジュランとマジーヌがもやもやしていたのを、ここに繋いできた。もう30話以上も空いてしまっていて、若干諦めていたから回収してくれたのは嬉しい。ただ、こんなに間を空けるより、上で言ったように、その間のどこかでゾックスの誇りやけじめについてもう少し掘り下げを入れてくれてたら、もっとよかったかもなあ。

「武器持って暴れるだけが戦いじゃねえんだなー」ってジュランの言葉に、ちっちゃくなってしまったままの兄貴の変身装備を見つめるフリントが何かひらめく。

 

ゾックスとSDワルドの再戦は土砂降りの雨の中。変身できないまま奮闘するびしょ濡れの、文字通り「水も滴るイイ男」なゾックスをたっぷり見せる。大勢の戦闘員に群がられて傷だらけになってもボコボコにされるのではなく苦戦しながらも食らいついて渡り合う。ゾックスの役者さんはダンスが得意なだけあって殺陣もばっちり決まって格好いい。

 

そこへ介人が乱入。ジュランたちも小さな体のまま駆け付ける。SDトピアは自分たちにとっても人々に被害をもたらす敵だから手を出すなと言われる筋合いはないと。「ゾックス!俺最初に言ったよな! お前は好きにすればいい。俺たちはお前の分もみんなを守るって!だからゾックス、お前は勝手にしろよ!俺たちは皆を助ける為に戦いに来たんだから!」

この互いの「狡い言い方」の応酬が小気味よくて好き。

なおSD化された人々の回収は、戦えなくてもサポートは出来るとヤツデさん&街の人たちに引き継がれていて、このあたりは人間もキカイノイドも一致協力なのが、凄くこの世界らしい、ほっとする場面。

そんで頑なだったゾックスの心にも柔らかな光が差し込むかのように、雨が止んで虹も出た。

 

更に、SD化光線を受け浴びそうになったゾックスをカッタナーとリッキーが庇う。既にSD化されているから俺たちには効かないので盾くらいにはなれると。そしてフリントは戦わない代わりに小さくなったギアダリンガーに併せてミニチュアサイズのギアを作り、兄貴にパス。直接戦闘は出来なくても、こういう戦い方なら出来る。

「あーあ、誰も俺の言うことを聞きやしねえ。世界海賊、ゴールドツイカ―一家の長としちゃ、まだまだだな」と空を仰ぐゾックスの笑顔がなんとも清々しい。いいなあ、ここに来て、妹弟たちの成長とサポートを受け止め、自身もまた成長していく。

 

ちっちゃい変身装備をセットし、晴れやかな笑顔でダンス変身するゾックス。足元から派手に飛沫が上がって映える。何度見てもこの変身好きだな。

ジュランたちもSDのまま変身。イラストを張り替えただけだけどちゃんと変身前後でデザインが変わって、小さくても5人揃って名乗り(笑)。そんで小さくても攻撃の威力はちゃんとあり、クダックやクダイターなら倒せるぜと個々の活躍を披露。

ツーカイザーはリッキーでオーレンフォームになり、カッタナーも盾になって兄貴がSD化されるのを防ぐ、と双子のサポートを受けながらSDワルドを倒し、悲願第一段階を界賊一家でクリア。

 

続いて登場したのはニュークダイテストからのダイSDワルド。あ、今回はCGなんだ、とこの時点でわかってしまう仕様なので、ゾックスが変身前の無茶が祟りロボでの出撃不能になったのは、ある程度予測ついてしまった(笑)。

で、ゼンリョクゼンカイオーが出撃。界賊一家の大一番だけど最強ロボのゼンリョクゼンカイオーがこのまま倒しちゃうの?と思ってたら、このスーパーワルドの能力は、

S=スモール→光線を当てたものを小さくする

D=でっかい→光線を当てたものを大きくする

と、ブルーンが「SDの定義とは?」と突っ込むのも無理ない日本語と英語ごちゃまぜな解釈(笑)でビルの大きさを自在に変え、間に挟まって動けなくなったゼンリョクゼンカイオーをスモール化。大きさの差が歴然すぎて踏みつぶされそうになったピンチを、やっぱりロボ戦だって界賊が活躍しないとね!とばかりに界賊船が砲撃を食らわし、小さくたって威力は負けないとゼンリョクゼンカイオーも反撃のビッグワンで一矢報いて、最後は双子が飛び出し巨大化して、総力戦でフィニッシュ。

SDトピアの呪いでSD化した双子がSD化したからこその攻撃で、SDトピアを解放した。SDトピアを荒らしに行ったことへの、少しは償いになったんだろうか。

 

界賊一家は早速SDトピアに旅立つことになり、皆でお見送り。ここでいったん完全に離脱しちゃうんだ?とちょっと意外だったけど、清々しいお別れ。ゾックスは介人に「今のステイシーを信用するな」と警告し、やっぱり後方彼氏としては見守れなくなった後が心配なんだろうな。けど、介人はそのあたり心得ているから大丈夫…だと思う。

 

並行世界に旅立つ海賊船をゲゲイシーも見送っていて「あるべき場所へお帰り」と、いつの間にか持ち出した海賊トピアのギアを破壊し解放する。これ、もしかしてゾックスたちはSDトピアに向かうつもりがゲートの先は海賊トピアだった、なんて可能性もあるんだろうか?それでも彼らの平行世界間ゲートがゲゲイシーの影響力を免れていれば、SDトピアには行けると思うんだけど。それとも単に呪い解いたらとっとと海賊トピアに戻って出てくんなってこと?

どちらにしてもゲゲイシーは、ゾックスたちの望みを叶えるという角の立たない形で体よく彼らを厄介払いできたってことかな。強いだけでなくいろいろ目聡く察しもいいゾックスや超優秀エンジニアのフリントがいない方が、これから介人たちに何か仕掛けるにしても都合が良いだろうし。

 

追加戦士が当初はいがみ合っていた初期メンバーと時間をかけてかけがえのない仲間になっていく過程をじっくり描き

登場時から持ち続けていた悲願を本筋にもがっちり絡む形で

仲間たちの協力を得てピンチを跳ね返しその中で成長もして

戦闘面での活躍も変身前変身後ともメカ的にも申し分なく

この上なく清々しい形で達成する様を見届けられた。良かったなゾックス、自分の物語をやりきったなと嬉しく思う。

まあそりゃあ、もっとこうして欲しかったって部分が無かったと言えば嘘になるけど、これで文句言ったらバチが当たるかな、ってのが正直な気持ち。

なんせ私の場合は、話が脱線して申し訳ないけど、3年前の同じ脚本家同じスーツアクターの追加戦士が番組の都合で、当初から抱えていた悲願を叶えることも乗り越える事も許されずに今も背負い続けていることをついつい思い出してしまうもんで(涙)。

もしかしたら香村さんは、ルパパトの時にノエルには諸般の都合で出来なかった分までゾックスをしっかり描こうとしたのかな?

なんてふっとよぎったりもして、いやいや早くノエルも願いに決着をつけて、あんな清々しい顔を見せて欲しいと思ってしまって複雑だよ。

別の記事で散々書いてきたことの繰り返しになっちゃうけど、その願いはヒーローにあまり長い年月背負わせていいものじゃなくて時間が経つ程に辛くなっていくものだから。

お願いします、香村さん。東映さん。

ゼンカイジャー43話感想: 後ろ向きのヒーロー

いきなり戦闘中。ムカイカゼワルドが今回の敵だけど、それって「向かい風トピア」という並行世界があるってことで、なんだか世界の住民全員がハードモードのタフな人生送っていそう(汗)。バカンスワルドのゆったりのんびりな住人とは気質とか全然違いそうで、互いが互いを知る機会があったら相手をどう思うんだろうな、とちょっと興味深い。

ムカイカゼワルドの攻撃を喰らうと、体が前を向いた方角から激しい向かい風が延々と吹き続けてやまず、前に進むのも大変な状態。

 

苦戦中のゼンカイジャーを救ったのは、前回ゲゲに乗っ取られたステイシー。これまでの、独りでシリアス背負ったピリピリした表情とはガラリと変わった小悪魔的な微笑を浮かべ、キョウリュウレッドカーニバルを召喚する。

「小悪魔的な」って性別男性に使うのはどうかと思うけど、そもそも東映公式自体が「傾国ノ美女」なんて表現をしてるので許してほしい(笑)。劇中でも「なんか今日可愛い」と言われていて、もともと中性的なルックスだけど役者さんは介人やゾックスの人より年上の25歳と知った時には衝撃だった(汗)。

 

カーニバルに苦戦したムカイカゼワルドはステイシーの反逆を上に報告すべく撤退。

介人が功奪還を手伝ってくれた礼を言うと、ゲゲイシー(ネットで見かけたこの表現が秀逸だったので拝借します)はステイシーの脳内の記憶をサーチして事態を正確に把握し、にんまり。

「君たちに手を貸したことがボッコワウスにバレて、トジテンドでの出世が望めなくなったんだ。だったらもう、バラシタラの居るトジテンドごと倒しちゃおうかなーって。だからさ、介人、僕を君たちの仲間に入れて欲しいんだあ」

手を貸したことがばれてトジテンドでの立場が悪くなったという事実を織り交ぜるのは上手いけど、口調がまんまボッコワウスに甘える時のゲゲ過ぎて違和感バリバリ(笑)。

そこでガオーンやマジーヌからヤツデさんの名前を聞いてまた脳内サーチしたゲゲイシーは、さっそくカラフルに向かう。

自分の体を乗っ取った相手に過去の記憶も全部筒抜けって、嫌だなこの能力。時々ゼンカイジャーに協力していたのがバレたのも、カラフルの場所やヤツデさんという弱点がバレたのもまずい。

でもステイシーの性格的には、イジルデの研究室での「全力全開!ちょわー!!」を他人に知られるのも死に勝る屈辱な気がして、そこは覗かないでやってよと思う(笑)。介人やヤツデさんにはいつかちゃんと知ってほしい気もするけどね。

介人は向かい風で動けず追いかけられないながら、すぐさまセッちゃんに電話。その声に、ステイシーの改心を単純に信じて喜んでいるわけじゃなさそうな切迫感があって好き。

 

トジテンドではステイシーが脱獄し公然と反逆したと知ったボッコワウスのドスン祭。ゲゲが甘えのない低い声で、脱獄を手引きした者の存在を示唆してるけど、いや手引きしたのお前なんだが。

ゲイシーが介人たちの世界にいるのとたぶん同時刻に、ボッコワウスの傍らでもゲゲが話しているってことは、ゲゲの体を謎の別人格が時々乗っ取っているってこと?

でもゲゲ本人の意識には自分が時々乗っ取られているという自覚があるようには見えない。

それとも、自覚はあるけどそれを受け入れて平然と秘密にしているってこと?

ステイシーが乗っ取られた瞬間から脱獄するまで、ゲゲ本人の意識はどうしていたんだろう。気絶?脱獄を協力?それともなんで自分がここにいるのか分からずに立ち去った?なんだかややこしくなってきた(汗)。

 

ステイシーを信じるガオーンとマジーヌ、怪しんでいるジュランとブルーン。介人はというと、仲間になりたいというのが本心なら嬉しいけど、なんか違うと怪しんでいる。

なんせ介人自身がステイシーと入れ替わった経験持ち。また別の誰かが成りすましているのでは?と疑ったりしても無理はないか。

「あいつはもっとこう、なんか・・・そう、この向かい風みたいな感じだった!」

いきなり文学的な表現が来ておおっと思った。香村さん、こういう台詞書くのも好きそうだけど、ゼンカイジャーが一瞬、格調高い芸術作品になったような錯覚を覚える(笑)。

 

ステイシーは満面の笑顔でカラフルの暖簾をくぐり、ヤツデさんに歓迎される。ステイシーが断腸の思いで断ち切った場所にぬけぬけと現れ、ステイシーが欲しくてでも諦めた笑顔と温もりを言わば横取り。誰かを乗っ取るってことは、その人本人だけでなく、持っていたものも、欲しかったものも奪うんだな、と今更思ってイラッとした。

介人から連絡を受けたセッちゃんは界賊一家に連絡していたようで、険しい顔のゾックスとフリントが続けて入って来る。

カラフルから連れ出そうとするゾックスを「おやつ食べてから」と笑顔であしらうゲゲイシーが余裕綽々で、もうこの時点でいつものステイシーじゃないって界賊側にもバレバレだよな。

なおステイシーの服装が元に戻っていて、メタ的には夏仕様のままだと寒いかららしいけど、物語的には、

強化→新調→、裏切りがばれ拘束→元の服に格下げ

  って感じかな。実は私はこっちの方が好きで、見ていて落ち着くな。この人は濃い色や重め厚めの素材の方が似合う気がして。

 

ゾックスたちはステイシーを薄気味悪いと怪しみながら、信じて欲しければトジテンドパレスに連れて行け、と持ちかける。

そこへムカイカゼワルドがステイシーを捕らえようとクダックを引き連れて登場。ゾックスとステイシーは成り行きで共闘する形になり、こんな形でなければ尊いダブル変身だったのになあ、と複雑な気持ち。

 

  一方、向かい風に抗いながらやっとの思いでカラフルに辿り着いた介人たち。 店内はヤツデさんのいる無風の奥側、介人たちに強風が叩きつける入口側に分かれて、あ、こうなってるんだというのが視覚的にわかって面白かった。

「あんたたち、今度は何が起こってんだい?」もはやちょっとやそっとのことでは驚かないヤツデさん(笑)。考えてみればこの店も突然大量のゴミがなだれ込んで来たり、皆が磁石になっていろんな物がくっついたりと、いろいろ異常現象を目の当たりにしてきたもんなあ。

せっかく苦労して帰ってきたのにまたムカイカゼワルドが現れたと聞いて、がっくり来たマジーヌが凄い勢いで後ろに転がり、それを見た介人がまた何か閃く。もうこのあたりの介人の柔軟な問題解決能力が頼もしくて仕方ない。

   

ステイシーとゾックスの前にはバラシタラまで現れる。

「まずは褒めてやるのでアル。お前にこんな度胸があったとはな!」

えええ?またしても息子本人だと思ってる?ボッコワウスの懐で喋っているゲゲを意味ありげに見上げていた時には、「やっぱり怪しんでいるな。察しの良い奴だ」とちょっと株が上がったのに、相変わらず息子の事になるとポンコツなままで、偽物の所業を息子本人のだと思って(もしかしたら初めて)褒めてるのかと思うと情けない(涙)。介人もゾックス一家もすぐにいつものステイシーじゃないと察知したから余計に。

なんでこう、「介人の仲間になろうとするステイシー」とか「カラフルでヤツデさんと再会するステイシー」とか「ゾックスとのダブル変身」とか「バラシタラに褒められるステイシー」とか、ちゃんとステイシー本人で見たい場面を尽くゲゲイシーで達成していくのか(涙)。スタッフさん鬼畜だ。

まあそれでも、いつもの息子じゃないと把握した上で敢えて褒めてるのかもって可能性はちょびっと残しておくけどね。

 

ゲイシーはスーパーシンケンレッドを召喚。同じ場所でツーカイザーがシンケンフォームで戦っているから元祖と海賊版の揃い踏みにテンション上がった。でもどうせならそこで同じ画面に収めて並べようよ。見たかったのに叶わず残念。

ゲイシーは人間の体で戦うのも武器を扱うのも余裕で、下手するとステイシー本人より場数を踏んだ手練れ感がある。いろんな体を渡り歩いてきたのなら、人間に近い生物の体で生きていた時代もあるんだろうか。

 

ゾックスが隙を突かれて向かい風攻撃を受けてしまいピンチ、という場面で介人たちが到着。ただし、想像はついたけど、やっぱり後ろ向きで駆け込んできた(笑)。

前に進めなければ後ろに進めばいい。単純な発想の転換で、わかってしまえば他愛ない解決方法かも。

でもゼンガイジャーは以前も、ギアトリンガーの蓋がしまらず変身できないなら隣にいる仲間に押さえてもらえばいい、という凄く単純だけど素敵な解決策を見せてくれた。

押してもダメなら引いてみな。独りでできないなら抱え込まず仲間に助けてもらおう。上手く行かない時には1つのやり方に拘りすぎない、頑張りすぎない柔軟な視点も大事。そんな香村さんから子供たちへのメッセージも感じて好きだな。

ゼンカイジャーは基本的に何事も全力全開!失敗も挽回!何回でもトライ。前向き過ぎるくらい前向きなイメージなんだけど、だからこそそんなヒーローが「時には後ろ向きでも良いんだよ」と見せてくれると、そんなにエネルギーのない私は正直ホッとする(笑)。

 

変身も後ろ向き全開、戦闘も後ろ向きのバックアタック。それを見たゾックスも要領を得て続き、たちまち形勢逆転。

バラシタラはそんな敵の対策ぶりを面白がっていて、ゲゲイシーも「やっぱりこっちの方が面白そうだね」と、楽しそう。トジテンドを見限るのだけは少なくとも本気みたい。

介人はレッドレーサーとゴーオンレッドを召喚したけど、後ろ姿の見分けがつかず間違えたセッちゃん不覚(笑)。いや戦隊って後ろ姿にそんなに個性ないから難しいよね。

最後は全力全開キャノンも後ろ向きからの振り返りで、発射されるマスクも後頭部(笑)とふざけた絵面で撃破。もう40話超えたのに毎回毎回、よくこんなゼンカイ脳なアイディアが尽きないなあと感心する。

 

向かい風も消失して自由に動けるようになったゼンカイチームはバラシタラに挑むも、両肩のキャノンは飾りじゃなくて圧倒的な重火力でまとめて変身解除。いざとなればやっぱり幹部。強いわ。スピードで勝っても耐久力はイマイチ?なスーパーツーカイザーが圧されたのも、これを見ると無理ないかと納得。

それを見たゲゲイシーの「さすがは軍隊長だねえ」という、いつものステイシーなら絶対に見せない反応を、倒れながらも見逃さない介人は。細かいけど後に繋がる布石な場面。

バラシタラは「ボッコワウス様には悪いが、俺様としては楽しみが増えたのデアル」と満足気に撤退。息子が大人しく牢屋で朽ち果てるより、ボスに反旗を翻してくれた方が嬉しいって、これも一種の親心だろうか。

続いて登場したダイムカイカゼワルドは風向きを自由自在に操り、地上では強風にゼンカイオー合体にも失敗するわ近づくことすら出来ないわで苦戦・・・と思ったら、ツーカイオーが遙か無風の宇宙まで飛び上がり、一気に撃破。ツーカイオー単体での勝利は凄く久しぶりで新鮮。ツーカイオー好きだから嬉しいけど、そうか、もう次回が・・・・だもんなあ。

 

戦い終わって、ゲゲイシーは再び介人たちに仲間アピール。けど、介人は

「ステイシーならバラシタラと戦う時、あんな感じじゃないと思う。もっとピリピリして、譲れなくて、これは僕の戦いだ、とか言うはずだもん。ステイシーのバラシタラへの思いは、あんなものじゃない」

と看破。介人はいつもその人をできる限り理解しようと相手の反応をよく見ながら接しているから、本当にステイシーが言いそうな台詞を選んでくる。ゲゲイシーは、一見お馬鹿でお人好しそうだからって、介人を舐めちゃいかんと思うよ。

「僕が何者だろうと、トジテンドを消そうと思っていることは本当さ。つまり僕は、君たちの味方だよ」とステイシーは、どこまで本気かわからない言葉を残して月まで跳んでいった(笑)。

向かい風みたいに取っつき悪いけど根は優しく真面目で不器用なステイシー。

そよ風みたいに柔らかく猫撫で声だけど強かで邪悪さが滲むゲゲイシー

対照的な2人。そろそろ本当のステイシーの意識がどうなっているのか早く知りたいんだけど、一方で、ゲゲイシーもこれはこれで良い表情してて魅力的で、もっと見ていたい気もするから困る(汗)。

ゼンカイジャー42話感想:着るコタツ販促回じゃなくてドンモモタロウ先行登場回

冒頭、カラフルでは暖房の設定温度を勝手に下げた暑がりのジュランに皆がブーイング。

文句言う気持ちもわかるけど私に言わせると、外がどんなに寒かろうが暑かろうがいつも暖簾つるしただけで全力全開なお店の戸を閉めるのが先ではといつも思う(笑)。まあ誰に対してもオープンでウェルカムなカラフルの設定には合っているんだけど。

暖房器具から炬燵の話題になって、五色田家には炬燵がないことが判明。ヤツデさんは凄く庶民的だし、てっきり冬はコタツ派かと思ってたから意外だった。

そこへテレビのニュースが、街に現れたコタツワルドを報じる。トリコタツビーム(虜と炬燵を合体させたネーミングセンスが素敵)を当てられた人々は、その場に出現した炬燵で暖まり幸せそう。駆け付けたゼンカイジャーがその合間を縫って戦っているのが、相変わらず凄くシュールだ。

ていうか、見ていて凄く気持ち良さそうなので、私もちょっとトリコタツビーム当たってみたいかも(笑)。

やがて炬燵への好奇心に負けたブルーンがトリコタツビームの餌食になり、他4人も次々炬燵の魔力の虜になって戦闘不能。更に上空に現れた界賊戦もビームを喰らい、船中では変身済みのゾックスもフリントたちも炬燵で温まって、あっという間に全滅(笑)。

ゼンカイジャーは、レトロやバカンスみたいな、第一段階が快楽系の罠にはわりとあっさり全員ハマって画面から早々に緊張感が消えるんだよな。もはや平常運行。

「皆永遠にぬくぬくしてろコタツ」って捨て台詞が、それだけだとなんかただの良い人っぽいから困る。どうせ第二段階で酷いことになるんだけど。

 

出なきゃいけないと頭では分かっていても、気持ち良すぎて出られない炬燵の魔力に、初体験のブルーン、マジーヌ、ガオーンはすっかり虜。特に猫科のガオーンは首まですっぽり入りこんでる。わかる、わかるぞそれ。途中で暑くなっちゃったり、そのまま眠ったら風邪引いちゃったりするけど。

介人も再び味わったその快感に、子供時代を思い出す。入りっ放しだった自分をヤツデさんが叱り、遂には炬燵を処分したと。

「炬燵の魔力がヤバいからねえ」と渋い顔したくらい、ヤツデさん自身もそれを熟知してる。そこで孫を甘やかし一緒に団欒したら、どんなに心地よいかってことも。

でも、だからこそ孫を駄目にすると思えばすっぱり処分して10年間復活させなかった厳しさに、やっぱり女手1つで店を切り盛りし孫を立派に育て上げてきた人なんだなと感心した。

 

さてこの状態どう打開すんの?と思っていたら、暑がりのジュランが自力で脱出成功。そう来たか。

「いくら魔力が凄くても炬燵合わねえ奴には効果薄いみてえだな」

ジュランは先行劇場版でも汗っかき設定がピンチ打開のきっかけを作ったけど、冒頭に温度設定で揉めてたのは、この布石だったのね。

他メンバーを力尽くで炬燵から出そうとしてもダメ。自分で出たいと思わないと出られないみたい。意思や理性より感覚が大事なのかな。「出なくては」と義務感で思っても「炬燵が気持ち良い」という快感が勝っている限りは炬燵はくっついてきてしまう。

このあたり、皮膚感覚を大事にする香村さんらしい気がする。ご自身も炬燵大好きなんじゃないだろうか(笑)。

 

介人から「着る炬燵なら動けるかも」とリクエストされて買いに行くも、人気でどの店も品切れ。着る炬燵なんて今まで知らなかったけど、ちょっと惹かれた(笑)。ネットを見ると他にも似たような人がいて、柏餅もだけど思わぬ所で思わぬ商品のプロモーションになっている作品だな。

空振りで戻ってみると介人たちは眠くなり猫になりかけている。去年のキラメイジャーの充瑠たちの猫化は可愛かったけど、こっちはミュージカルのキャッツみたいなメイクでなんか生々しい、というかちょっとグロい(汗)。

眠りこんでしまうと完全に猫になってしまうとのことで、炬燵で寝てしまうあるあると、寝てはいけない(風邪引くから)を、ちょっとホラーな寓話的に使ってきた。

ジュランは眠らせないよう水を持ってきたり音楽かけて踊ったり、介人たちだけでなく他の被害者たちの所へも1人で飛び回って奮闘。

 

「なんでおまえ耳4つあんだ」「SD化した上にネコになっていいのか」浅沼さんのアドリブだろうけど、容赦ないツッコミに笑った。

ジュランの背中の頼もしさを皆が再認識している所に、セッちゃんからコタツワルド発見の連絡。ジュランが1人で駆け付けると、ボスのご機嫌とりにペットを献上する計画を邪魔されなくないバラシタラも参戦で大ピンチ。

・・・ペットって猫科した人間?そんなに大量に必要?しかもあのメイクを見ると、可愛い猫になるかはかなり怪しいんだけど(汗)、いいのかそれで?

まああのゲゲが「わしの可愛い」なボッコワウスだから、何を可愛いと思うかの感覚は人間とは違うかもだけど。

 

ジュランのピンチにはさすがに皆ぬくぬくしてるわけにもいかず、セッちゃんのアドバイスでパトレンジャーのギアを使うと、4人の炬燵が1つに融合。セッちゃんは更に界賊に協力させてワイヤーで炬燵ごと介人たちを吊るし、ジュランの元に運搬。

炬燵を回転させながら攻撃して強敵を翻弄するのが凄くゼンカイ脳な絵面で、笑いながら感心した。炬燵が体から離れないことを逆手に取った戦術で上手いな。

ゾックスも船から炬燵ごと降ってきて、ジュラン以外炬燵に入ったまま変身。炬燵に入ったままもう何回目かわからない前代未聞の変則名乗り。このためにロケに炬燵5脚持ち込んだのかと思うとじわじわ来る。

とは言え炬燵から出られない状態でバラシタラに優勢になれるはずもなく、ここで功から渡された新たな46番のギアを使用。すると新たなヒーロー、ドンモモタロウがバイクに乗って駆け付けた。

「ははははは!よく俺を呼んだ! 褒めてやる!さあ、祭りだ!」

・・・次の戦隊のレッドは陽気な俺様系かな。上着タイプのスーツデザインはわりと好みかも。

戦闘はゾックスが苦戦していたバラシタラに優勢で、強化体のスーパーツーカイザーより強いの?と思うとゾックス好きとしては複雑。だけど初登場補正もあるだろうし販促的な諸事情を思うと、仕方ないんだろな。

タツワルドをジュランとのダブルレッドで撃破すると、続いて現れたダイコタツワルドには自分のバイクをジュランに貸して、ジュランとバイクが合体したドンゼンカイオーが誕生。これも初登場補正もあって圧倒的な力でコタツワルドを下す。

 

現行戦隊の本編に新戦隊が登場するのも初めてなら、新戦隊のメカと合体するのも初めて。年々売上が厳しくなって来てるスーパー戦隊は、生き残りのための新しい模索に舵を切ったってことなのかな。

「ギアの力」というゼンカイジャーの世界観の範囲に無難に収めてはいるものの、本編の中で次の戦隊の戦力を借りて勝つのは複雑な気持ち。だけど、現実のバンダイナムコ決算の数値を見ると、もう背に腹は替えられないんだろな、とも思う。

 

その夜、カラフルでは皆がジュランを労う。それはゾックスも同じで、風呂に一緒に入って背中を流す役を介人と争ってる。

出会って一緒に戦うようになってから暫く経っても、介人を気に入って後方彼氏面するようになってからも、ジュランのことは「赤いの」と名前ではなく色で呼び一線を引いていた時期を思うと、ここまでの時間と信頼の積み重ねが感慨深い。

ブルーンは冒頭でジュランに温度設定の事で「学びが足りない」と言ったことを反省。今日のピンチのきっかけを作ってしまい、その挽回のため炬燵を背負ったままバラシタラ相手に奮闘する尺を貰ってはいたけど、その反省を生かせる展開がちゃんと来るといいな。

 

その頃、ステイシーは牢獄、というか虫籠みたいな檻の中にボロボロで倒れていて、一気にシリアスになる空気。

イジルデに陥れられたことを嘆きつつも「自業自得か」と自嘲し、イジルデを恨むことも自分の不幸を踏み台に家族を取り戻した介人に矛先を向けたりもしないのが、つくづく悪にはなりきれないメンタリティだなこの人。

そこにゲゲが現れて、ステイシーの体を乗っ取る。以前、瀕死のステイシーを助けたのは、後々こうやって体を利用したかったからってことか。「潮時」と思った今がそのタイミングだと。

自分の意識を他者の体に移して乗っ取りが出来るということは、ゲゲ自体も誕生から体にその意識が宿っていたとは限らないわけだよな。ずっと昔から、他者の体を渡り歩いて生きてきた可能性もありそう。

介人やバラシタラがゲゲの別人のような二面性に引っかかった描写がその布石だった場合は、本来のゲゲの時と乗っ取られた状態のゲゲの時があることになるけど、単に企みのために態度を豹変させてるだけの可能性もある。どっちにしても楽しみ。

 

ジュラン以外は介人からゾックスまで全員コタツでぬくぬく猫になりかけ、前代未聞なコタツ名乗りや戦闘を実現させるトンチキも、その間ステイシーだけは冷たい牢獄にボロボロで横たわりゲゲに体を乗っ取られるという悲惨さで独りシリアスど真ん中なのも、凄くいつもの ゼンカイジャー ではある。

けど、今回はそんなステイシーにこそトリコタツビーム当ててやりたかった(涙)。

ボンワルドの時に巻き添え喰らって味方の癖に一番悲惨な目に会ったんだから、コタツワルドの攻撃の巻き添えも喰らってコタツでぬくぬく至福の時を味わってもバチは当たらないんじゃないのか?

てかそんなステイシーも見たかったな(笑)。

ゼンカイジャー41話感想: 科学技術に全力全開な父、他者に全力全開な息子

10年ぶりに帰還した功は、家族水入らずの団欒よりも界賊たちやキカイノイドたちへの興味と交流に全力全開。介人の回想や前回明かされた過去だけでもある程度予測はついたけど、ちょっとたじろぐくらいエネルギッシュで忙しない人だ(笑)。

ジュランは、せっかく戻ってきたのに父子水入らずで語り合う時間がないのでは?と彼らしい気遣い。なんなら功よりもむしろ介人の保護者っぽい落ち着きと懐の深さ(笑)。でも介人とヤツデさんたちにとってはこれこそが功らしさ全開のようで、嬉しそうに受け止めている。

 

功は改造によって定期的に充電が必要な体になってしまった。

現実世界に例えるなら、薬害等で注射等の投薬が必要な体になりもう元には戻れない、っていう大変な境遇。なのに短期間でさらっと受け入れ自分の興味に全力で邁進する功のメンタリティが、前向き過ぎて時節柄もあっていろいろ辛い。

 

今回の敵はメンワルド。先行して戦っていたゾックスや駆けつけたジュランたちに、蕎麦やうどんの乾麺を突き刺すと、たちまち蕎麦派とうどん派に分かれて戦いそっちのけで大揉め(汗)。

 

介人は戦いの現場に行く気満々の功の引き止めに時間がかかり到着が遅れた。

また攫われでもしたら、と当然の心配をするヤツデさんと2人がかりで説得しても、自分の作った装備で戦う現場を見たいという気持ちが圧勝するんだな。安全志向の私は正直ちょっと功に腹が立った。

彼がハカイザーだった時に皆がどれだけ辛い思いをして、取り戻すためにどれだけ苦労したと思ってるのよ?って。

まあそれでも抑えられないのが科学者のサガで、そんな人だからこそ、こんな凄い装備を作れたんだろうけど。

こうやって見ると、功に比べて介人って常識的な大人だったんだなと思う。世界初とか全力全開とか繰り返しながらも、他人の気持ちや迷惑を無視して突っ走ったりはしない。

東映公式も

<「全力全開!」「失敗も挽回、何度でもトライ!」なんてのは、ご両親の受け売り。>

とか解説していたように、いなくなった両親が残した言葉やスピリッツだから形見のように自分に言い聞かせていたのかなと。初回こそスカイツリーからバンジージャンプとかぶっ飛んでいたのは、40話まで見た今だと若干違和感すら覚える。

介人の本質は突き詰めるとあくまで他者と交流し尊重することで、功の本質は他人がどう思おうと興味ある科学技術を突き詰めること、みたいな。

 

そんで結局は自分の興味を貫く功に他者の意思を尊重する介人が折れる、っていうのがこの父子らしい。あくまで遠くから隠れて見守ることを条件に2人で現場に到着すると、目の前で繰り広げられていたのは

 

蕎麦派: ゾックス、ガオーン、マジー

うどん派: ジュラン、ブルーン、フリント

という陣営に分かれていがみ合う仲間たちの姿。

更に街中も蕎麦派とうどん派に分かれて争い、めちゃめちゃな状態。

・・・ゼンカイジャーとしては凄く平常運転なんだけど、あんな激熱で泣ける決戦回の次が蕎麦うどんバトルなのかよという温度差(笑)。

両陣営の板挟みになった介人は、

無理に正気に戻そうとするのではなく「おいしい方につく」と、現状を受け入れた上でどちらにも肩入れせず、一触即発だったいがみ合いを平和的で建設的な麺勝負に持ち込む。

これまでも介人は、両方のどちらも傷付けない対処能力が上手だったけど、なんか今回は「老獪」と言いたくなるしたたかさだ(笑)。

 

ここでようやく、父と子2人だけの語り合い。功はそんな息子の手腕や仲間たちに信頼されてる様子に目を細める。自分が育ててやれなかったって思いもある分、余計にホッとして嬉しかったろうな。

そんでもしかしたら対人関係の築き方は功より介人の方が長けてると感嘆したかもしれない。

介人は、ステイシーについてどう思っているか尋ねるけど、功はハカイザーの時の記憶がないから思い入れゼロ。当然ではあるけど、こうもはっきり言われると、断腸の思いで自身の仲間への未練に引導を渡したステイシーがやっぱり気の毒。

介人には、ステイシーに仲間を作るように勧めておきながらせっかく出来たその仲間を奪ってしまったって負い目がある。もっともハカイザーの正体を知るまで、その仲間を自分の手で倒す気満々だったわけだけど。個人的には、倒した後に自分が仲間になる都合の良い未来しか見てないように思えてたりして(笑)。

だけど、ハカイザーの正体が父親だと知り、ステイシーの助力もあって取り戻せた。自分の今の幸せがステイシーの犠牲の上に成り立っていると思うから余計に放っておけないのかもな。

功は、なら自分でなんとかしろと突き放す。冷たいようだけど、確かにステイシーに本気になれるのは介人だけ。科学者ってこともあるのか、このあたりは変に息子の気持ちに忖度したりせずにズバッと正解を突きつけるんだな。

その功さんは巨大な蝶ネクタイを着けてしれっと審査員席に並んでいて、前回あんなシリアスな境遇から救出されたばかりなのに、あっさりゼンカイ脳世界の住人として馴染んでいる(笑)。まあ元々キャラクター的には素質充分ではあったけど。

 

セッちゃんからメンワルド発見の連絡を受け、介人は自分を仲間にするために一生懸命麺作りしていた両陣営に「実は俺、ラーメン派なんだ」と言い放つ。

そんでメンワルドの元に駆け付けるや、ジェットマンのギアでイエローオウルにトマトを投げさせると、撃ちぬいて麺ワルドの頭にぶっかける。

更に追いかけてきた仲間たちに

「みんな!あのメンワルド、実はパスタ派だって!」

撃ちぬかれてぐしゃぐしゃのトマトを被ったメンワルドの頭は、言われてみればまるでミートソースパスタ。敵に濡れ衣を着せて蕎麦派うどん派共通の敵に仕立て上げたわけね。

さんざん麺を作らせておいて実はラーメン派だと言えば仲間たちが騙されたと怒って追いかけてくるのも計算済み。

なんなのこの他人の心理を操る卑劣で狡猾な正義の主人公(汗)。

ふっと、同じ香村脚本ゴーカイジャー13話でアイムが、仲間たちが怪人を誘拐犯と勘違いしたのを見て「ま、いっか」とそのまま倒させたのを思い出したけど、介人は全部計算ずくなのが恐ろしい(笑)。

 

名乗りはそれぞれイチ押しの麺料理を紹介。かれこれ40話過ぎても変則名乗りのアイディアは尽きないんだな。その積み重ねにほとほと感心する。

メンワルドは理不尽に陥れられた冤罪を晴らせないまま、ヒーロー側の、1人を除いて洗脳状態とはいえ平和を守るためではなく裏切られたという怒りを原動力にした攻撃でボコボコにされ撃破。自業自得だけどちょっと気の毒(笑)。

介人は正気に戻ったジュランたちに、操られた間のことは「みんなで蕎麦とうどん打ってたよ」とだけ説明。間違ってはいないけど盛大にいがみ合っていて大変だったことは言わない。そんな所にも介人の他者への姿勢が出ているかも。

 

続いて出現したダイメンワルドは、またもゼンカイ側1人1人に譲れない麺料理推しを植えつけて対立させ、合体解除に持ち込んだ。そこまでは良かったものの、合体してなくてもそれぞれ単独の麺パワーを舐めるなと、逆に怒りの集中麺攻撃を喰らって撃破。正規の必殺技ではなくあくまで自分が与えた力でいわば自滅するのも、絵面は狂っているけどやっぱりゼンカイジャーらしい(笑)。

 

功は並行世界間を行き来出来るよう改造したカラフルのワゴン(あったんだ)で、妻の美都子を探しに旅立った。

キカイノイドや界賊に興味全開なのは凄くらしいけど、奥さんのこと心配じゃないのかな?と引っかかってたから、ホッとした。ちゃんと奥さんのことを考えてたんだな。フリントたちに根掘り葉掘り話を聞いていたことも、並行世界に行く装置作りにしっかり繋がっている。

作劇的にも、良いキャラだけどカラフルにずっと居続けるのは配置的にどうなのかな?と気になってたから、安心した。ヤツデさんはまた息子不在の日々に戻るけど、気持ち的には全然違うよね。

功は息子のために新しいギアも開発していた。46バン。予告で新しい戦隊が先行登場していたけど、ギアの力で召喚する形で消化出来るのは、ゼンカイジャーの強みだな。

 

一方、トジテンドでは、ボッコワウス肝煎りの作戦失敗でお仕置き喰らっていたイジルデが、失敗はステイシーの裏切りのせいだと責任をなすりつける。

イジルデにとっては「真実などどうでもいい」という苦し紛れのでっち上げだけど、ステイシーにとっては思い切り真実を突かれた格好なのが皮肉。

「父バラシタラのためだろう」と見当違いなことを言われて必死に否定するも、言葉尻から裏切ったこと自体はバレてしまう。つくづく、しらを切るとか誤魔化すとかには全然向いてない人だ(涙)。

バラシタラはそんな息子に表面上は心を動かした様子もなく「愚かな・・・」とだけ言ったけど、内心はどう思ったんだろう。

イジルデの言葉を信じて、「いつも反発ばかりしている息子が自分のために主に逆らった」と誤解したろうか。それともステイシーの否定をそのまま受け取ったろうか。ただその場合、なぜ息子がそんなことをしたのか理解出来ないだろうけど。

個人的にはやっぱり、「父親の自分のため」が誤解だったとしても、バラシタラに親としての情が芽生えるきっかけになってくれないかな、と思ったりする。

ゼンカイジャー40話感想: 過去が希望をくれて

※だいぶ周回遅れですが今年もよろしくお願いします。

 

突如現れたハカイジュウオーは、街を手当たり次第に破壊しまくる。無限あけおめ攻撃や獅子舞と虎の着ぐるみが相手だった前回のトンチキ戦からの続きとは思えない、これまで見なかったレベルの直接的な破壊描写。続けて見たら温度差で肺炎起こすレベル(汗)。

普段ゆるゆるなゼンカイジャーと言えども、さすがにクリスマス決戦は違うな、と否応なく実感した。

止めようとしたジュラガオーン、ブルマジーンは一撃で変身解除。

ハカイジュウオーはそのまま等身大のハカイザーの姿になってゼンカイジャーの前に立ちはだかり、街を滅茶苦茶にしたロボの正体が功だと突きつけられた介人たちは衝撃を受ける。

ハカイザーは黒いマントが追加になり、声のトーンも低く無感情。これまでが悪側にしては明るく陽気で軽やかな口調だったから、そのギャップも怖さを増幅していて、正直これはこれで結構恰好良い(笑)。

これまでのハカイザーは一般市民や非戦闘員には手を出さなかったけど、今は無差別に攻撃。咄嗟にフリントを庇うガオーンが素敵だ。

5人を叩きのめし、トドメを刺そうとしたハカイザーを、ゾックスがダイレンジャーのギアで「やまびこ道路工事」を繰り出し、騒音でダメージを与えている隙に撤退。ダイレンジャーを見ていないので凄く戸惑った(笑)。今回唯一と言っていい貴重なコミカルな場面かな。

 

トジテンドに戻ったイジルデは、ハカイザ―の微調整の後、世界の蹂躙とゼンカイジャーを殲滅すると誓う。

ハカイザ―登場後はロボに搭乗したまま状況を見ていたステイシーは、充電中のハカイザーを「お前、改造されて何ともないのか?」「僕とは違って、元は完全な人間だろう?」と気遣う。

でも洗脳が強化されたハカイザーは、「何を言っている。俺はイジルデ様に作られた兵器、ハカイザーだ。実験兵士は引っ込んでいろ」と言い捨てて去る。ステイシーとのこれまでの記憶も洗脳で失ってしまったみたい。

ステイシーが「どうしてこうなった。僕はこれを望んだのか?」と苛立ちを設備に打ち付けると、システムが作動しハカイジュウオーの設計図が表示された。

  

相変わらずイジルデ研究室のセキュリティはザル。これまでもステイシーに美都子を逃がされたりしているんだけど、それでも用心し対策を取ろうとはしない。物語の都合と言ってしまえばそれまでだけど、トジテンドという組織自体がゆるゆるなんで、まあありかなと思える。このあたり、下手にシリアスな作風やガチに厳しい敵組織設定よりは、ストーリーの融通が効くよな、と、いつもながら。

 

介人たちは被害を受けた街の人たちを救助。担架で運ばれる怪我人の傷が生々しくリアルで深刻さが強調されてる。

キカイタコ焼き屋に守れなかったことを詫びると、「ゼンカイジャーがいたからこの程度で済んでいるんだよ」と、優しい言葉。

置き菓子買って支援しているのに、なんで守ってくれないの?」とか泣きながら突っかかる人がいたらキツイなと思ってたから、ホッとした。ほんと、この世界の人たちの互いの思いやり描写が気持ち良い。

だけど介人はそれを聞いても辛い。これだけの被害を出したのが自分の父親だから。

カラフルを避難所として解放しているヤツデさんも、その気持ちは同じ。

自分の息子が街をこれだけ破壊したと聞かされ、そんなこととは知らない避難してきた人たちに感謝されてたら、心苦しいよな。

 

界賊船ではゾックスが「だから言ったんだ!」急がなきゃ間に合わなくるって!と苛立ちを露わにしてる。

言ったのはビックリバコワルド回のラストに、介人に強引なやり方を禁止され、渋々了承した時。

私、ゾックスの「間に合わなくなる」が、具体的に何を指すのが本当にはわかってなかったな。

彼は、ハカイザーがワルドを守るに留まらずいつか直接甚大な被害を出すこと、それが何よりも介人を苦しめることを恐れていたから、介人が嫌がるやり方を使ってでも早急に奪還しようとしたんだ。

以前、自分たちの偽物が強盗を働いていた時も、それがどんなに介人を苦しめるか憂慮し、強引に脱獄させてでも事態の収拾に動いたのを思い出した。

そんなゾックスに、介人から呼び出しがかかる。

 

介人、ヤツデ、セッちゃんは、功を取り戻すのは次の機会を最後にすると皆に告げる。

  

「次が……父ちゃん取り戻す最後のチャレンジ。全力全開の一回に賭ける」「もしそれで、駄目なら・・・ハカイジュウオーをどっか・・・宇宙の果てとか、世界の狭間とかに連れてけないかなって」

自分の手で始末を付ける=倒す=父を殺すとはどうしても言えなくて、でも他にそんなことが出来る奴と言えば・・・

  「それは俺に言ってんの?」と沈痛ながら落ち着いているゾックス。

介人からもヤツデからもそんな辛い仕事を頼まれて、たぶん言外にある最悪の願いまで読み取り

「・・・わかった。もしもの時は、あいつを、俺が」と承諾。

もしかしたら、強引な手は使うなと釘をさされて受け入れつつ、いざという時は介人ではなく自分が手を下すことを、心のどこかで覚悟済みだったのかもな、とちょっと思った。

ビックリバコワルド回は、ゾックスが強引な手を使い逆に裏をかかれて大ピンチになり助けられてと、どちらかというとゾックスの見せ方としてはマイナス寄りだったけど、こんな後から株を上げてきて狡いよ。

ゾックスがここまで切ない「後方彼氏」だなんて聞いてない。

 

でも

「もしもなんてあるかよ!介人、おまえがもしもの時なんか考えんな!つーか、おまえが諦めたって俺は諦めねぇぞ」

とジュランが口火を切って、ガオーン、マジーヌ、ブルーンが、3人で勝手に決めるな、介人の家族なら自分たちにも大事な家族、最後の1回とはそこで必ず取り戻すという意味だ、と次々にあくまで功を取り戻すことを主張。

「おい、忘れたか?お前には俺たちがついてんじゃねぇか。5人揃って、機界戦隊ゼンカイジャー、だろ?」

ジュランが締める。格好いいよジュラン。名乗りの決め台詞をここに持ってくるのが狡い。

被害に目を瞑りあくまで父を取り戻すか、平和のために諦めて父を倒すか、の二択じゃなくて、父を取り戻すことで被害も食い止めることを、あくまで選び通す。

香村さんはこの、「公と私」「身内の命と平和」や「仲間の命と自分の夢」とかの残酷な二択を突きつけられて、いやどっちも手放さないっていうヒーローのあり方を描くのが滅茶苦茶上手だけど、今回も良かったなあ。

身内の介人には「私」より「公」に寄せて「街の人の平和のため」父を諦めるという辛い覚悟をさせ、ゾックスも「介人のため」それを引き受け、ジュランたちは「介人のため」にそれを拒む。それぞれが自分ではない誰かのためにという姿勢なのも、いつもながら好感度コントロール力がお見事だと思う。

ジュランたちの後押しに介人はすっかりいつもの前向きさを取り戻し、一致団結して作戦会議に移行。

ゾックスはこういう時にはその輪の中に加わらず、「仲間に大切にされて笑顔の介人」をちょっと離れて見守るのが嬉しいんだな。ステイシー決戦に勝った時もそうだった。まさに「後方彼氏」の真骨頂。

そんで店を出た界賊一家に、ステイシーが「これを分析しろ」とデータチップを投げつける。悲しい覚悟が切ない。

 

次の日、出現したハカイジュウオーにはいきなりゼンリョクゼンカイオーで対峙。序盤から最強ロボをぶつけてくるんだ、と意外だったけど、まずマジーヌのミラクルパワーで市街地から山中に強引にテレポートし被害を防ぐ必要があったということで、作戦第一段階成功。

ハカイジュウオーの攻撃が激しくて第二段階に行けないと介人たちが焦っていると、界賊船からゾックスがハカイジュウオーにダイブ。ハカイジュウオーの頭部にハカイザーがいるので引っこ抜いてきてやると体内に潜り込む。

「とある筋からの情報だ」とゾックスはぼかしたけど、「ゾックス、ステイシー、ありがとう」と介人はすぐに察する。

まあ、そんなことできるのは他にいないから見当つくだろうと見越したにしても、なんでぼかしたのかな?と一瞬思った。けど、考えてみたら敵も見守っているだろう戦場で、大声でステイシーの裏切りをバラす訳にはいかないという配慮だったか。

ハカイザーは内部で大量のコードに埋もれるように繋がれていて、その前に立つゾックス。予告で見た時はトジテンドに潜り込んだかと早とちりして勝手に期待しちゃったけど、ハカイジュウオーの体内だった。

妨害のためにイジルデが送り込んだ兵士たちを一掃すると、ちょっとヒヤッとするくらい大ざっぱに周囲のコードを撃ち払って、言葉通りハカイザーを引っこ抜いたゾックスは、意識を失っているハカイザーを担いで脱出。

 

ハカイザ―を失ったハカイジュウオーは暴走。ここで介人は、ハカイザ―=父の元に自分が駆け付けるのではなく、ゾックスとともにゼンカイジュウオーとしてハカイジュウオーの撃破を選び、作戦第二段階としてハカイザ―の元にはジュランたち4人を行かせる。最初、父親の説得には息子が直接訴えかける展開を予想していたから意外だったけど、

「父ちゃんのやらかしの後始末」だという理由付けが上手い。まずは息子として父が街を破壊し人々を傷付けた落とし前をつけ、ヒーローとして平和を守るという責任を果たす。

そんで託されたジュランたちは、意識を取り戻したハカイザ―に、なんと功の生い立ちを写真パネル付きで紹介し、洗脳の奥に封じられた功の意識に働きかける。絵的にはちょっと間抜けだけど、ひとつひとつは他愛ないかもしれない思い出の場面を積み重ねて必死に呼びかける4人に、ぐっと来た。

「最後にかけるとしたら、ぶっちゃけ愛だろうが!」のジュランがホント恰好良すぎて狡い。この台詞だけでも、最初に介人でなく4人を行かせた展開がお見事すぎる。

 

仮面ライダー電王の「過去が希望をくれる」を思い出した。

あの物語の中では幾つもの意味を持った重要な言葉だけど、今回のゼンカイジャーでも、例えば介人を高い高いして落として怒られた黒歴史すら功を取り戻す為の希望になった。たぶんそれを教えるヤツデさんがひとつひとつ祈るように託した希望を、ジュラン達も祈るようにハカイザーにぶつけ続けてたんだろな。

 

それに功を意識が応えたのか、ハカイザ―は混乱して苦しみだす。焦ったイジルデはステイシーに妨害させようとするも連絡がつかないので、クダイターたちを派遣。これを界賊船が一掃し、更に変形して双子と合体するとなんだかとんでもない巨大なバズーカとなり、ゼンカイジュウオーがぶっ放してハカイジュウオー撃破。

界賊船は今回ツーカイオーとしての活躍はなくとも、このクリスマス決戦にこういう形でしっかりアピールしてきたんだな。

 

説得の方は「2021年、11月14日、成長した息子、介人と再会!」「そして今日、息子介人が、トジテンドから功を奪回!」と畳みかけたところに満を持して介人が降り立ち、ジュランたちからの魂のバトンを受け取る流れが美しくて鳥肌立った。

「父ちゃん見ろよ!これが父ちゃんの作った、ゼンカイザーだ!」

激しくぶつかり合った末に「受け取れ、父ちゃんの、全力ゼンカイ!ちょわあああ!」

ギアトリンガーもゼンリョクゼンカイキャノンも、もとは功たちが、自分たちの世界を守るために作ったもの。実際にこれを使って息子たちは平和を守ってきた。それを今、作った功自身に打ち込むことで、こちらの世界に取り戻す。功の「過去」が功自身を救う。

 

まともに食らったハカイザ―は充電切れで、装甲解除。功は功としての意識を取り戻した。

10年ぶりに間近に見る息子の姿に「でっかくなったなあ・・・」と感無量の功。

「・・・はたち・・・ううん、もう21だからね」取り戻したのが誕生日直後なのが、父不在の間の成長を余計に印象付けていて、香村さんはどこまで計算していたんだろうと憎らしい。

 

遠い崖の上から静かに見届けたステイシーは、黙って立ち去る。ステイシー、界賊一家、キカイノイドたち、そんで介人全員の連携プレーが結実して、悲願の功奪還成功。誰が欠けても叶わなかった激熱パズルの組み合わせがホント見応えあった。

 

ステイシーが「仲間」を失ったのは、介人がハカイザーを取り戻した瞬間でもゾックスにデータを渡した瞬間でもなくて、ハカイザーが自分を「実験兵士」と呼んだ瞬間なんだろな、と思う。

ハカイザーが改造後も仲間と呼んでくれていたら、苦しみながらもまだしがみついていたかもしれない。

カラフルのおやつ券握り潰してまで選んだ仲間が仲間でなくなってしまった後に残ったのは、ヤツデや介人への罪悪感とそれでも命と心を助けてくれた介人からの借り。

仲間だった頃の残像を断ち切って完全に手放した今回の選択は、ステイシーにとって絶望でもあるけれど、反面、ヤツデや介人への罪悪感やのし掛かる借りから解放される道を選べたっていう面もあるかも。

 

自分の先祖の細胞を直々に与えての作戦が失敗に終わったボッコワウスは大激怒。そんな飼い主の姿に「ここはそろそろ潮時かな・・・」と呟くゲゲが、いつにもまして不穏。年が明けたらこちらも動きがありそうで楽しみ。

 

カラフルでは、功が10年ぶりの帰還。迎える母ヤツデさんの涙目からの「帰りが遅いんだよ!」に、泣けた。実の息子が10年間、つい最近まで生死すらわからなかったんだもん。ずっと辛かったよな。ほんと良かった。

介人にとっては、1日遅れの最高の誕生日プレゼント。誕生日っていう要素も見事に使いきったな。

というか、この3話、誕生日に加えてクリスマス決戦という時期にお盆、正月という時期外れの要素を全力全開で料理し、かつ背景として本来のクリスマス要素も盛り込んで、どの回も面白く仕上げ、最後に最高の決戦回を見せてくれた。

脚本の香村さん、3話持ちの渡辺監督、ありがとう。凄く良かった。

 

 

ゼンカイジャー39話感想: 獅子舞と虎の着ぐるみが強敵になるクリスマス販促回

五色田介人は2021年12月12日に21歳の誕生日を迎えた。

→2000年12月12日生

→平成12年12月12日生

 

12のぞろ目だったり12と21が揃ったり、しかもちょうど放送日と同じ日付それもクリスマス決戦放送の時期にドンピシャって、いろいろ出来過ぎでしょ。

介人が射手座なのは3話時点で確定していたけど、たぶんこれを序盤から狙っていたのかな、と感心した。

 

カラフルでは界賊も加わって誕生パーティー

無事にこの日を迎えられたことを喜ぶヤツデさんの「今年は特に」が、さりげないけど沁みる。

大事な孫を毎回毎回命がけの戦場に送り出すお祖母ちゃんとしては、明るく振る舞っていてもやっぱり心配だよね。そう実感させて、こういう細部も香村脚本の好きな所。

ガオーンたちで作った誕生日ケーキに続いてゾックスが介人のために作った歌を披露しようとノリノリで踊り、まさに歌い出す寸前にトジテンド反応。

ゾックスが思い切りずっこけているんだけど、この人のキレキレダンスは、時には格好良さ故にギャグの切れ味を増し、時には多少コミカルに落とされ過ぎても格好良く持ち直せてと、格好良さとギャグを高度に両立させキャラを補強してるな~と改めて。

 

現場には前回顔見せだけしたショウガツワルド。誕生パーティーを中断させられた6人が戦う前に1人1人詰め寄って思い切り文句をぶつけているのが凄くトンチキで凄くゼンカイジャー(笑)。ジュランの「どうせならもう20日遅く」が、暦としては正しいけどなんかじわじわ来る。

ショウガツワルドはハカイザーとステイシーを呼ぶも登場なし。バラシタラ配下のボンワルドの時は組織の枠を超えて守りに来たのに、同じイジルデ配下の自分に来ないなんて、とショウガツワルドが怒るのも無理はないよな。

ステイシーは現場に来ているものの陰から見ているだけ。前回介人に命も心も救われて、かつ介人への罪悪感が芽生えてしまって戦意が鈍っていたりもするのかな。

最近ハカイザーを見ていないと、前回ラストのその後を軽く暗示していてさりげなく不穏。

 

ショウガツワルドの攻撃は「年越しフラッシュ」。それを浴びると、なぜかお正月BGMと共に、介人たちはいきなり紋付き袴&振袖姿でずらりと正座し「新年明けましておめでとうございます」という謎バンクが挿入(笑)。そんで嫌なことは忘れて心機一転だと、目の前の敵に目もくれずにぞろぞろ帰ってしまう。正月という概念の解釈、そう来たか(笑)。

 

トジテンドパレスではボッコワウスがイジルデとハカイザーには新たな任務を与えたと話し、内容を知りたがるバラシタラとステイシーをゲゲがにべもなく撥ねつける。

けど、気になってイジルデの研究室を訪れたステイシーの前に現れたゲゲは先ほどとは打って変わって柔らかな口調で、知りたいなら見に行っていいと許可すると共に、自分がトジテンドでどうなりたいのかよく考えるようアドバイス

陰からそれを見ていたバラシタラがその二面性を不審に思うところは、介人が「双子?」と疑ったのを思い出した。相変わらず胡散臭いゲゲの狙いは後々ちゃんと拾われるんだろうか?

そんで仕事絡みでならゲゲの二面性はしっかり抑えるのに、入れ替わった息子の違和感には気付かないバラシタラよ(まだ言ってる)。

 

カラフルに戻った介人たちは、年が明けたという認識で戦いのことは忘れたのに、介人の誕生パーティーのことは当然のように覚えていて続きを始める。

最初見た時にはなんか矛盾してない?と違和感あったけど、後で見返すと納得。ここも細かい布石かな?

彼らが戻って来たのはたぶん早すぎて、ヤツデさんたち待機組はワルドと戦って倒したわけでもなさそうなのにおかしいと異変を感じる。そんで再びトジテンド反応で嫌々出向く介人たちの後を追いかけたフリントが見たのは、再びお正月が来て心機一転し戦いを忘れて引き返してしまう6人の姿。

ここでちゃんと時計の針の動きを視界に入れるフリント。腕力に劣る女海賊は目の速さで勝負、と言ってたルカ姐さんの系譜かな?とちょっと思った。ゴーカイジャーのその回も香村さんだったっけ。

フリントは兄貴と介人に目覚ましビンタを喰らわし、また道行く人々も同じように正月心機一転モードなのを見て、介人たちもようやく自分たちが術中にハマっていたことを認識する。

断片的な情報を付き合わせてリセットタイミングは1時間毎とさらっと見抜くフリント&セッちゃんのメカニックコンビがつくづく優秀。

ならば次のお正月が来る前に倒さなきゃ、とトジテンド反応にダッシュし現場の浜辺に向かうも遠すぎてワルドは去った後。浜辺に並んだ6人が逆光を浴びてなんだか妙に青春ショット。綺麗だけど、実はこのカット撮りたかっただけだろスタッフ(笑)。

 

一見他愛ないようで地味に厄介な能力。このままでは倒せないまま介人の誕生日が終わってしまう。

焦るガオーンたちに介人は、もし明日になっても皆が祝ってくれるってことなら、むしろ得だと。ここぞとばかりに発揮されるポジティブさ。

そんでヤツデさんの「何回年が明けても、みんな誕生日のことは忘れずに覚えててくれるんだ。嬉しいことじゃないか」という言葉に、「もしかして」と、なんかひらめキングな様子。

 

CM明けてショウガツワルドの前に、なぜか全員パーティーの途中ですみたいなコスプレで駆け付けた6人。今度はお正月心機一転タイムになっても戦いを忘れない。

今までは介人の誕生パーティーを中断して嫌々戦いに向かっていた。つまり嫌なことだったから、心機一転すると忘れてしまっていた。

でも誕生日のことは忘れなかった。それは楽しみなことだったから。

つまりショウガツワルドの力で忘れるのは嫌なこと。楽しみにしていることは忘れない。

そう推理して気持ちを切り替え、今回は戦いを思い切り楽しみにしてきたから正月が来ても忘れなかったという、ぶっちゃけ、解決策は気の持ち様(笑)。

 

「忘れるのは嫌な事だから、戦うことを楽しみにすれば忘れない」

っていう解決策は理屈は通ってると思う。けど、なんというか香村さんの「理由さえねじ込めればそれがどんなに強引でも荒唐無稽でもしれっと推し通す」という開き直りスキルの進化も感じる(笑)。それが過去作品より強く作家としてのたくましさふてぶてしさを感じさせて好きだな。

 

今回はステイシーも参戦。ジャンプしながら手を振る介人の歓迎ぶりが、相変わらず敵に対するそれじゃない(笑)。ステイシーとの対戦=彼を再びカラフルに連れていくチャンスと、ここでも前向き。

この前助けられたことに礼は言わないと断るステイシーは、言葉とは逆に凄く律儀に気にしているんだろうな。

ただし今回も対戦相手はゾックスで、メインディッシュはショウガツワルドと、介人とキカイノイドたちの戦闘をたっぷり。まずキョウリュウジャーのギアを使うと、発揮された力は、サンバのリズム。

13話予告のサンバコスプレをキョウリュウジャーのギアではという推察したネット民に対して、東映公式がその回の振り返り記事で

キョウリュウジャー=サンバ、は既にゼンカイ脳です! お疲れ様でした!」

と煽っていたのに結局ギアの力もサンバだった(笑)わけで、今回の東映公式で深くお詫びしていたのに笑った。

 

続いて使われたのはゴーカイジャーのギア。何が出てくるかと思ったら、武器交換。ゴーカイジャーにしては地味だし、何もギアの力じゃなくてもともちょっと思ったけど、そんな感想は東映公式も想定済み(笑)。

海賊要素とアニバーサリー要素というゴーカイジャーのメイン要素はゼンカイジャーとも被るので、それ以外に何をやれば良いか苦心した末のものだったみたい。

そんで

「武器交換こそはゴーカイジャーにのみ許された神聖な所作ですよ!?

武器交換するために彼らは海賊になったのに違いありません(?)」

という開き直りが素敵(笑)。

まあ確かにゴーカイジャーの武器交換も格好よくて大好きだけど。

交換した武器でショウガツワルドをひとしきりフルボッコにすると、マジーヌがブルーンのピッカーを使って掘った穴に落としたりして、何だかもう遊び半分な苛めの領域に片足踏み込んでいて酷い(笑)。

今回ゼンカイジャーは名乗りも含めてお祭りモード。全力全開ノリノリで戦いを楽しんでいる。

ヒーローとは人を助け平和を守るもの。戦いを楽しむってのはヒーローとしてはどうなんだろう?というのは過去の幾つかの作品で何度か引っかかったりもしたことある。

けど、今回の場合は「それが敵の策を破るののに必要な要素だった」という大義名分があるから狡い。もう遠慮なしでいろいろ酷い(笑)。

1対1での武器交換のため「俺余っちゃった」と介人がどっかの志波家当主みたいなことを言い出し、だったらとキャノンのチャンバラパワーでシンケンレッド、ハリケンレッド、ニンジャホワイト、シロニンジャーという紅白和風戦隊を結成。介人がシンケンレッドから受け取った烈火大斬刀を使うサービスぶり。今回の戦闘はショウガツワルドが思わずツッコミたくなるくらい「盛り込みすぎ」。トドメもキャノンを使わない代わりにスーパー化×2+キカイノイドたちの必殺技全部乗せで、まさにクリスマス販促回だな。

 

ダイショウガツワルドに対しては、久々の、本当に久々のジュラガオーン(涙)、それからブルマジーン、ツーカイオーの初期ロボ3体。

一方、ダイショウガツワルドが繰り出したのは、なぜか巨大な獅子舞と虎のチープな着ぐるみ(笑)。

いやいやいや。

 

・クリスマス商戦販促回にロボを沢山出したい、特に最近出番の減ってる初期のロボたちを活躍させたい

・苦戦しつつ最終的に勝つ展開にするため、敵も正義側のロボと同数か多く出したい

・でも予算に制限があるし、かと言って只のクダイテストでは見劣りする

 

そんな事情なんだろなってのはわかるよ。でもその解決策が、獅子舞と来年の干支だからってどっかのテーマパークにでもいそうな虎の着ぐるみをそのまま出して普通に戦闘させるとか、やっぱり狂ってるだろ(笑)。

そんで獅子舞と着ぐるみの癖に普通に強い。特に着ぐるみに苦戦するツーカイオーとかあまり見たくなかった(涙)。それって戦力的には、虎の着ぐるみの方がツーカイオーに瞬殺されたダイワルドや偽物ロボや、バトルシーザーロボ1世より強いってことになるけどいいのかそれで?(笑)

 

さすがにそれはちょっと、とイジルデが思ったからではないだろうけど、バトルシーザーロボ3世も参戦して、一応これで数的には3対4で敵の方が上。

獅子舞に噛みつかれるマジブルーンとか鏡餅に巻かれるジュラガオーンとか、絵面はトンチキだけど大ピンチ。どう打開するかと思ったら、介人が戦闘機モードのゼンリョクイーグルで脱出し反撃。久しぶり過ぎて、そんなモードがあったこと忘れてたけど、やっぱり格好いい。

メタ的には最新発売玩具だし当然なんだけど、等身大戦でも巨大戦でも全力全開でキャノン推しだな。

獅子舞と着ぐるみが倒され、イーグルは今度は巨大なキャノンになると、ジュラガオーンが構え、ブルマジーンとツーカイオーが支えてダイショウガツワルドを撃破。

等身大戦でもゾックスがキャノンを一緒に撃ったり支えたりするシーンが見たいな、とちょっと思った。

残るは3世のみ、という所に予告で見た新たな敵ロボが爆現して、続く。予告見てもハカイザーの「進化した」姿なのは確定。先々代皇帝の細胞を使ったってことか。

本編がいつにも増して全力全開で頭狂った回なのに、予告がいきなりシリアス全開で温度差が凄い。

いよいよハカイザーとの決着も付きそうだしステイシーは迷い出してるしゾックスはトジテンドパレスにいたようにも見えるしで、楽しみ。